彼女の指先は何を奏でるか ②
彼女と僕は付き合っている訳ではない。二年の月日が流れたが、関係性は出会った当時と変わらず “ 犬と飼い主 “ といった感じだ。毎日のように出かけていく彼女に行ってらっしゃいを告げ、帰ってきた彼女をお帰りなさいと迎える。その後は決まって食事の話だ。
彼女は料理が作れなかったし、作ろうともしない。当然僕も何もしたくないと思っていたし、料理を作る気もない。むしろ変に料理をして指を切ってしまったらどうするんだ? という不安の方が大きかった。
彼女は決まって夜の八時頃に帰ってくる。何をしているかは知らない。仕事をしているのか遊んでいるのか、僕には関係ない事だった。しかしいつも僕は夕方の四時頃に腹が空いてくるので、今日は彼女がコンビニでお弁当を買って帰ってくるのか、出前にするのかには毎日興味があった。
……アレはいつの事だっただろうか。
ここから先は
953字
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/33843627/profile_9233f531062c57289c9f4d6fde8d9244.jpeg?fit=bounds&format=jpeg&quality=85&width=330)
一話完結(たまに前後等でリンクするお話有り)のお話を毎週金曜日20時に配信しています。
一度ご購入頂ければ、現在配信中の全てのお話を読む事ができます。
THE CONNECTIVES
¥1,500 / 月
短編の詩集です。
いつも応援有難う御座います。竹渕はいつも皆様に支えられています。これからも生きる。