彼女の指先は何を奏でるか ②

 彼女と僕は付き合っている訳ではない。二年の月日が流れたが、関係性は出会った当時と変わらず “ 犬と飼い主 “ といった感じだ。毎日のように出かけていく彼女に行ってらっしゃいを告げ、帰ってきた彼女をお帰りなさいと迎える。その後は決まって食事の話だ。
彼女は料理が作れなかったし、作ろうともしない。当然僕も何もしたくないと思っていたし、料理を作る気もない。むしろ変に料理をして指を切ってしまったらどうするんだ? という不安の方が大きかった。
彼女は決まって夜の八時頃に帰ってくる。何をしているかは知らない。仕事をしているのか遊んでいるのか、僕には関係ない事だった。しかしいつも僕は夕方の四時頃に腹が空いてくるので、今日は彼女がコンビニでお弁当を買って帰ってくるのか、出前にするのかには毎日興味があった。
……アレはいつの事だっただろうか。

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