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神田松之丞が神田伯山になるということ。

20年以上前になりますか、うちのばあちゃんが友達と行くはずだった歌舞伎に、あまりが出たということで、一緒に銀座の歌舞伎座に見に行ったことがありました。

歌舞伎についての知識はゼロであり、興味もゼロの状態。

演目は「勧進帳」だったと思いますし、「名前くらいは聞いたことがある」っていう人間国宝の方々が何人かいるような舞台でしたが、退屈すぎて途中で寝ました。

意味わからんw

もちろんね、「芸術を楽しむためにはある程度の知識と教養が必要である」っていう世界を否定する気は全くありませんし、歌舞伎という芸事が国の補助などに頼らずこれほど長い間親しまれているということは、それだけの魅力があることも一切否定しません。

「私にはわからなかった」というだけの話であって。

で、講談。

これまで、講談というものに生で触れたことはありませんが、テレビで何度か見ることはありました。

私の記憶の中では講談というのは「女性がやっているもの」であり、「女性が講談師になった」って時にニュースになって露出をするって感じのものでした。

残念ながら、「面白い・興味深い」って感じたことは皆無です。

そんな中で出会った神田松之丞。

いつどんな形で聞いたのかは覚えてませんが、テレビで見たその短い話に衝撃を受けたわけです。

とにかく、その話に引きつけられ、飲み込まれ、圧倒された。

講談に魅力があるのはもちろんのこと、枕話の毒舌も最高に面白い。


松之丞の話を聞いて思いましたね。

講談に魅力がないのではなく、講談の魅力を伝えてくれる講談師がおらず、講談の魅力を知る機会がなかったのだ、と。

落語もそうですが、多くの人は落語を聞いたことがなく、たまたま聞く機会があってもなんだかようわからん全然面白くない話を聞かされて、「うん。わたしは落語はもういいかな・・・。」って気持ちになってしまうケースが極めて多いはずで。

是非、柳家小三治、柳家三三、柳家喬太郎、立川志の輔、立川談春、三遊亭歌武蔵、桃月庵白酒あたりの短めの落語を聞いてから判断をして頂きたいと思います。

で、松之丞のこの話。




能楽師の方とのコラボですが、まあ、見事です。

冬の夜の河原が、恨み、憎しみ、悲しみがこもった殺人現場になっている情景が見事に表現されています。

5、6分の短い怪談ですので、是非、見てみて下さい。


この2月で、神田松之丞は真打ちになり、「神田伯山」という「止め名(その世界で最高峰の名前)」を名乗るそうです。

芸人っていうのは、「名前だけでも覚えて帰って下さい。」「ほんとだね!(サンドウィッチマン)」ってくらいに、名前を覚えてもらうのが大事なことなわけですが、ようやく人気の出てきた感じの松之丞がその名前を変えてでも襲名するっていうアレコレは、講談という世界をもう1度世に出すために必要なことであるのでしょう。

松之丞の師匠の神田松鯉という人は、先日、人間国宝になったそうですが、Youtubeで見る限り、松之丞の話と枕の方が全然魅力的です。


私はとにかく、「自分が面白い・ステキと感じない話や音楽や芸やショーなんかは15秒でも見たくない!」というタイプなので、つまらないものは紹介しません。

「埋もれかけていた」と言ってもおかしくはない講談という芸を、もう1度世に知らしめる松之丞、じき伯山に期待です。

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