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ザツダン「被扶養」

外資企業人事部12年目(=人事)と
日本企業営業部12年目(=営業)の2人がザツダンで「被扶養」を説明

そもそも言葉がわかりにくい

人事 ややこしいよね。

営業 言葉の意味がまず。

人事 どうゆうこと?

営業 社会に出て初めて聞く言葉だよね。

人事 あー。

営業 社会に出る前、子供の時に保険証とか持っていくけど。保険証っていうかカードか。

人事 最近はカードだよね。なんかさあ、大昔は紙じゃなかった?

営業 だったかも。なんか透明なシートに入ってたかも。

人事 そうそう、一家に1枚みたいな。でも最近はカードだね。最近っていうかだいぶ前から。

営業 その時に「被扶養だから」とか言ってるのは覚えてた。

人事 そうだね。

営業 「被扶養」っていう漢字はわからなかったけどね。

人事 「必要」「不要」の不要なの?みたいな。

営業 そうそう。でも社会に出ると今度は扶養する側になる。

人事 まあ、ひとによるが。

営業 被扶養から外れるから親にカードとかは返して。

人事 ああ、そうだね。大学の時にさ、在学証明書とか出さなかった?

営業 あー、出したかも。それは親の勤務先に?

人事 そうそう。あれは実施するところとしないところがあるんだけど。

営業 ほうほう。

人事 1年に1回とか定期的に。私たちが入ってる健康保険組合はちょうどこれくらいの時期にやるんだけど。

営業 あ、そうそう。

人事 1年に1回、そのひとが本当に被扶養なのかどうかっていうチェックをしたりする。

営業 なるほどね。保険側としてはね。

人事 小学生とか中学生とかだったら被扶養なのは当たり前なんだけど、大学生とか成人になってくると。

営業 あやしいんだ。

人事 そう。だって稼げるから。

営業 たまにあるよね。バイトしすぎて。

人事 そうそう。

営業 じゃあバイトしすぎた大学生はそこでバレちゃうの?

人事 そういうことですね。

営業 調査で「あれ?こいつ被扶養じゃないな」って?

人事 あんまりこういうこと言っちゃうとアレなんだけど。ぶっちゃけ、バレなきゃわからない。

営業 まあそうだよね。

人事 将来的にはわからないよ?たとえばマイナンバーカードをつかって国民の所得をきっちり把握するようになって、かつそれが健康保険と共有されるようになると、また話は別だけど。でも、現時点だと、社会保険の被扶養者になるのは年収130万円以下だから。

営業 はいはい。

人事 たまたま健康保険が調べた時に年収130万円以上稼げるようなペースで稼いでるとダメだね。

営業 例えば月20万とか稼いでたりすると、このまま行くと年収130万超えるから被扶養じゃなくなるってこと?

人事 そうそう。

営業 うちの嫁が6月くらいに仕事辞めるときに、半年で100万円はゆうに稼いでたから、仕事やめてこの後働かないですよってことを言わないと通りませんって言われた。

人事 健康保険の被扶養の手続きの時にってこと?

営業 そう。いろいろ面倒くさかった。社労士さんに相談したりして「なんだよ、適当にやってくれよ」って思った。

健康保険と被扶養

人事 それは健康保険の話なんだけど、健康保険は働ける世代の被扶養にはうるさい。

営業 なるほど。

人事 なんでかっていったら、そこが一番支出を削れるところだから。

営業 保険側からするとね。

人事 そうそう。だって保険給付は削れないでしょ?

営業 うん。

人事 もう約束してるし。たとえば窓口負担3割っていうのは絶対に削れない。

営業 明日から4割ですとかは言えない?

人事 言えない。あれは法律で決まってるからね。

営業 あ、決まってるんだ。

人事 だから絶対に削れないところはあるんだけど。被扶養に関しては、被扶養がひとりへると頭数がひとりへるわけですよ。

営業 そりゃそうだ。

人事 だから、特に働ける世代については厳しくチェックする。

営業 まあまあ。

人事 子どもはふつう独立した収入ないし、道義的な理由もあるから、そんなに厳しく見ないけど。でも、働いてる奥さんとか老人とかはよく見てくる。で、削れるんだったら削りたい。保険側としてはね。

営業 はいはい。

人事 被扶養に追加するときも「ほんと?」って。

営業 保険で助けるんだから扶養するひとたちをチェックしてるわけね?

人事 そう。

営業 本当に助けに値するのか。値するっていうか、条件に当てはまっているのかと。

人事 そういうことですね。それから、被扶養が増えたからっていって、健康保険料が上がるわけじゃないからね。

営業 そうだよね。私も変わらなかったな。

人事 だから、やっぱり保険側からすれば減らすのがいいんだよ。減れば減るほど得になる。

営業 下手すると被扶養はないほうがいいんでしょ?

人事 ないほうがいいね。

営業 財政的にはね。みんなで働いて保険料納めて、給付をカバーしますって。

人事 そう。だから政府もそうしたいんだよね。

営業 もう自分で。自助しろと。

人事 うーん、そうね。要するに働いて社会保険に入るひとが増えれば増えるほど、厚生年金を支えるひとも増えるし。

営業 うん。

人事 将来もらえる年金も増えますよと。だからどっちにとってもいいでしょって政府は言ってるけど。

営業 確かに。

人事 でも、働きたくないひとは一定数いるわけですよ。

営業 働けないひともいるしね。子どもはそもそも無理だし。

人事 そうね。それはもちろんそう。

年金の被扶養? 1号・2号・3号とは

営業 健康保険はわかりやすいけど、年金のほうも被扶養ってあるの?

