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キューバ滞在記

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2018年夏 キューバへ短期音楽留学した際の日記を基に書き起こした滞在記。
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泣いた昼 その夜(14日目)

泣いた昼 その夜(14日目)

いつもの練習場所に行くと、いつもトランペットを練習してるグループの1人に呼ばれた。

「おーい!こっちに来いよ!また変なやつに絡まれるぞ」

匿って?くれるようだ。
キューバのミュージシャンは本当に人が良い。

「日本人だ!エリックミヤシーロは知り合いか!?彼はまだ生きてるのか!?俺習いたいんだ」

「日本でNG LA BANDAは有名か?俺の甥が今あそこでアルト吹いてる」

相変わらず話が止まら

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最高にモテた日(13日目)

最高にモテた日(13日目)

朝カサを出ると、昨日のステージが幻のように消えていた。嘘でしょ??
あんなに照明もスピーカーシステムも、ステージも一晩で!?
キューバってどうなっているのー!

今日は旧市街へ散策に行った。

ビエハ広場で読書していると、いきなり10人程に囲まれ、

写真撮って!

とお願いされる。
良いよ、とカメラを受け取ろうとするがおかしい。
みんな僕を中心にポーズを取り始める。

僕と撮りたいの!?

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馴染めてきたかな(12日目)

馴染めてきたかな(12日目)

僕は一日中、課題とされているスケール、特にオルタードスケールを木陰で練習している。

あまりにもそればかりやっているので、僕はその広場で一部の人からAlterdや略してかaltoと呼ばれるようになった。
いやアルトサックスだからアルトかな。

彼らが本気で冗談を言い出したら、速すぎて全く聞き取れない。

聞き取れたとしてもおそらく、高度な比喩や慣用句を理解しないとその面白さが分からないのだろう

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フレンドリーな人に注意(11日目)

フレンドリーな人に注意(11日目)

キューバ人は陽気で気さくだが、
一部の親しげに話しかけてくる人には注意しなければならない。

旅行ガイド『地○の歩き方』にも書いていた。

「サルサ」とか「ハマキ」とか「ブエナビスタソシアルクラブ」とか
日本人が分かりやすい言葉で話しかけてきて、音楽好きなら誰もが知っているありふれた情報を教えてくれて、お金を要求してくる人がいる。

僕の場合は

「やあミアミーゴ!楽器やってるのか?
良いこと

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Practice hard!(10日目)

Practice hard!(10日目)

練習場所はとにかく管楽器ミュージシャンが多い。

しかも比率は7:2:1でトランペット:トロンボーン:サックスだ。
というかサックスは今のところ僕だけだ。

練習場所の道中に、割と美味しいカフェを見つけた。

これでなんとか、食事と練習時間を確保できるようになった。キューバに来て10日かかったが満足だ。

この練習場所は現地ミュージシャンの心意気で成り立っているように感じる。

心をオープ

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はじめてのセッション (9日目)

はじめてのセッション (9日目)

数回目かのJanioのレッスン。

スペイン語を覚えるのと同じく、音楽にもボキャブラリーを増やす必要があるとのことで、沢山のスケール(音階)を教えてもらった。

帰りに昨日見つけた広場に寄り、隅の方で楽器を構えてみる。
少し音を出してみる。
もうちょっと大きく出しても大丈夫かな?
とか考えながらも後には全開で音出ししていた。

凄く良い場所見つけた!

住宅地からは離れ、wifiもないので人だかり

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見つけた! (8日目)

見つけた! (8日目)

体調はだいぶ回復した。
身体を慣らしに少し外へ出た。

いつもと違う方向へ歩くと、トランペットの音が聞こえた。

これは!と思い、音を辿り、歩く。

すると、林と林に囲まれたちょっとした広場でミュージシャン数名がリハをしていた。
(ティンバオルケスタのホーンセクションだった)

ついに見つけた練習場所!!

