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サスティナビリティからランニングを考える 2

 持続可能性の概念は、マラソン大会においても取り入れられつつある。

 例えば東京マラソンの大会サイトにはペーパーレス化、荷物預けなし、洋服ポストの設置、電動バイク・自転車の導入、植物由来合成繊維の関係者のウェア、伐採材製のコップなどを持続可能性への取り組みとしてPRしている。大会主催者やスポーツ関連企業による持続可能性への取り組みは、社会的役割を果たしているというイメージアップにも影響することから、今後も積極的になっていくことだろう。では、大会の持続可能性を考えるにあたり、果たして環境と合理性の取り組みで十分と言えるだろうか。

 北海道マラソンでは、主催者が給水用の紙コップや冷却用のスポンジをゴミ箱へ投函するよう呼びかけているものの、毎回写真のように紙コップもスポンジも散乱している。特に水浸しになった給水所付近では、投げ捨てられた紙コップが後続ランナーに踏まれ、まるで紙粘土のようになってしまい、その清掃作業は困難を極める。
 どうしてこのような惨状が起こるのか。夏に開催される北海道マラソンは、水分補給が多くなる上に、5時間という市民ランナーにとっては比較的厳しい制限タイムとそれに見合った関門が設置されている。そのため、参加者は使用済みの紙コップやスポンジを所定のゴミ箱に投函しようにも時間に追われてしまい、そのような余裕などなくなってしまうのだろう。

 今や急速に超高齢化社会を迎えつつある日本である。マラソン大会の持続可能性を考える場合、従来の制限タイムや関門を設置し続けて、果たして大会を持続していけるのかという懸念もある。環境に優しい大会運営に留まらず、市民マラソンの大会では、制限タイムや関門設置についても、現行のままで良いのかを慎重に検討してみる過渡期なのではなかろうか。

3へと続く

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