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同居人が創業した会社に入社したら、彼が自分の部下になり、また上司になった

こんにちは。D2C×SaaSのSUPER STUDIOでコーポレート責任者をしている大谷です。

今日はタイトルの通り、取締役として会社を創業した友人が、その会社を退任して従業員になり、また取締役に就任となるまで心折れなかった話しをつらつらと書いていこうと思います。ポエムです。

今回お話しするのは、私の友人(いわゆる腐れ縁)であり、SUPER STUDIO取締役CROの真野勉という人間の話です。

真野ってこんな人

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1987年、東京都出身。青山学院大学卒業後、ITベンチャー企業へ入社し、全社MVPをはじめ様々な活躍を通して同社の東証マザーズ上場へ貢献。SUPER STUDIOを共同創業後、専属営業1名でおよそ100社へのEC Force導入を実現し、採用人事として100名規模に至るまでリファラル採用をけん引。現在はCROとして企業間アライアンスをリードしている。

ひとつ屋根の下で過ごした新卒時代

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ーー "おい真野、起きろ!カラオケいくぞ!"

僕らは共に、2012年 大学を卒業し新卒でITベンチャー企業へ入社しました。Twitterで知り合い、入社先同士が取引関係にあったこともあり、何度か会ううちにすっかり意気投合し、「寝るだけなのに払う家賃なんて勿体ない。だったら一緒に住んで、学びの場にしよう」とテキトーな話で盛り上がり、実際に私がもうひとりの友人を誘い、男3人でルームシェアをすることに。場所はもちろん会社から歩ける距離が良い(若い僕たちには通勤時間さえもが憤怒の対象だった)ので、毎晩若者で賑わう渋谷円山町で。

朝から晩まで働いて、帰ってきたら家のホワイトボードの前に集まり、新しい事業のブレストや「一つ上の視点で考えるってどういうことか?」みたいな意識の高い話し合いに明け暮れる。土日もお互い仕事か勉強しかしていないので、文字通りずっと一緒にいました。

僕はお酒が好きなので、よく同僚や先輩と飲みにいき、深夜に帰っては寝ている真野を叩き起こし、上記のような意識高いやり取りをしたり、カラオケに誘って遊んだり。今思えば、彼がお酒を飲まないのに健康診断の数値が悪いのは僕に原因があるのかもしれません。

そして僕は2013年、もうひとりの同居人と共に起業し、3人暮らしを解消しました。

別々の会社でパートナーシップを組んだ起業時代

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ーー "本当ごめん!いつ入金される?"

SUPER STUDIOはトラクションが出るまで大胆なエクイティファイナンスを実行せず、出来る限り自力で走っていきたいという考えから、当時真野だけは受託制作も行っていました。

私の会社も次第に制作リソースが枯渇し、久しぶりに再会したことをきっかけに、真野に制作の依頼を発注していました。しかし、真野はWeb開発ディレクションなんて未経験。期日通りにチケットは消化しない、求める品質に追いつかない。ただ驚いたのが、そういった点について私が居酒屋で飲みながら激詰めしたとき、一通り謝った真野が放った一言です。

本当にごめん!さっき言った再発防止は必ず期日通りにやりきります!・・・こんな状況で申し訳ないんだけど、これって何月に入金されるかな?(うろ覚え)

最初は怒り狂ってた僕も、会社の存続のためプライドをかなぐり捨てて突き進んでくる真野に、「こいつはすごいやつだ」と思ってしまったことを覚えています。もちろんキレながら「納品したらその翌月末だよ!」と言ったはずですが。

なお、この頃僕が脳内出血で倒れてしばらくの間入院したのですが、パズドラのやりすぎだ、と言われたときにもキレました。やりすぎていたのはパズドラではなくクラッシュ・オブ・クランだからです。今思えばそれが最後の、彼への怒りだったかもしれません。

そして僕は、真野の創業した会社に入社した

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ーー "実は、取締役を降りることになったんだ"

紆余曲折ありすぎて割愛しますが、色々あって僕は会社を退任し、2018年にSUPER STUDIOの新規事業開発担当として入社します。真野が経営する会社の一従業員として。

当時真野はシステム営業を主体として活躍していましたが、毎日のように機能開発が行われるEC Forceにおいて、営業戦略の構築と営業実務に忙殺されていました。組織規模の拡大に応じて、カスタマーサポート部門との不和も生まれ始めていた時期でした。

そんなある日、真野に呼び出されて赴くと、こんなことを言われました。

実は、取締役を降りることになったんだ。

正直驚きました。取締役を退任するということはつまり、会社からいなくなることを意味するケースがほとんどだからです。

しかし真野はそんなことを考えておらず、

また1から社内の信頼を獲得し、圧倒的にお客様の信頼を積み上げて、取締役に戻る。

そう約束し、その場を去りました。

気付けば真野が部下になっていた

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ーー "え、家賃たか!"

