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五反田図書館で『世界は五反田から始まった』トークイベントが開催されました!

note界のみなさま、初めまして! ゲンロン編集部の横山です。ゲンロンで本をつくったりメルマガを配信したりしています。今後編集部関連の記事ではお目にかかることがあるかもしれません。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、さる10月29日(土)に、『世界は五反田から始まった』の刊行記念イベントとして、地元、品川区五反田図書館にて星野博美さんと弊社代表上田洋子のトークイベントが行われました。(なお、『世界は五反田から始まった』はこのたび3版が決定いたしました!ご愛読ありがとうございます!)
当初予定していた定員がすぐに埋まってしまい、急遽増席された会場には90人のお客さんが。当日のアンケートによると、地元だけではなく、都外からお越しいただいた方も多いようでした。ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
会場となった五反田図書館は、『世界は五反田から始まった』の資料集めにも活用したという星野さん。にもかかわらず、当日は道を間違えてしまったそう。その理由は「通っていた幼稚園と近すぎて、足が自動的にそちらに向かってしまった」ということで、開始早々に会場をわかせました。

公共施設が会場ということで、ゲンロンカフェとは違った雰囲気に

幼稚園の話題から始まったこのイベント。五反田界隈が「生きるのにも死ぬのにも便利な街」だということが話題の中心になりました。近所に桐ヶ谷斎場があるためです。星野さんのご自宅(戸越銀座)からは、徒歩10分という立地。星野さんのおじいさんが荼毘に付されたときには、なんと星野さんは、遺骨を徒歩で持ち帰ったということでした。
その他、おばあさんが亡くなった病院や、幼稚園を運営している寺も徒歩圏内。そのことを星野さんは、「生まれて、骨になって、葬式するまでが徒歩圏内という特殊な環境だった」と表現します。幼稚園のときに寺の墓地で芋掘りをし、「墓地だけあってカルシウム豊富な良い芋が取れた」というエピソードも飛び出しました。また幼少のころは、「霊柩車を見たら親指を隠せ」という迷信に従い、毎日親指を隠していたのだとか。
星野さんがその地元を好きになったのは、他の土地での生活を経て、五反田に戻ってきてからだったといいます。それ以来、外国を見るように地元を見るようになったと語る星野さん。飛行機が通れば、飛行機が建物スレスレを飛んでいた香港を連想し、桜田通りには東ベルリンの大通りを重ね、蒲田駅はベルリン中央駅とそっくりに見える。それは狭い地域で生きてきた人間が楽しむための戦略なのだといいます。『世界は五反田から始まった』というタイトルは、そんな想像力から来ているのかもしれません。
 

 またイベントでは、星野さん愛用の仕事道具も紹介されました。「無印良品のノート」(一冊100円)と、「リラックマの鉛筆」(B4)です。連載が始まると、まずその連載のノートを作るという星野さん。ノートを開いてしばらくは「お腹すいた」といったことを書いていき、あるタイミングでスイッチが入り、原稿になるのだといいます。ノートを開くことは「仕事をしている感を自分に見せる」ための「助走」であり「準備運動」、原稿のことは「試合」と呼んでいるというお話が印象的でした。

お気に入りの文房具たちを語る星野さん

ちなみに『ゲンロンβ』(『世界は五反田から始まった』連載誌)のノートは、「2014年6月29日、イスラーム国誕生」という内容から始まっているそうです。これは星野さんとゲンロンカフェの出会いが、常岡浩介さんと東浩紀の「イスラム国から考える」イベントだったため(https://vimeo.com/ondemand/genron20150410)。そこから星野さんとゲンロンとの関係が始まったと思うと感慨深いものがあります。
 そのノート以上に、星野さんが偏愛していたのがリラックマの鉛筆でした。もともと本を読むのが好きではない(「文学を読めと言われると泣いちゃう」という図書館泣かせの発言も!)という星野さんですが、対照的に書くことは好きだと語ります。ただそれは、鉛筆で文字を書くという行為そのものが好きで、「説明書の写経でもいい」とのこと。
その偏愛は幼少期からのもので、図鑑で鉛筆の作り方を知ったときに目が輝き、なんと「将来は鉛筆工場になりたかった」のだとか。その鉛筆愛はいまもとどまることを知らず、リラックマの4B鉛筆を10ダースくらいまとめ買いしているというお話でした。ちなみにイベント後みせてもらった鉛筆には、「ほしの ひろみ」と名入れがされていました。

聞き手を務めたゲンロンの上田洋子

そんな地元愛と鉛筆愛が全開になったこのイベント。質疑応答も大いに盛り上がりました。なかには『世界は五反田から始まった』に登場する「海喜館」のオーナーの親類のかたもいらっしゃいました。じつは、このイベントでのお客さんからの情報をもとに、3版では新たな追記が追加されています。もし、まだ同書をお手に取っていないようでしたら、ぜひご購入をご検討ください!

イベント終了後に記念撮影。右は五反田図書館館長の堀尾さん

『世界は五反田から始まった』は、ご当地・五反田駅そばのブックファースト五反田店さんや戸越銀座の明昭館書店さんほか、全国書店、AmazonなどのECサイトでも好評発売中です!


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