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徹底解説!ブレイキングダウン「反社入場禁止」が無意味なワケ 本気の反社対策とは

 格闘技イベントのブレイキングダウン(BreakingDown、朝倉未来代表)で、反社会的勢力と見られる人物が会場に出入り、COO(最高執行責任者)の溝口勇児氏と記念写真を撮っていたことが、SNSで指摘された。また、同団体の元代表、板垣雄吾が、「ブレイキングダウンCEO」の肩書を使って出資者を信用させたニセの投資話で、20~22年に120人から80億円を騙し取ったとして警視庁・暴力団対策課に逮捕された。最近、暴力や強盗などで参加選手の逮捕も相次いでおり、通常のイベント団体では考えられないぐらいの反社会性を感じさせるイベントとなってしまっている。ブレイキングダウンは、誹謗中傷や憶測の流布に法的措置をとる声明を発表しているが、反社対策の委員会も発足させておきながらこの有様では、世間が持つイメージを変えることは難しいだろう。

 ブレイキングダウン側は、反社人物の入場については認めていて、「溝口や選手、大会関係者らと共に写真に写る人物は、関係者入場口から無断で会場内に侵入したことが判明いたしました。反社アドバイザリーボードとも本件について議論し、既に今後のBreakingDown会場への入場禁止を決定の上通告しております。なお、溝口や選手、大会関係者らは来場者の一人として当該人物に記念撮影を求められ、それに応じたものです」と説明した。

 奇妙なのは、ここでクローズアップされているのが「会場への出入り」であることだ。反社については、出入りに限らず、「関係しないこと」自体が求められているもの。だから、入場や撮影が許されたことは、「関係した結果、起こりうること」にすぎない。ほとんどの反社は選手や関係者と親しくなければ会場に訪れないから、反社が会場にいることは、誰かが反社と交際していることを示す。そこをハッキリさせていないところが、この団体最大の弱点だろう。筆者は古い時代のプロレスに長く関わった経験から、現役選手時代、格闘技や音楽イベントで反社の出入りをチェックする警備責任者になったことがあるが、実はこれも「入場禁止」が目的ではなかった。ファンの知られざる本気の反社対策が何か、それを知らなければ、表層的なイベント側の弁明にごまかされるだけになってしまう。本気の対策をするなら別の方法がある。それを解説しよう。

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