人事 年金と健康保険は基本的に同じです。

営業 考えかたが同じ?

人事 そう。厚生年金と健康保険は「狭い意味での社会保険」っていったりするんだけど、仕組みが同じなんですよ。

営業 なるほど。

人事 だから、健康保険の被扶養になっていれば厚生年金の被扶養にもなる。ただ子どもは厚生年金関係ないけどね。

営業 そうだよね。

人事 だから、問題になるのは被扶養配偶者って呼ばれるひとたち。

営業 はいはい。

人事 働いてない奥さんとか働いてない旦那さんとかは、健康保険の被扶養になると同時に厚生年金の被扶養になる。

営業 条件を満たすわけだ。

人事 面倒な話をすると、国民年金の第3号被保険者っていうのになる。

営業 ほう。自営業ってこと?

人事 違う、それは第1号被保険者。

営業 はあ。

人事 国民年金の被保険者には第1号、第2号、第3号ってあって。

営業 1号が自営業?

人事 そう。

営業 2号は?

人事 2号は私たちです。

営業 えっと、サラリーマンってこと?

人事 そうです。要するに厚生年金に入ってるひとが第2号です。

営業 はいはい。

人事 で、3号が働いてない奥さん、旦那さん。要するに被扶養配偶者。で、3号のひとたちっていうのは保険料納めてないでしょ?

営業 そうだね。

人事 保険料納めてないけど納めたことにしてあげるよっていうのが第3号。

営業 世帯で見てあげるよってこと?旦那か奥さんが納めてるんだからってことでしょ?

人事 えーっとね、国民年金って全員絶対入らなきゃいけないの。

営業 うん。

人事 で、1号のひとたちは保険料払うんですよ。

営業 そうだよね。

人事 毎月1万6千円とかね。で、20歳から60歳までの40年間、月にすると480ヶ月保険料納めてくれたらフルで年金払うよって。

営業 それが1号ね。

人事 で、2号の場合は厚生年金に入っていれば国民年金に入ってるってことにする。

営業 いわゆる2階建てってことでしょ?

人事 そうそう。で、3号のひとたちっていうのは基本的には1号とおなじなの。

営業 480ヶ月必要なわけか。

人事 でも、保険料払わなくていいよってはなし。

3号の問題

営業 ああ、そうなんだ。じゃあ第3号のひとのパートナーが会社辞めちゃったりしたら困るね。

人事 あ、鋭いね。そう、第3号を扶養している配偶者が会社辞めたら、そのひとは第1号になる。

営業 で、自分で払えと。勝手に切り替わるわけだ。

人事 そう。それでね、そこで保険料の未納が多いんですよ。

営業 起こりそうだもん。わかってなかったりとか。

人事 そうそう。

営業 それは自分でやらないといけないわけでしょ?たとえばパートナーが会社を辞めましたと。でも、そのとき「あ、年金払わなきゃ」って思わないもん。

人事 そう、思わないんですよ。もともと会社員だったひとたちは、そこから抜けて「じゃあ厚生年金から国民年金になるのか」って思うけど。でも、もともと第3号で保険料納めてなかったひとたちは、状況は何も変わらないじゃん。

営業 そうだね。下手するとここから手取りが減るじゃんって思うよね。だって今まで何も保険料払ってなかったんだから。

人事 そういうことだね。

営業 それはなんとかならないの?

人事 え?

営業 仕組み的になんとかならないの?

人事 私はどちらかといえば第3号被保険者が優遇されすぎていると思う。

営業 そもそもね。確かにそういう議論はある。なんかの記事で見たことあるわ。そもそもそういう仕組みが不要なんじゃないかって。

人事 だっておかしいと思わない?

営業 まあ、払ってないのは変だよね。代わりに2号のひとの負担が増えるんだったらわかる。

人事 そうだね。でも負担が増えるわけじゃなくて、でも保険料払ったことにして年金額の計算をするわけだから。だから社会保険の仕組みとしてはちょっとおかしい。

営業 それはやっぱり昔の日本はどちらかだけが働くことを前提としてたからでしょ?

人事 そうそう。

営業 どっちかが働いてどっちかが家にいるなりなんなりしてくれと。

年金制度が前提としている世帯

人事 それは実は今もそうなんだけど、年金制度を考える時に、典型的な世帯として想定してるのは。

営業 モデルプランってことね。

人事 典型的な世帯の年金額が、典型的な世帯の働いて得る収入の半分を下回らないようにしようと。

営業 ほう。

人事 それが年金制度設計の前提にあるのね。で、その典型的な世代っていうのが、フルタイムで働いている旦那さんと働いていない奥さんなんだよ。

営業 専業主婦を前提にしてるわけだね、まず。

人事 そう。それはどうなのって気がするんだけど。それはまあいいや。

営業 話はそれるけど、もう共働きのほうが多いからね。

人事 そうなんだ。

営業 もう6割とか7割は共働きだから、本当は変だよね。少数派をモデルプランにしてるっていうのは。

人事 そうなんですよ。

営業 それこそ年金的には共働きのほうがいいじゃん。どちらも保険料納められるんだから。

人事 そうね。

営業 じゃあいずれ改定するんじゃない?

人事 どうなんだろうね。年金って射程がすごく長い制度なんですよ。何十年って先を考えないといけないから、モデルってそんなにすぐには変えられないんですよ。

営業 確かに。

人事 モデルを複数作るとかのほうが現実的かも。

営業 3号の問題で言うと、たとえば年齢の離れた夫婦を想定して、60歳と40歳だとするじゃん。で、60歳のひとが辞めたら。

人事 あー、はいはい。

営業 40歳のひとは外れるんでしょ?

