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自転車旅 第4話 『あつい、そんな日』



5月30日


4日目。




・初テントから一夜明け




・朝5時。

初テントから一夜が明けた。
寝た感?もちろんゼロ
寝たっていうより目を瞑ってたって言った方が正しい。


風の音、虫の鳴き声、人の話す声。

全部が気になって寝れない。寝てても音が聞こえるだけで、ん?ってなってしまう。
幸いなことにヤンキーさんに何かされることもなく、無事に朝を迎えた。


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少し時間が経つと、ゴミを出したり会社に出勤する方がいるので、人目につくのはアレなのですぐさま準備。



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本日の朝飯。あんぱん最強説は健在


昨日のエグい雲。
少し心配したが結局雨は降らなく、逆に今日は気持ちいい青空。

朝飯を食いながら、疲れゲージが70を超えてる脳みそを頑張って回す。

そういえば、昨日の夜怖くて逃げ出した「三保の松原」。

今日は天気も良いし行こうかという話になり、向かうことに。

夜調べた時とは違うルートだった。
ん、じゃあ昨日の暗闇は一体、、、?



・確実に迫り来る魔物



・午前8時前

羽衣の松という松の木を通り抜けると、そこには海が。
着いた。

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地味に富士山が。ひょっこりはんレベルの顔出し。



良い景色。この時間はまだあまり人はいない。

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いるのは釣りをしてる玄人達のみ。

僕らみたいな人達はいないのではしゃぎ放題。

砂は細かい訳ではなく、体に付きにくい奴(?)だったので、座ってぼーっとする。


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相棒もテンションが上がって素振り。

いや、よく「The 素振り」みたいな木見つけたな。


元気な相棒を横目に、空と海を見つめる。

こういうときって、生きてるって感じするよね。



そのままぼーっと眺めている呑気な僕は、確実に迫り来る魔物に全く気が付かなかった。

不意に視界がグラついた。
最初は「なんだ?」くらいの感覚だったが、そのまま瞼が下に落ちてくるので異変に気づいた。


一体何が起きているのだ。
サスペンスなら睡眠薬、アクションなら毒針、ファンタジーなら異世界だが、これは圧倒的日常であり、サスペンスでもアクションでもはたまたファンタジーでもない。


考えられるのはこの一択であり、そしておそらくこれは確実であろう。


そう、眠気だ。


しかも意識の裏側から攻めてくる完璧な殺し屋。


まさに「睡魔」である。


睡魔には従うしかないと古代の石版にも書いてあったように、僕は落ちてくる瞼をそのまま受け入れた。








・9時半

目が覚めるとそこにはさきほどの海はなく、砂漠になっていた。相棒もいなく、どこを探しても砂、砂、砂。

なんてことはない。さきほどの海だ。

周りを見渡すと隣で相棒もぐっすり寝てた。

こいつに関してはどんだけ寝んねん。


ある程度時間が経っているので、人もチラホラ来ている。
本日は晴天なので、写真撮る人が多い。

今日は浜松を目指す。昨日も目的地には着かなかったが、目標は高い方がいい。


さあいざ出発。




・燃やす


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良い道。


今日も今日とて、海沿いを走りまくる。


僕は晴れをおかずにご飯3杯は食べれるので、テンションも自然と上がる。

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ほら。大上がりしてる。

めちゃイケの三ちゃんぽい顔してるねって思った方はコメントして下さい。記念にブロックします。



本日はご覧の通りめちゃくちゃ暑い。
暑いので途中で休憩しながら進む。

そういえば相棒がケツの痛さに耐えるため、パンツの中にタオルを敷いてチャリをこいでいるので僕も真似してみたが、下手なのかより痛くなったから止めた。

あ、書いてないだけでケツはずっと痛いですよ。




・11時半

チャリを漕ぎ続けていると、途中で山を越えなきゃいけないらしく、螺旋状の高速道路のようなところをこぐ。

ここ漕いでいいのだろうか?

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車を止めるような場所があったので小休憩。

こういう橋って、むちゃくちゃ風が強い。


ほんで車のスピードが速いこと速いこと。。

流石の僕らも一旦この場所で足を止め、車の流れが無くなるのを待つ。

あまり写真では伝わらないが、ここ結構な坂道。

登坂×橋×風。

=死です。



この先はトンネルがあり、どれくらいで登坂が終わるかも分からないので、集中する。


車の流れが無くなったのを見てGO!
ハンドルを握りしめ思いっきり漕ぐ!



20秒後。
疲れも溜まってるせいでもうへばった。

ただ、止まってしまうと危ないので漕ぎ続ける。
狭い道になり泊まるところもないため、もう死にものぐるい。

チラッと後ろをみる。

あれ、相棒は?