これまた紆余曲折あり、僕がバックオフィス機能全体を構築しながら、期間限定でEC Forceの事業責任者を担当することに。そうなると当然、EC Forceの営業をしている真野は、いちセールスメンバーとして僕の部下になります。当初は違和感がありすぎて、1on1すらしていませんでした。

その頃から優秀なセールスメンバーが入社し、真野はどちらかというとステークホルダーとのアライアンスや、特殊な座組でのプロジェクト、そして持ち前の人当たりの良さからリファラル採用などにコミットしていました。

会社が急激に伸びていく中で、相変わらず僕にとっては良い相談相手であり気の許せる友人でしたが、明らかに視座が低くなっているのを感じた記憶があります。

実は◯万円の制作案件があるんだけど、請けていいと思う?
(工事中の移転先オフィスを目の当たりにして)え、家賃xxx円!?たかっ!
過去請けた hogehoge っていう案件が大変なことになってて・・・げんき詳しいんだし対応できないかな?

あまりに目線の下がっている真野を呼び出して、偉そうに説教したことを覚えています。真野を部下と思ったことなど無いので、なおさら以前のような視座に戻ってほしかった。丁寧さを欠いた仕事もあったり、一部メンバーからは苦情が出ることもありました。

しかし最終的には案件も自分で巻き取り、苦しい思いをしながらも必死に回収しきったとき、気付けば社内のメンバーからの苦情は僕の耳に入ってこなくなったのです。

そこからの真野の快進撃は凄まじいものでした。何が降りてきたのか未だに分かりませんが、どんどん大きな話を持ってきては、自分だけで抱えず社内で有識者に相談しながら形にする。またかと言うくらい新たな仲間を連れてくる。

そして何より彼は、いつだって会社視点で物事を考えていました。経費を使うとき、人を採用するとき。どんな判断をするにしても、いつも自分都合ではなく、「会社」という法人格の目線で多くを見て考えて、その度に憂鬱になったりもしていました。GIVERであり徹底した組織人格を持つ真野に対して、僕からの相談量も日に日に増えていきました。

そして2020年7月1日、真野が取締役就任

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ーー "もし真野が取締役になったら、どう思いますか?"

ある日、取締役COOの花岡に呼び出され、こんなことを尋ねられました。

もし真野が取締役になったら、どう思いますか?

僕がやたらと真野を詰める過去があったからか分かりませんが、これまでのこと、そしてこれからのこと。腹の底にあるすべてを話し合いましたが、花岡には「大谷が真野に対して良いと思っているところ」と「悪いと思っているところ」が手に取るように分かっているような雰囲気でした。実際、99%把握されていると思います。

そして(諸事情でお知らせが遅延しましたが)、偶然にも真野の誕生日である7月1日、取締役へ再任という形になりました。

CROの "R" が指すのは以下です。

Revenue / Relationship / Resource

まさに真野のこれまで活動してきたこととぴったりで、リレーションシップによって経営資源を指数関数的に増やしていく責務を担っています。

弊社にはこんな考え方があります。

役職の安売りはしない

永続的な組織繁栄のため、高い基準を持っていたい。だからこそ役職においても厳正な基準を設けていきたい。そう本気で考えています。真野のケースでは、営業という専門領域に加えて、財務知識を勉強して習得し、広報周りにもコミットしていった結果が今回の人事であると思います。

そして何よりも、組織人格であること。組織が大きくなると、時代の変化など様々な背景からちょっとした価値観のズレが複数生じてきます。それを、社外の人との議論や自己学習を通して微細にチューニングし続け、長期目線をもって今あるべき姿を考え実行していく。言葉にすると簡単に見えますが、シンプルが故にとても難しいことだと思います。

自分の創業した会社で、しかも未上場フェーズで、取締役から従業員になる。そして再び役員になる。そんな経験をすることは非常に少ないのではないでしょうか。明らかに心の折れる出来事にも関わらず、むしろさらに成果を積み上げていったという事実に、目頭が熱くなった日もありました。現実、会社間で比較的大きなアライアンスなどを組むときに、最前線に立っている真野の名刺に「取締役」の記載がないことで、違和感という意味での不都合が出てきたという背景もあります。

同時に、それを決断したCEO林、COO花岡、CTO村上。林が以前「いつだって真野は会社のことを考えていた」と話したことがありますが、さすがに「真野が辞めてしまうのではないか」と少しは皆の脳裏によぎったはずです。それでも、会社という公器の未来を考えてこのような判断をする経営陣に、とてつもない信頼を僕が寄せたことも事実です。

もちろん見えないことも多いですが、真野の活動によって会社が支えられている側面は非常に大きく、直接は絶対に言いませんが、心の底から尊敬しています。

これからも引き続き、よろしくお願いします!

SUPER STUDIOはまだまだ道半ば。さらに大きくなる弊社を支えてくださる仲間を募集しています!

次は何を書こうかな。

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