人事 外れます。

営業 じゃあ、そこからは足りていない月の分を払えと。

人事 そうです。自分で払うことになるね。

営業 あー。

人事 例えば60歳の会社員の旦那さんがいて、40歳の被扶養配偶者の奥さんがいて、旦那さんが65歳で定年退職して年金生活に入ったってなると、そのひとはもう厚生年金の被保険者じゃないから、奥さんも国民年金の第3号被保険者、被扶養配偶者ではなくなるので。

営業 要するに1号になって。

人事 そう。1号になって自営業のひとと同じになる。

営業 毎月1万6千円?

人事 そう。それを払わないと制度に加入していることにはならない。

営業 じゃあ定年間近なひとと結婚しちゃうとうっかり480ヶ月損しちゃうね。

人事 そうかもね。

営業 それってまとめて払えるの?

人事 将来?

営業 そう、40年分。まとめてどーんと。

人事 40年分は無理だと思う。

営業 1年くらいはできるか。

人事 そうだね。

営業 割引もあるでしょ。そうすると。

人事 早めに払うとやっぱり割引があるね。

営業 そういうところもあるのか。

人事 でも、それはうちの会社でも実際にあった。

営業 ほう。問題がってこと?

人事 問題がって言うか、似たようなケースがあった。

営業 年の差があったってこと?

人事 そう。まあ60歳と40歳っていうのはけっこう大きけど。たとえば60と65でも。

営業 5歳でも同じ問題が起こるか。

人事 そうそう。そのひとは62歳くらいで会社辞めたんだよ。

営業 はいはい。いいね。

人事 でも奥さんあまだ58歳とかだったんだよ。

営業 じゃあまだ納付期間があるわけだ。

人事 そうそう。だから「奥さんの分は今後は払わないとダメですよ」みたいな話をしたのを覚えてる。

営業 なるほど。被扶養から外れちゃうとやっぱりそうなるのね。

人事 なる。健康保険のほうは頭にあるけど年金は忘れがち。

健康保険は被扶養から外れると

営業 健康保険のほうは外れたらどうなるの?

人事 国民健康保険になるね。

営業 そっちにはいることになるんだよね、自動的に。

人事 自動的…うーん、自動的と言えば自動的なんだけど。もちろん手続きはしなきゃいけない。

営業 年金と同じで月々払うようになるの?

人事 年金とは別だと思うけどね。

営業 でも毎月払うんでしょ?

人事 そうですね。

営業 そっか。被扶養は一度入ると自動化されるようなところがあるよね。

人事 自動化?

営業 誰かが勝手に払ってくれてるってこと。

人事 あー。

営業 イメージとしては。子どもからすればそうじゃん。保険代も、まあ年金は関係ないけど、誰かが勝手に払ってくれてるって。

人事 まあ、そうね。ただ、感覚としては「保険料払ってる」というよりは「保険料払わずに済んでる」っていうイメージのほうが強いかな。

営業 あー、なるほどね。だって一銭も払ってないもんね。

人事 そう。だって例えば月給30万円のひとがふたりいたとして。片方は被扶養の奥さんと子ども、つまり扶養家族がふたりいて、もう片方は独身だって言った場合、保険料は変わらないからね。

営業 そうだよね。

人事 奥さんと子どもの分、保険料上乗せされてるんだったら、保険料払ってるって感じがあるけど、どちらかといえば保険料免除されてるっていうイメージのほうが強いかな。

営業 それ聞くと確かに、共働きのほうからすると「何で金払ってるの?」って思うかもね。

人事 そうね。

営業 だって、健康保険に関しては受けられる恩恵は同じなのに。年金は保険料払った分、上乗せがあるからいいけど。健康保険に関しては謎だよ。だって、共働き夫婦と、片方だけ働いてる夫婦、二組とも保険の適用は同じわけじゃん。3割負担っていう。

人事 同じだね。

営業 でも、払うのは2倍みたいな。

人事 別に給付の内容が変わるわけじゃないからね。

営業 そうだよね。いい薬が特別にもらえるとか。今月これあげますとか。

人事 そういうのはないね。

営業 それはみんなどう思ってるの?まあいいやと思ってるのかな。

人事 どう思ってるんだろうね。

営業 だって明らかに変じゃん。同じことなのに。

人事 社会保険の理屈からすれば変ではないんですよ。

営業 変じゃないの?なんで?

人事 民間の保険とは違うからです。

営業 国がやってるからってこと?

人事 何回か言ったことがあると思うけど、社会保険の基本的な考えかたというのは「能力に応じた負担と必要に応じた給付」なわけです。

営業 あー、はいはい。聞いたわ。

人事 能力に応じた負担というのは要するに収入に応じた負担。給料稼いでるんだったら稼いでいる分だけ払ってねと。でも、必要に応じた給付っていうのは、保険料たくさん払ってるから看護師さんがちょっと優しいとか、そういうことじゃなくて。

営業 うーん。

人事 病気とかけがとかに合った、必要に応じた給付をおこないますよって話なわけですよ。その観点からすれば、同じ月収であれば保険料を負担できるのは同じ金額でしょと。

営業 まあそうだね。応能はね。

人事 でも働いていないひとがふたりいるんだったら、そのひとたちにもちゃんと給付しないといけないよねと。

営業 はい。

人事 被扶養者だからって雑に扱うんじゃなくて。

営業 平等に扱うと。

人事 そう。被扶養者だって風邪引いたら風邪薬を処方しなきゃいけないんだから。

営業 そりゃそうだ。

人事 実は大昔はそこは微妙に違ってたらしんだよね。

営業 へー。逆に昔のほうは。

人事 うん。被保険者と被扶養者で窓口負担の割合が違ったんですよ。

営業 それもすごいね。なんかね。

人事 大昔は被保険者はなんだったらタダに近かった。

営業 でも被扶養者はちょっと払ってと。それだったらわかる。

人事 でも、少しずつ差がなくなっていって、今は両方とも3割。

営業 なるほどねー。

人事 大昔の話よ?