相棒の姿が見当たらない。
まさか、、!と思ったが幸いにも轢かれてはいなく、ヨロヨロとチャリをこいでる姿が遠くに見えた。


良かったと思う気持ち半分、ヨロヨロなので倒れんちゃうかという気持ち半分。


予想外に険しく長い道のりで、途中の民家が見えるまで10分以上かかった。気がする。


ようやく休む場所があったので、そこ少し休憩。

休憩してると民家のおっちゃんが話しかけてきた。

流石にこんなとこをチャリでこぐのはキツイらしく、なんか褒められた。もう少しいくと下り坂が多いらしい。


さ、もう少しだと気合い入れ直し、ヘロヘロのおじいちゃんみたいな相棒を引き連れて坂を登りきる。



言われた通り、途中からずっと下り坂で風に揺られながら進んだ。暑さで燃えた体、緊張感で燃やした命を冷ますかのようなその風は、別段気持ちが良かった。





・13時


ようやく焼津に到着。
少し進んでコンビニで休憩。

イートインで充分しながらペヤングを食す。
なんか1年ぶりくらいにペヤング食べたけど、中々美味しいな。


・着火剤




・15時

先に進む。

そういえば、僕は免許合宿に行った時、ここら辺の場所だったから、見慣れた景色を漕ぐ。

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ああなんて懐かしい。



そういえば、目がかなり痛い。日差しの影響をモロに受けるので、ずっしょぼしょぼしてる。

調べてみるとあまり良くないので、100円ショップでサングラスを買うことに。


買ったサングラスがコチラ。


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相棒様。




いーやジャンゴやないか。


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ワンピースのジャンゴさん。



なんか僕より似合ってたんで、相棒のサングラスと交換した。(無理矢理)


・16時

ここまでゆったりと走っていたが、時間も時間なので、流石にやばいなと思いながらチャリを漕ぐ我ら。


とは言っても疲れてるわけで、サングラスの笑いのおかげで少しはスピードが出たものの、中々火はつかない。



しかし、この後すぐに火はついた。

多分10キロくらいでダラーっと話しながらチャリを漕いでいると、学校帰りであろう学生の1台のママチャリが僕らを悠々と抜かしていった。


あいつ何だよ(笑)と、新入生をいびる先輩の様な雰囲気で、またママチャリを抜き返した。

が、ママチャリ新入生は目にも止まらない速さで僕らのことを再び抜いた。


片やロードバイク、片やママチャリ

これだけのことだが、1人のアスリートのプライドに火を付けるには充分な要素である。

相棒の導火線に火がついた。


猛烈なスピードで追い上げるスプリンター相棒。
一瞬、弱虫ペダルの鳴子章吉に見えたが気のせいではないだろう。

だが、ママチャリ新入生は更に加速していく。


アツい。最高のアツさ。
と1人で笑いながら後ろでゆっくりチャリを漕ぐ僕。


結局目に見えない先にまでいってしまい、どっちが勝ったか分からなかった。

後を追うと、途中の道で相棒が待っていた。

「どうだった?!」


「勝てませんでした。」


いやどんだけ強いんだよ!


・景色に触れる



・17時30分



ママチャリ新入生のおかげで僕達のチャリはスピードに乗ったまま進み、ちょっとした山を超え海辺の方に来ていた。



旅の醍醐味といえば何かと聞かれるならば、僕は「景色」 と即答する。


たまたま海の方まで来た僕らは、まさに旅の醍醐味を味わう。


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良いねえ


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良いねえ!


すげー良い。

写真じゃ伝わらない事もあるので、動画をぜひ見て頂きたい。


(良ければ是非フォローして)





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・19時30分

気づけば辺りは暗くなり始め、飯を食べて充電する場所がほしく、近場にマックがありもう少し先に進みたかったが、先に何もなさそうなので寄ることに。



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最高のセット


先に進むか、ここらで寝るか考える。
先に進むにも、奥に特に寝るような場所(河川敷や公園)はなさそうで、あっても10キロ先とかなので、近場で探す。


・21時30分


携帯が回復するのにだいぶ時間を使い、こんな時間に。

寝るところを探す。

昨日同様、田舎なので街灯も少なく、めちゃくちゃ暗い。

幸いにも虫やカエルが音楽会を開いてくれてるので賑やかだが、田んぼが多く、寝る場所を見るけるのに時間がかかった。

30分くらいしてようやく寝れそうな公園を発見。




アパートや塾が近いので、怪しまれないか若干不安だが、寝ることに。



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コチラをみる相棒。なんかイヤ。


今日は昨日と違い、ぐっすり寝た。
ただ次の日、僕らの目覚めは決して良いものではなかった。

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