全部終わったら伝えるから

　俺にはいくつかの夢がある。将来的にはその夢全て叶えるつもりだ。
" 人生は一度きり、だから貪欲に生きなきゃなぁ "
死んだ親父が良く言っていた言葉だ。まあ……きっと貪欲に生き過ぎたせいで死んじまったんだろうけどさ。
死んじまったら何にもなんねえよ。親父。

俺の朝は早い。朝日が登り始めるまだ暗い中目を覚まし、朝食の準備を始める。朝食には決まって弟の好物の焼いた卵を出す。母さんと俺しか知らない隠し味が入っている。母さんから教わった秘伝のレシピってやつだ。
昔一度焼いた卵を朝食に出さなかった事があったが、その日一日弟は口を聞いてくれなかった。
" 愛しているならとことん愛を貫きなさい "
母さんの口癖だ。まあ……愛を貫きすぎた結果が親父と一緒に死んじまうってのはどうなんだ？
死んじまったら愛も貫けないんじゃないか？　母さん。