営業 でも家族が増えると、被扶養という概念は気にするようになる。そもそも被扶養なのかっていうところ。あと、健康保険は子どもも入るけど、年金は入らないじゃん。

人事 うん。

営業 そういう違いとかも、いざできないとわからないものだよね。

人事 そうかもね。

年末調整の様式わかりにくい

営業 普段気にしないからさ。年末の書類とかで「あ、そうなんですね」とか、毎回言ってる気がする。

人事 年末調整でしょ?

営業 そうそう。

人事 年末調整もややこしいよね。

営業 前も言ったけど、まず様式がうっとうしい。書きにくいし。

人事 それはとりあえずいいよ。でも、たとえば小さい子どもがいる場合、年末調整には影響がない。

営業 そうそう。そこもややこしかった。子どもは被扶養ではあるじゃん。

人事 うん。

営業 健康保険はね。でも、年末調整の被扶養ではないんでしょ?

人事 うーんとね。

営業 16歳未満は被扶養じゃないんでしょ?なんなのあれは。どういうことなの?

人事 そもそも言い方が違うんだよね。

営業 はあ。

人事 えっと、社会保険は被扶養者っていうけど、税金では控除対象扶養親族とか控除対象配偶者とかいうんですよ。要するにこの条件に当てはまると、税金を計算するときに、一定額を課税の対象から所得から引いてあげますよと。

営業 削ると。

人事 そうそう。そういうのが控除対象扶養親族とか控除対象配偶者とか言われてる。まあその名の通りだよね。所得を削ってあげる対象になる。

営業 親族だと。

人事 家族とか配偶者ですと。そういう条件に当てはまるんだったら、年末調整の時に言って、所得を減らしてあげるよと。まあ、もともと毎月の給料の段階で既に所得税減らしてるケースがほとんどだけど。

営業 はい。

人事 で、その控除対象の家族に、16歳未満の子どもが入ってないんだよね。

営業 それって変じゃない?考えかたとしては、なんで所得を削るかっていうと、そのぶん家族を養わなきゃいけないから減らすわけでしょ?

人事 そうですね。

営業 子どもなんてまさにそうじゃん。

人事 なんで入ってないと思います?理由があるんだよ。

営業 それは納得できる?

人事 うん。

営業 あ、ほんと?子どもが入っていない理由ねえ。

人事 昔は入ってたんです。

営業 え?

人事 最近外しました。最近でもないか、結構前。

営業 今の子どもは頑丈だから大丈夫。

人事 なんでだよ。むしろ今のほうが軟弱だわ。

営業 なんだろ。

人事 他にもらってるからです。

営業 あ、わかった。児童手当だ。

人事 そうそう。児童手当を払うようになってから

営業 なるほどね。

人事 いやいやこっちでもらってるんだから、それ以上に税控除で優遇するのはおかしいでしょって話になったらしい。

実質的な増税が蔓延る

営業 それもわかるんだけど、今思ったのは、最近児童手当も。

人事 減らそうとしてるよね。

営業 そう。以前まではどっちかの年収を上限にしてたのが、合算した上で1200万円以上は廃止にしようって話があるらしいじゃん。

人事 あ、そうなんだ。

営業 それって普通に増税じゃない?

人事 増税だね。

営業 手当を無くすわ、控除にはできないわ。鬼じゃん。

人事 まあ、全体的な流れとして「たくさん稼いでるんだったらよくね?」っていう風潮はある。

営業 気持ちはわかる。

人事 典型的なのは配偶者ね。控除対象配偶者は年収に関係なく奥さんが働いていなかったら税法上の控除対象配偶者にしてたんだけど。

営業 相手が500万くらい稼いでても。

人事 あ、いやいや。こっち、扶養に入れるほう。

営業 はいはい。

人事 もちろん奥さんとか旦那さんの、被扶養のほうの年収は問われてたよ。それは今もそうなんだけど、こっち側も、養う側も問われるようになった。

営業 なるほど。わかった。1000超えたら削りますとかってことね。

人事 そうそう。昔はいくら稼いでても奥さんや旦那さんが被扶養だったら、もう一律でじゃあ被扶養ねってことで控除対象配偶者になってたんだけど。最近うるさくてね。稼いでる側がめっちゃ稼いでるんだったら、それはもう知らんってことになったのよ。

営業 理論はわかるんだけど、稼いでる側の基準をすごい近づけてくるよね。

人事 というと?

営業 一般のサラリーマンに。

人事 あー。

営業 たとえば3000万超えてるひとならわかるよ。それなら被扶養の条件を厳しくするのもわかるけど。でも、1000とか900とかだと、いるじゃん。ふつうに。

人事 いるね。

営業 そこを対象にするなよって思わない?