今日は体調が万全でないので、控えるがこれからはなんとかして、コミュニティに潜り込もう。

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ついに...(7日目)

ついに...(7日目)

体力の限界というのか。

連日の炎天下フィールドワークで身体がおかしくなったのか、目が覚めた瞬間めまいがして起き上がれない。

これはまずい。

事故、事件、体調不良。旅先での大問題だ。
とにかく、しんどい。

毎日掃除をしているお姉さんにカタコトで状況を伝え、バナナと水を買ってきて貰った。
スペイン語能力の上達を実感したが、そんな場合ではない。

とにかく安静。
バナナをたべて、水を

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デートに誘われた!(6日目)

デートに誘われた!(6日目)

CD屋さんへ行った。

ジャズのコーナーは小さい。
やはり、メインストリームはTimbaや最近流行りのreggaetonだ。

キューバの若者は変わった形のスピーカーを持ち歩き、超高音質かつ重低音のレゲトンを街中でかけながら歩いている。

なんなら、家の中から信じられない爆音で流行りの音楽を鳴らしている。
私のカサの下のテナントがこの区画で一番大音量だ。

高知県民なら、小さいよさこい祭り

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朝食と水の話(5日目)

朝食と水の話(5日目)

僕の利用しているカサは朝食も頼めば出してくれる。

・マンゴーやバナナ等のフルーツ
・トーストが盛りだくさん
・パウンドケーキのようなスイーツ
・フレッシュジュース
(いわゆる果汁100%のジュース)
・コーヒー
・卵2つの目玉焼き

とにかく量が多い!(写真撮り忘れた!!)

しかし、僕は毎日平均14kmほど歩く屈強な日本男児である。
3日目からはペロリと平らげる身体になってしまった。

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旧市街とジャズカフェ(4日目)

旧市街とジャズカフェ(4日目)

今日は旧市街(Habana vieja アバナビエハ)へ行く。
いわゆる”お街”だ。

ビエハまでだいたい2kmといったところ。この距離はもう誤差のようなものに感じられる。

観光客がものすごく多いCalle Obispo(オビスポ通り)を中心に旧市街をくまなく散策した。

世界遺産に登録されている美しい街に生演奏が鳴り響く。
モヒートも美味しい。

道中、日本食堂という日本人女性の経

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河野さん(3日目)

河野さん(3日目)

今日は唯一の在キューバ日本人プロミュージシャンである河野さんに会いに行く。

僕のカサから河野さんの家まで約6km。
これまた遠い。
僕は挫けない。歩いて向かう。

途中で心が折れそうになるが、目的地付近まで来れた。

しかし、家が見つからない。困った。
こうなると現地の人に聞くしかないが、
案外理解してくれた。

近くの人が案内してくれて、なんとか辿りついた。

河野さんは冷たい水とジュ

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はじめてのレッスン(2日目)

はじめてのレッスン(2日目)

一睡も出来なかったが、朝はくる。

この日は事前にコンタクトを取って、私の指導を快く引き受けてくれた
Janio Abreu(ハニオ アブレウ)のレッスンを受けに彼の自宅まで行かなくてはならない。

彼は新進気鋭の若手ミュージシャン。
クラリネットで学位を取っているが、サックスの演奏も素晴らしい。

僕のカサから彼の家までは約5km。
この旅は貧乏旅だ。空港以外タクシーを使うつもりはない。僕は

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Tokyo-Havana(1日目)

Tokyo-Havana(1日目)

出発の朝
僕は緊張を解すため友からお土産で貰った梅酒を開封し、ストレートで飲み干した。
おいしい。
長い一日が始まる。緊張は解けない。

居ても立っても居られない。
僕はチェックイン時間の2時間前に羽田空港に着いてしまった。
飛行機という恐怖の乗り物に乗り、初めて日本の外へ向かうのだ。緊張は無理もない。
本を読み時間は過ぎた。

機内
隣に座った欧米系女性2人組。座席に付いているモニターで「L

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