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うらうらぼんぼん、うらぼんぼん(盂蘭盆のこと)

夏休み、子供時代のアタイのいちばん厳粛な行事が盂蘭盆である。
盆の入りから明けまで、日替わりでご先祖さまをもてなす。

お寺さんまでは、川沿いの裏道を徒歩で。
ミンミン、ジワジワ、蝉の声が溢れてる。檀家が集まると御堂で、施餓鬼の法要がはじまる。

法要を終えて墓参りして、鳩サブレをもらって、
お盆の祭壇かざって、ご先祖さまのお迎え準備は万端。
蓮の葉にウシウマ、ほうずきの提灯、オガラも揃ってる。
迎え火焚いて、迷わないようにね。

"ご先祖さま"って言われても、思い浮かぶのは祖父の顔ばかり。
お盆の間、めだま模様の蝶が飛んできて、
「おじいさん、おかえりー」って、迎えてた。

帰ってきたおじいさんに、ご馳走して、お小遣いあげて、想い出を懐かしむ。
祖母は住職の息子氏の読経が気に入ってた。
確かに良い声をしてる。

遺影の祖父は、少しづつ子供たちに似てる。
アタイは耳の形を譲り受けたよ。

盆の明けに、またオガラを焚いて送る。
少し萎びたウシウマは、また来年ね、と言ってるみたいだ。

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