人事 確かに。そのへんはごろごろいるね。

営業 そのへんの普通のひとを対象にしても、税金もそんなに取れないじゃん。

人事 どうなんだろうね。

営業 数が多いから、少額でもちりつもか。

人事 政府としてはみんなに働いてほしいんじゃないかなって気がしないでもない。

営業 みんなにね。

人事 そう、働いてなかった奥さん、旦那さんにもね。

営業 あー。

人事 まあ、擁護するわけじゃないけど。

営業 制度をね。

人事 制度を擁護するわけじゃないけど、国の側からすれば、なるべくいろんなひとに働いてほしいんだとは思う。

営業 働くことが前提ってことね。希望としては。

人事 うん。今まではそうじゃなかったから。さっきの話と重複するけど、今まで典型的だったのは。

営業 どっちか働いてると。

人事 そう。典型的には旦那さんがフルで働いて、片方がフルで家事とかをやっているっていう。でも今はそれが典型的では無くなってきてるから。でも、税法も古いモデルを典型として作られてきたわけですよ。

営業 うん。

人事 だから奥さんは完全に被扶養だしって話だったわけだけど。でも、それが今ではぐずぐずになってきてるから、だったら制度のほうも変えないといけないよねと。とはいえ、既得権益は守らないといけないから、少しずつ削っていってるっていうのが、肯定的に捉えるとそうなる。

営業 じゃあ、いつかは被扶養の優遇措置は消えるかもね。

人事 かもね。

営業 共働きが9割とかになった場合にはなくしちゃうかもね。

人事 うーん、そうかもね。

営業 もちろん子どもに対する保険は残るだろうけど、奥さんや旦那さんに対する被扶養の控除は消える可能性があると。

人事 そうねえ。さっき言った国民年金の第3号とかは怪しい。

営業 怪しいよね。

人事 個人的には、あれは保険料取ればいいんじゃんって思ってる。

営業 そもそも、なんであれは数字で表現してるの?1号、2号、3号って。

人事 それは法律の条文からきてるんです。

営業 あ、そうなんだ。

人事 法律の何条かは忘れたけど、第何条の第1号にこういう条件の人って規定があるのよ。

営業 あ、なるほど。じゃあ通称だね。

人事 通称です。だから、自営業、サラリーマン、主婦です。典型的にはね。

営業 なるほどね。

社会保険と税法での差

人事 ただ、ややこしいのは社会保険の被扶養と税法上の被扶養。厳密にいうと、控除対象配偶者とか、控除対象親族とかだけど、それにあたるかどうかっていうのは、社会保険と税金とでは話が別なのね。

営業 年収条件も微妙に違うよね?

人事 違う。

営業 なんで微妙に違うの?ずらすことになんの意図があるの?

人事 いやー。

営業 壁がいっぱいあるじゃん。130の壁とか、103とか106とか。

人事 106はちょっとマイナーだね。それ以外にも住民税もちょっと違うし。

営業 なんでそうやって微妙にずらしてくるわけ?

人事 それは知らん。

営業 試験を作りたいわけ?

人事 なんでその金額かはわからない。どの金額からかっていうのは、まあ決め事だし。

営業 まあそうかもしれないけど、ややこしいわ。

人事 それはもちろんそう。

営業 そういえば、ちょっと調べてみたんだけど、親とかもできるらしいじゃん。

人事 もちろん。

営業 控除対象親族になるから。条件を見たらまず同居してるか。

人事 同居してなくてもいいです。

営業 そう、してなかった場合に、その人の収入を上回って援助をしてるかみたいな。

人事 そうだね。

営業 でも、ふと思ったのは、援助の証拠ってないじゃん。

人事 ないね。

営業 あるとしたら預金通帳のお金のやりとりでしょ?

人事 まあそうね。

営業 じゃあさ、裏で結託してさ、いったん月10万円払うけど裏で返してねと。そうやったらできるよね?

人事 えーっと。

営業 できるよね?

人事 まあできますよ。

営業 そうなると今の控除額は38万円だっけ?ひとりあたま38万円ずつ所得を削れるよね?

人事 あれ?どっちの話?どっちの話というのは税金の被扶養か、それとも社会保険の被扶養か。

営業 税金のほう。

人事 あ、税金のほうか。まあ、どっちもできるんだけど。まあ、社会保険のほうはやらないことのほうが多いかな。

営業 ふーん。

人事 なんでかっていったら、年老いた両親を社会保険の被扶養に入れるってなったときに、だいたい年金もらってることが多いから。

営業 はいはい。

人事 ある程度まとまった年金もらってたらもうアウトなので。

営業 年収条件を満たさないから?

人事 そうそう。だから結局入れられないねって話になるし。もしくはもっと年齢がいってくると、後期高齢者になると被扶養になれないので。

営業 年収に関係なく?

人事 うん。あれは全く別の制度なので。

営業 なんで?もう死ぬから?

人事 おい。

営業 病院に行きまくるから?

人事 どっちかっていったらそっちね。病院に行きまくるから。ほかの健康保険の制度っていうのは保険制度なんですよ。つまり保険料収入で保険支出をカバーするっていうのが基本なんだけど、後期高齢者医療制度になるとそれがもう成り立たない。

営業 あー。払えないでしょってことね。

人事 ありていにいうとそうです。だって後期高齢者の75歳以上のひとの保険料収入で、保険給付がまかなえるわけないじゃん。

営業 無理だね。

人事 だから後期高齢者医療制度は全制度からカバーするっていうことになってる。

営業 あ、そうなってるんだ。

人事 そうそう。だからそっちに入っちゃうともう被扶養じゃなくなる。

営業 そもそも75歳越えは被扶養にできないのね。

人事 できない。

営業 そういうことだったのか。

人事 だから、年いってる両親を被扶養にいれるときに、社会保険の被扶養はあまり問題にならないことが多いかな。

営業 なるほど。

人事 そもそも年金もらってるか。

営業 年いきすぎてもう入れないか。年金の場合はいけるの?

