礼節として人を悼むこと。

すったもんだしまくった安倍さんの国葬が終わりました。

私としては、「憲政史上最長の任期をほこった」っていう1点においてのみ、国葬にする意味はあると思ってましたが、たしかに国葬に根拠法があるわけではなく内閣の権限として儀式を行うことに違法性はないものの、亡くなってからこれだけの期間があったんだから、国会で審議を通すべきだったと思います。

さらにメガネ総理が謎に長期の間を作ってしまったことで、反対派の議論（？）的なものも日増しに高まり、ほんとかどうかは微妙な世論調査では反対派の数が上回り、多分確実に正確な内閣支持率も下がっていましたね。

しまいには、反対派のバカ女が、「国葬当日の黙祷の時間に音の出るものを持ってきて鳴らそう！」とかっていう人としてありえないような妨害行為を煽り始め、普段は「バカだな、こいつら。」くらいにしか思わない私も流石にむかっ腹が立ちました。

「弔意の強制をするな！」って主張は全然わかるし、私だってそんなことは心の底からイヤなんですが、そう言って国葬に反対していた人たちが、「1人の人間が1人の故人に対して、その死を悼み平穏を静かに祈る」っていう行為を妨害するとかって、マジで心の底から意味がわからない。

やっていいことといけないことの区別すらついていない。

当日どうなるかと思っていましたが、無事に式次第は進み。

メガネ総理の弔事が、「新郎新婦とほとんど関係のない新郎の父の仕事関係の知り合いでその人が延々と『それではここで我が社の業務内容をお話させて頂きたいと思います』とかって永遠に語るクソ結婚スピーチ」的で見事でした。

ジャパニーズバッハかよ。

で、衆議院、参議院の長と最高裁の長が弔事を読んだあと、友人代表として菅さんが弔事を読みました。

菅さんなら少しは良い話をしてくれるだろうな、ってちょっと期待していましたが、最初の、時の流れと季節の流れの話あたりで目頭が熱くなりました。

2度目の総裁選出馬を迷っていた安倍さんを、焼き鳥屋で3時間かけて説得し首を振らせたことが菅義偉最大の仕事であったとか、8年近かった総理と官房長官の関係のアレコレや、安倍さんと同じく凶弾に斃れた伊藤博文を思って山県有朋が詠んだ「かたりあひて尽しし人は先立ちぬ 今より後の世をいかにせむ」っていう歌を用いたところとか、本当に見事であった。

もちろんスピーチライターがいて雛形なんかは作っているのでしょうが、メガネの弔事が全然アレであったことを考えると、やはり大方は菅さんが自分の言葉でまとめたものなのでしょう。

多くの人がメガネの弔事には触れず「菅さんのお話は素晴らしかった」って言ってましたが、私は菅さんの弔事を聞いて「人を悼み、悲しみを共有し、頭を下げて、故人とその残された人々の平穏を祈る」っていうのはこういうことだよな、って思ったんですね。

誰もが菅さんのように素晴らしいスピーチを出来るわけでは全然ないですが、献花所に多くの人が花を持って並んだように、心を込めて故人を偲び祈りを捧げるということは、人間という生き物が人生という厄介なものをやっていく上において、極めて重要なことであると思うんです。

先日も、私の大好きな人が亡くなり、そのお別れ会に行ってきましたがそこには本当に多くの人が参列していて、残された家族に涙ながらに声をかけていました。

でね、大事な家族を亡くした悲しみは消えることはないでしょうが、悲しみと共にあった痛みは、かなり和らいだんじゃないかと思ったわけです。

悲しみは消えないけれど、痛みはさ、手を合わせ共に泣き、肩を抱いて横にいてくれる人がいれば、相当に弱まるものなんだよね。

だからこそ、人は古来から亡くなった人の墓所に出向き、花を手向け、頭を下げて祈りを捧げ続けてきたわけで。

今日に至るまで。

私はね、グダグダだった国葬事案も、菅さんの最後のスピーチでその本来の意味性を皆が理解して心に刻んだと思ってます。

そしえ、あーだこーだと理由をつけて「人を悼む」ということすら放棄した人々を、さて私たちは私たちの代表として総理総裁お大臣として担ぐのか？って言ったら致命的に「なし」だと思うんですね。

「国葬の決定プロセスには反対だが、安倍さんへの弔意は別」って言って参加した人は別として、政策がどうとかマニフェストとかどうとかってこととは違う次元で、「人として無理」ってなった人が増えた気がします。

私達がここから学ぶことは、たとえアレコレがあった人間であっても、その人が亡くなったのならば心を尽くして悼むべきである、ってことです。

まして、その方のご家族や関係者の前で批判的なことを言うのなんて絶対にダメ。

本当に仲の良い親友が通夜の飲みの席で「本当にあいつはクソろくでもなくて、出会ってから死ぬまで迷惑しかかけられなかったわｗ」とかって言うのとは全く違うからね。