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胸を張って戦闘力ゼロでいよう。

子供が産まれ、仕事を時短勤務にした。

産前は全ての業務を完璧にやりこなせていたけど、今は時間の制限があるため例えて言うなら10通りある業務にのうち、5通りしか担当出来ない。
加えて、1年間の育児休業中はどっぷり子供の世界観でしか頭を動かしていなかったものだから、久しぶりに大人社会用のモードを変えても、全く頭が働かない。復職当初は人と上手く話せず、言葉が上手く出ないこともあった。一日中子供と過ごし、いかに大人と会話をしていなかったのかを痛感する。

戦闘力が落ちた私に、想像通り独身の同僚達の風当たりはキツかった。仕事が出来ない上に、2時間も早く終わるのだから無理もない。さらに、時間に制限があるため重要な仕事は担えないため、周囲へ負担をばら撒いてしまう。

彼女達は全く悪くない。
むしろ、よく思わない気持ちの方が自然だと思う。私もそっち側にいたし、当時同じように感じていたのだから。

33歳で結婚し、38歳で出産した私は、独身の期間も子なし夫婦の期間もそれなりに長い。
そのため、幾度となく子持ち同僚の仕事を請け負ってきた。
当時は正直、彼女達の生活を機能させるために自分が犠牲となって働いてるとしか思えなかった。周りに負担を押し付けて、それでも仕事を続けるのはわがままではないかとまで思っていた。
子供の体調不良が理由の突発的な休み、終わらせきることが出来ない仕事の数々。その全てを担うのが、独身や子供がいない既婚者に周る社会に、本当に嫌気がさしていた。

今、私は支えてもらう側に変わった。
あるとき、色々とバランスを崩していた私に上司がかけてくれた言葉で目が覚めた。
「仕事の変わりは他にいる。でも子供の母親はあなたしかいないのだから」
そうか。私は優先すべき物事が分かっていなかったのだと感じた。

戦闘力ゼロの時短勤務の私を認めてもらえないことは、当然だ。
子供がいる生活といない生活とでは、暮らしている国が違うくらいに生活が全く違う。価値観も、文化も、言葉も違う異文化の相手に、理解を求めることが間違っているのだ。

もし独身女性の同僚達が妊娠したのなら、今の私は妊婦の彼女達を支える気持ちの許容はある。同じ時短勤務になったのなら、そのときの私はきっと戦闘力は上がっているだろうから、今度は私がサポートしてあげたいと思う。こうやってそれぞれの立場で、循環し合えば良いと思う。

世の中には、同じ環境下にならないと理解し合えないことだってある。
でもそれでいい。
胸を張って、自分にしか出来ないことを大切にして生きていきたい。



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