人事 うーんと、国民年金の保険料払うのは20歳から60歳までだし。ていうか、そもそもさっき言った3号の条件には当てはまらないじゃん。

営業 そのひとどうなるの?

人事 えっと、たとえば58歳のご両親を被扶養に入れるっていったときに、健康保険の被扶養者にはなる。

営業 なるのね。

人事 でも、年金の被扶養にはならない。

営業 なんでかっていうと?

人事 3号の条件に当てはまらないから。

営業 配偶者ではないからか。なるほどね。

人事 だから1号になる。

営業 当人たちが1号として保険料払うと。

人事 そう。でも健康保険の被扶養にはなれるよね。そうなれば健康保険料は払わなくていい。

営業 だからか。自分がハタチのころ、年金払えってきたわけよ。

人事 あー、はいはい。くるね。

営業 通知がね。謎じゃん。

人事 被扶養だからね。

営業 そうそう。「いや、被扶養だが」と。そうか、被扶養だけど、年金は被扶養じゃないから通知が来るわけか。年金払えと。

人事 そうですね。要するに3号被保険者じゃないから。3号じゃないし2号でもない。じゃあ1号だねって話。

営業 そういうことか。20歳の時に会社に入ってれば厚生年金になるけど。

人事 もちろん。

営業 入ってないから、じゃあ大学生は払ってねと。

人事 そう。なんだったら厚生年金は20歳前から被保険者になるからね。

営業 そうか、18歳とかで働いてれば。なるほど。

人事 ややこしいよね。

制度が硬直化している

営業 ややこしい。ていうか、働き方も進路もさまざまなのに、制度が硬直化してる感が否めない。

人事 うーん。

営業 もっと簡単にできそうな気もするけど。

人事 そうねえ。ただまあ既得権益があるからね。

営業 ある?

人事 あるよ。働かない奥さんなんていくらでもいるじゃん。

営業 何百万人もいるだろうね。政治家の奥さんもそうなんじゃない?

人事 政治家は2号被保険者じゃないんじゃない?1号でしょ。

営業 あ、そうか。自営業扱いか。

人事 自営業なんじゃない?自営業でしょ。だって使用従属関係にはないよ。

営業 確かに。

人事 たぶん1号だと思う。

営業 じゃあ自営業のひとのパートナーは3号じゃないんでしょ?

人事 自営業のひとのパートナーは1号だよ。

営業 働いてなくても?

人事 うん。

営業 そういう不公平感あるね。

人事 あるね。

営業 同じ働いてるのに、パートナーが同じ状況なのに、一方は免除、一方は1万6千円っていうのは。

人事 それはある。たとえば本当に自営業やりますっていう場合だったら納得もいくかもしれないけど、これ自営業かなっていう微妙なひとたちもいるわけじゃん。

営業 最近さあ。

人事 某タニタとか?

営業 会社で働いていたひとフリーランス化して会社と業務委託契約結びましたってこともあるじゃん。そういう場合は自営業になるわけ?

人事 雇用契約だったら自営業じゃないけど。業務委託だったら自営業だね。

営業 そうすると、切り替わった瞬間に奥さんは保険料払ってねと。

人事 もちろん。

営業 ひー。汚ねえわ。

人事 そうなんだよね。

営業 からくりあるね。

人事 うーん。だからあやしいんじゃないって言ってるひとが多いわけですよ。

営業 はいはい。業務委託に切り替えるとかフリーランス化することにね。

人事 そうそう。結局体のいいリストラなんじゃないのっていうふうに言ってるひとたちはいる。

営業 コストカットしませんかと。

人事 うん。本人は別にいいかもしれないけど。

営業 周りっていうか家族がね。

人事 奥さんはまだましかもしれないけど、子どもはね。

営業 うん。そっか、じゃあ被扶養は会社員の特権だね。

人事 そうだね。

営業 だって会社員だけだよね。被扶養があるのは。

人事 そうっすね。

営業 自営業だと被扶養の概念ないよね。

人事 ないね。だって国民健康保険の保険料は世帯単位でくるからね。

営業 はいはい。

人事 だから自営業には被扶養って考え方は基本的にはない。

営業 いかにサラリーマンが恵まれてるかだね。自営業からするとね。

人事 それはそう。

営業 手続きも全部やってもらって。

人事 まあそれだけ弱い立場にあるでしょっていうのが前提なんだけど。

営業 サラリーマンはね。

人事 でも、自営業でも弱い立場にいるひとはいるわけだから、それは問題だよねって話。

営業 うん。いや、私は単純に税金を減らしたいから、親族をがんがん被扶養に入れたいなって思っただけ。

人事 なるほど。

営業 だからさっきのアイデアも使おうかなと。

人事 親を被扶養に入れる作戦?

営業 あれはどこまでいけるの?おじいちゃんおばあちゃんは入れられないの?75歳未満だったらだけど。

人事 入れられるよ。

営業 そうだよね。

人事 法律で親族って言った場合には、えっと、6親等内の血族と3親等内の姻族を指すことが多いです。

営業 え?何族?

人事 姻族。姻族っていうのは婚姻によって繋がっている血縁関係。

営業 あー、はいはい。相手の親とかってことね。

人事 そうそう。それもまた税金と社会保険で範囲がちょっと違うんだけど、基本的に直系の親族とかである程度近ければ絶対に入れられる。

営業 へー。たとえば親、おじいちゃん。妹は?

人事 オッケー。

営業 いとこは?

