見出し画像

【エッセイ】華の女子大生、「結婚」について考える。

※このエッセイは2021年に別サイトで別名義で掲載していたものです。サイトが閉鎖してしまったため、こちらに加筆修正して掲載し直すことにしました。

私には、結婚願望がない。恋人が欲しいと思ったことがないわけではないが、推しで生活が満たされている今ではその思いもあまりない。

「当たり前」の未来


大学の講義やセミナーで意見交換をしていると、たまに違和感を持ってしまう。
「結婚して子供を産みたいから、産休や育休の制度がきちんと整っている会社で働きたいなぁ。」
そのように言う彼女たちを否定したいわけでは全くないし、産休や育休の制度がきちんと整っている会社とそうではない会社だったら、私だってもちろん整っている会社に入りたい。
ただ私は、彼女たちが、結婚して子供を産む未来を当たり前のように想定していることに驚くのだ。

「少女マンガ脳」


子どもの頃、少女マンガを読んでいた人は少なくないだろう。
どこにでもいそうな普通の女子高生が、ひょんなことからクラスで人気者のイケメンと絡むようになって、彼に恋をする。勇気を出して「好きです」なんて告白すると、彼に「俺もずっと好きだった」とかなんとか言われて、めでたく交際がスタート。物語の途中で嫉妬した女子にいじめられたり、美人な元カノが出てきて関係が拗れてたりするけれど、それだって恋愛の醍醐味。最終的には仲直りしてハッピーエンド。続編で結婚して子どもができたり、なんてこともある。

少女マンガでは王道の、よくある恋物語。

だが、それは現実でも王道でよくあるストーリーだとは限らない。
「将来設計?そうだなぁ、30歳までに結婚して、子どもは男の子と女の子どっちも欲しいな」なんてセリフが当たり前のように出てくる、良くも悪くも「少女マンガ脳」の持ち主たちが羨ましい。

何もしなくても結婚も子どももできるなんて人生を歩めるのは、きっと一握り。
でも、その一握りになれると当たり前のように信じ、それを当たり前のように叶えてしまう人が一定数いることも事実。

私のような人間は、彼らの前提である「結婚して」の前の「恋人をつくって」、そしてその前と「好きな人をつくって」というステップで躓く。
結婚の仕方なら結婚情報誌が教えてくれるし、恋人をつくろうと思えば「モテるオンナになるために」とか「こんなオンナは嫌われる」とか「気になる彼へのアピール方法」とかいう記事はいくらでもある。

でも、好きな人のつくり方は誰も教えてくれない。

現実は厳しい。


私が陥る思考回路の参考に、再び少女マンガを開いてみるとしよう。

そもそも、「どこにでもいそうな普通の女子高生が」で躓く。
マンガで描かれているどこにでもいそうな普通の女子高生は、大抵顔が可愛くて、ちょっと内気もしくはかなりの負けず嫌いで、料理ができる。
対して私の女子高生時代はというと。美醜はともかく、毒舌で、レンチンこそ正義!
なんとびっくり、「普通」のハードルが富士山レベル。

ここで躓くとさすがに話にならないため、「普通」になれたと仮定して話を進めよう。
次が、「ひょんなことから」。ひょんなことって色々あるけど、そんなイベントが発生する世界線はどこですか?「教科書忘れちゃったから見せて!」なんてことすらなかなかないのに。
しかも絡む相手は「クラスで人気者のイケメン」。仮に1クラス40人で、人気者のイケメンが1人だとすると、席が隣になる確率はたった2.5%。席替えの頻度も考えると、難しいことは自明だ。

それから、「恋をして告白する」。うん、難しい。「恋するとビビビってくるんだよー」とか言われても困る。ビビビってなに、ビビビって。

そして、仮にここまでクリアしたとしても、最難関は「「俺も好きだった」とかなんとか言われてめでたく交際スタート」だ。
人の気持ちなんて本人以外はわからない。私が相手のことを好きだとしても、相手は私のことを好きだとは限らないわけだ。ここで残念ながら振られてしまったら、またゼロからやり直し。

うっわぁ、恋愛って大変。
「結婚って奇跡」って言葉があるのも頷ける。

こんな調子だから、私は「結婚して、子供がいて」、なんて未来をいつまで経っても簡単に語れない。恋愛をする覚悟がないのだ。
楽な恋愛をしたいとか、恋愛を舐めてるとか、そういうことではなく、ここまでして結婚したいか?と問われると、私には無理だ、という話。

女性の社会進出が進み、結婚こそ幸せって時代でもなくなったこの時代に生まれてこれた私は、もしかしたらかなりラッキーなのかもしれない。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?