雪、降り続いた朝には

 今年の冬はいつもより冷える日が多い。雪なんてここ数年積もった所を見ていなかったが、ここ数日降り続けているせいで、街を真っ白に染め上げてしまっている。
このまま降り続く事があったら家の中で遭難するのではないか? そんな不安も覚える程だ。朝が来たら玄関の扉の前だけでも雪掻きをして " もしも " の時に備えた方が良いだろう。
朝、扉が無事開く事だけを祈って私は眠りについた。

 アラーム音が部屋中に響き渡り、冷えた重たい瞼をゆっくりと開く。
カーテンの隙間から久しぶりに太陽の光が顔を覗かせていた。

「雪……止んだのか?」

体を起こし、毛布を頭から被ったままベッドを降りる。
氷のように冷えたフローリングが足の指の感覚を鈍らせる。
震えながら電気ストーブのスイッチを入れ、数ヶ月ぶりにカーテンを引いた。
反射で目を閉じてしまう程の光が部屋を包み込む。数日かけて積もった雪のカーペットに太陽光が乱反射し、白銀の世界が広がっている。
屋根に出来た氷柱は早速溶け始め、粛々と涙を流しているようだ。

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