人事 そこが社会保険と税金で違うところなんだよね。

営業 違うんだ。

人事 税金は構わないけど、社会保険は同居要件が入ってくると思う。

営業 あー。じゃあ税法上はいとこいけるのか。

人事 いけると思うよ。あんまり見ない、っていうかあやしいけど。

営業 いままでなかったひとが、今年の年末調整から親族10人控除しますって。え?ってなるよね。そんなに援助できるのって。

人事 国内だったらまだいいんだよ。確認のしようがあるから。

営業 ああ、そうね。

人事 だから海外の場合はうるさい。

営業 証明書とか?

人事 そう。海外に住んでいる親族を被扶養に、税法上の控除対象親族に入れようとすると、いろいろうるさい。

営業 まあ、証明書いるだろうね。年収とか、本当に住んでるのかとか。

人事 ひとりいたんすよ。

営業 あやしいやつが?

人事 違くて。外国版、まあロシアなんだけど。

営業 うん。

人事 ロシアに住んでるお父さんを税金上の控除対象にしたいと。

営業 援助してるからと。

人事 まあ実際に援助してたんだけど。そういう場合は、送金の記録と間柄を証明する書類をくっつけろと。

営業 へー。

人事 かつ日本語訳で。

営業 ひー。

人事 ていうのはある。たぶんね、前になんかあったんだと思う。

営業 うーん。

人事 昔はそんなこと言わなかったんだ。

営業 なんかでも不正しやすそうだよね。海外だと。

人事 そうそう。わかんないから。国内だと調べられる。監査とかあったときに、これ違うじゃないかって言えるけど、海外だと調べようがない。そのぶんきっちり添付書類をつけろって言ってる。

営業 なるほど。

人事 たぶんだけど、アジア系とか中南米系のひとがめっちゃつけてるんじゃないかなって。

営業 でもそういう仕組みだったらそうなるよね。

人事 うん。あ、つけていいんだ。じゃあつけるよ、仕送りしてるし。

営業 50人つけよーって。

人事 そうなるんじゃないかなって。

営業 なるほどね。そうか、被扶養はそういうところがあるね。なんか、悪用できそうな。

人事 そうね。だから健康保険はうるさいんだよ。

営業 チェックが入るわけね。

人事 所得税はぶっちゃけチェックはそこまで厳しくはない。ゆっても国税だし、相対的には影響は大きくないかもしれない。でも、保険給付の場合は実際に彼らから支出が出ていくわけだから。

営業 うーん。

人事 やってる主体が大きくないから、やっぱり減らそう減らそうとはしてくる。

営業 まあ余裕がないとね。各健保はどんどん解散してるわけだし。

人事 そうそう。

営業 だから年末にあれを書くわけだね。

人事 年末調整ね。

営業 あと調査が入るわけだね。被扶養は本当ですかって。

税金と社会保険の年収基準の違い

人事 そうです。さっきの話にもどるけど、ややこしいのは被扶養って言っても、税金と社会保険では全然違うわけですよ。

営業 うん。

人事 そもそも基準の金額が違うし。年度の収入で考えるか、これから先の見込みの収入で考えるかっていうのも違う。

営業 あー。

人事 具体的にいうと年の途中まで働いた奥さんを被扶養に入れられるかって話。要するにもう働きませんと。たとえば6月末に会社辞めて、もう働きません。主婦になりますっていう奥さんが、税法の被扶養に入れるか。もしくは社会保険の被扶養に入れるか。

営業 うん。

人事 税金の被扶養には入れない。社会保険の被扶養には入れる。

営業 なぜか?

人事 なぜか?

営業 実績と見通しだから?

人事 そうです。税金のほうは年度で考える。1月1日から12月31日までの収入が103万円超えたらもうアウト。

営業 辞めてようがどうしようが?

人事 そんなん関係ない。フルで働いてたら6月だったらだいたい103万は超えてるでしょ?そういうひとは今年はもうダメ。被扶養に入れません。でも、社会保険は、これからもう働きませんってなったときには、基本的には入れる。

営業 うん。

人事 もちろんなんか提出するけどね。

営業 出したよ。直近の3ヶ月分の給与明細かなにか。

離職票の意味

人事 離職票とか出さなかった?

営業 あ、出した出した。

人事 でしょ?

営業 離職票わざわざ奥さんの会社に請求して。

人事 はいはい。

営業 あれ、請求するんだね。「普通にくれよ」って思ったけど。

人事 えーっと。

営業 だって絶対使うじゃんか。

人事 それはねえ、微妙なんですよ。

営業 グレーなの?

人事 グレーではないけど、絶対使うわけじゃないじゃん。

営業 あ、そうか。転職した場合は関係ないもんね。

人事 そうそう。本来、離職票は辞めたら発行することになってるんだけど、本人がいらないっていったら省略できるの。

営業 あー。

人事 私は必ず聞くよ?辞める時に。

営業 いるかいらないかを?

人事 そう。退職手続きするときに「離職票いります?」って。なんのために使うかっていったら失業給付受けるときですと。

営業 ふんふん。

人事 転職先が決まってるんだったら基本的にはいらないけど、ひとによっては「何かあったら困るから一応発行してください」ってひとももちろんいる。それはそれで構わないですって。

営業 なるほど。

人事 その上でどうしますかって。そう説明した上で「いらないです」っていったら作らない。でも、ぶっちゃけ離職票って作るの面倒くさいんですよ。

営業 あ、そうなの?

