業と理想 - それこそ人間らしいって神様は笑ってるの -

 生きていく。理想を持ったまま。
 何も変わらず、変わってしまったのはこの世界なのだと、理想を掲げ。
 僕はあの日からずっと待ち焦がれていた。
 新たな再生を。
 君の腹の中、十字を切られ、外の世界から目を逸らし、耳を塞ぎ。
 君が誰よりも愛した僕だから、君は君の中で大切に僕を守ってくれたのだろう。
 君が誰より愛した僕だから、君は僕を閉じ込め、また口無しにしたのだろう。
 君が産んだ僕だから、僕が壊した君だから。
 君のカルマも僕のカルマも交わる事はないのかもしれないけれど、僕の理想と君の理想はいつでも近い所にいたよね。
 だから苦しくなって、君は君に戻れなくなって、沢山のものを壊して、沢山のものを傷付けたね。でも大丈夫だよ。それは君じゃなくて、僕だから。
 でも最後僕を守ってくれたのは君じゃないか。
 世界に抗い、命を削って、僕を閉じ込めてくれたのは君じゃないか。
 僕が僕を出来なくならないように。
 僕がこれ以上泣かないように。
 本当に感謝しているよ。
 感謝しているなんて、変な言い方かもしれないけれど。

 業と理想を経て……

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803字
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