今日があなたの昨日になるかもしれない日

 太陽が今日も沈んでいき、世界が茜色に染まり始める。
この世界の箱の中、車窓という額縁から覗く一刻の絵画は今日もとても輝いていて、きっと同じものは二度と見る事が出来ない。
時間はいつも残酷に流れるが、同じ世界を過ごす事は出来ないと考えると、何だか全ての事柄に意味があるようにも思えてくる。
皆、同じ時間を過ごしているはずなのに毎日違う時間を過ごしている。
当たり前だけれど、当たり前ではない事。
私は今日もこうして世界を見つめ、人混みの中に身を潜め、私の時間を黙々と堪能しているのだ……と心の中独りごちる。

「……今日もこの時間とはお別れだ」

電車が最寄りの駅に到着し、ドアから降りようとした時、私の目の前を塞ぐように電車に乗り込もうと身を前屈みに向かってくる人がいた。

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