プロダクト開発に活かせるCXMという考え方
CXMとは?
今回はプロダクト開発におけるCXM (Customer Experience Management) についてお話しします。
CXMとは、顧客体験の全体を管理する考え方で、UX (ユーザーエクスペリエンス) に似ていますが、さらに広い範囲をカバーします。
またCXMの根底には「顧客のロイヤリティは顧客の体験に紐づく」という考え方があります。
例えば、ある商品を買うとき、その商品自体の質だけでなく、購入プロセス全体の体験を重視する方もいるのではないでしょうか?
(注文がスムーズに進むか、カスタマーサポートが親切かどうかなど)
CXMはこうした顧客体験全体を管理し、最適化するアプローチになります。
CXMを考えながらプロダクト開発できる人材は希少
UI/UXという言葉広まって依頼、UI設計含む個々のユーザー体験の向上に取り組んでいますが、全体的なCX(顧客体験)を見据えたプロダクト開発やサービス提供を設計できる人材はまだまだ少ないと言われています。
評価サイトやSNSが普及している昨今、顧客が初めてサービスを利用する瞬間から、その後のフォローアップまで、すべての段階で一貫して良い体験を提供することが求められます。
これらを実現するには、単なるデザインスキルだけでなく、顧客の行動や心理を深く理解する力が必要になってきています。
CXMの進め方の一例
ここで、SaaSプロダクトを例にとってみましょう。SaaSプロダクトの利用には以下のステップがあります:
Webサイトでの調査
問い合わせ
デモの実施
トライアルの提供
カスタマーサポートとのやり取り
契約
これらの各ステップを「顧客体験」として細かく設計し、カスタマージャーニーマップなどを作成していきます。
それぞれのステップで顧客が「どのように感じるか」また「どのような情報が必要か」など、顧客の意思決定に関与する要素を踏まえた上で、プロダクト施策を検討していきます。
ex 「デモ実施」時のCXMアプローチ
デモ画面を見せる
クライアントに実際のデータを入力してもらう
レポートをはき出す
これらの流れをしっかりと設計し、各ステップごとにNPS (ネットプロモータースコア) を計測して体験の質を評価することが重要となります。
NPSの活用の仕方
NPSを活用することで、各体験が全体の顧客ロイヤリティにどれだけ影響するかを相関分析を用いて評価します。
これにより
「デモ実施時のNPSが1ポイント上がる」 = 「契約率が5%向上する」などの相関関係が見えてきます。
またポジティブな要素のみならず、どの体験が顧客のネガティブな感情を引き起こしやすいか、なども明らかにすることができます。
CXMの応用
CXMは住宅購入のようなサービス体験だけでなく、様々な領域で活用できます。
to C向けサービス
従業員ロイヤリティ
製品満足度
会社の評価体制
サービスや業務のプロセスを詳細に分析し、顧客や社員の意思決定に関わる要素を細分化することで、CX(カスタマーエクスペリエンス)をより精密に向上させることが可能です。
最後に
今回はCXMについて事例を挙げながら解説しました。
しかし、概念としては理解できても、実際に取り組む際には以下のような問題が発生することがあります。
どの粒度で業務を切り出すか
NPS計測時の質問設定が難しい
分解はできてもCXを向上させるための施策が思いつかない
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