彼女の指先は何を奏でるか ⑨
指先が冷たくなる。懐かしい風の香り。乾いた空気に焼きたてのパンの匂いが乗っかって私に朝を告げる。
路上ライブ、いつも歌を聴きにきてくれる常連さん、幾らかの小銭を入れてもらったギターケースにガムテープで補強した譜面台。
二十一時を過ぎた頃の駅前、仲間内で居酒屋へ向かい反省会と言う名の打ち上げ。
二軒目、三軒目、外が明るくなる。
おぼつかない足取り、あなたの支えで歩く朝方の冬が好きだった。
あなたの服にこびりついた煙草の匂い……チャコールフィルター……私には良くわからないけれど。
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