人事 そうすよ。だから、本心をいうと面倒くさいからあんまりやりたくないっていうのはある。でも基本的にはデフォルトで出すことになってて、いらないっていったら省略できる。

営業 そういうものだったのか。

人事 そう。でも、会社を辞めましたってことを証明するもので、一番公的なものは離職票だから。

営業 なるほど。

人事 会社辞めました。次から収入ありませんっていうのを証明するために、じゃあ離職票出してねっていうのはよくある。

営業 なるほど。

人事 で、社会保険の場合はそれでも入れてくれる。だってこれから先もう働かないんだから。でも税金はダメ。

営業 実績があるからってこと?

人事 そう、実績があるから。来年からは適用になるけど、今年はダメですよって。

営業 じゃあちゃんと計算して辞めないと厳しいね。無職になる場合はね。

人事 そうかもね。あとは、ややこしいのが逆のパターン。

営業 ほう。

人事 というのは社会保険の被扶養にはならないけど、税金の被扶養になる場合がある。

営業 それはたとえば、3ヶ月だけ30万円ずつ働いてたら、年間はトータル90万だから税金はOKだけど、3ヶ月の平均は30万円だから。

人事 あー。あんまりそういうケースはないかな。

営業 そう。

人事 よくあるのは、育休のひと。たとえば、夫婦共働きで奥さんが育休中ですと。で、奥さんが1年間全く働いてなければ奥さんの収入はゼロでしょ?

営業 うん。

人事 でも奥さんは一時的に会社を休んでるだけだから、奥さんの会社で社会保険に加入し続けている。

営業 なるほど。

人事 でも、結局ならしてみたら年間の収入が103万円以下だったら、旦那さんのほうの被扶養に入れられる。

営業 税金はね。

人事 そう、税金だけ。そういうのもあるし、税法上の被扶養っていうのは籍を入れてないとダメなんですよ。

営業 ほう。じゃ、内縁はダメなんだ。

人事 そうなんですよ。でも、社会保険は内縁でもOKなんです。

営業 なんでズレてんの?いろいろおかしくない?

人事 おかしいでしょ?

営業 それ裁判になりそうだよね。

人事 あー。そうね、時代とは合わない気がする。

営業 内縁は社会保険では助けるけど、税金では助けませんってこと?

人事 そうね。税金のほうはなんというか形式主義的なんだよね。

営業 あー。

人事 でも、確かにいずれ裁判になるかもね。

営業 そうだよね。なんで違うのかと。そこに差をつけるのはおかしいだろって。

人事 まあ、個人的な意見からすれば社会保険のほうが正しいと思う。

営業 実態で考えてるからね。

人事 そうそう。本当に裁判とかになったら、彼らは基本的に形式よりも実態で判断するから。そういう裁判が現にあったかわからないけど、裁判になったら負けるかもしれないね。税法を変えなさいって。

営業 そうなんだ。

人事 実は私が知ってる例でもひとりいる。

営業 内縁がってこと?

人事 そう。籍入れてないから税法上の被扶養にはならないけど、社会保険の被扶養にはなるから。

営業 保険証も持ってるわけだ。

人事 もちろん。でも、年末調整のときにややこしいの。

営業 書けないんだもんね。

人事 えーと、ちょっと待てよ。そうか、あのひとは内縁だからNGか、とかちょっと考える。

営業 逆に同性は?同性って日本は結婚できるんだっけ?

人事 同じ性ってこと?できないでしょ。

営業 じゃあ同性の事実婚の場合、社会保険上は被扶養にできるの? 

人事 あー、できるのかなあ?

営業 実態で判断するんだったらできそうだよね。もめそうだけど。

人事 もめるだろうね。でもできるかもしれないね。

営業 それでも税金は無理でしょ?

人事 税金はもちろん無理だね。婚姻してないからね。

営業 でも今後増えそうだよね。

人事 あるかもね。幸いかどうかはわからないけど、今のところ扱ったことはない。

営業 でもありえるよね?大きい企業はありそう。

人事 あるかもね。

営業 何万人もいたらね。

人事 内縁のこどもを被扶養にいれたことはある。

営業 そうか。保険はできるもんね。

人事 でもね、ちょっと面倒くさかった。

営業 まあそうだよね。書類がいるの?

人事 なんか認知の証明書みたいの出したと思う。

営業 そういう証明書あるんだ。

人事 いや、初めてみたよ。

営業 被扶養って一言で言ってもいろいろあるんだな。被扶養って言葉は社会保険の用語なわけね。税金ではなく

人事 そうだね。

営業 税金は控除対象なんとかってことか。

人事 でもまあ、被扶養って言葉が一般によく使われるから、結局そう言ってるよね。

営業 年末調整もそうだもんね。嫁や旦那が扶養に入ってるから減らせるよとかっていう話をするもんね。

人事 たぶん昔はそれでよかったんだよ。

営業 うーん。

人事 つまり税金の控除対象と社会保険の被扶養にそんなにギャップがなかった。だから、社会保険の被扶養って用語を税金のほうにも使っちゃって、でも実態としてそんなに変わらないからいいかって。でも、今はいろんな例があるから。

営業 どんどん分かれていってるわけだね。

人事 そう。内縁の妻とか育休中の奥さんとか、あとは児童手当の話もあるからね。

営業 うん。

人事 だから社員の被扶養についてはよく話を聞かないといけない。

営業 なるほどね。なんとなく被扶養のことがわかってきた。ほかにはないよね?要するに社会保険と税金以外に、被扶養っていうのは。

人事 うーん、ないと思うよ。

営業 そうだよね。

人事 だが、それがややこしいのだよ。

営業 まあね。

人事 基準の金額も違ければ、過去の実績なのか将来の見込みなのかも違う。子どもだったら健康保険だけだけど、奥さんだったら年金も関わってくるとか。

年金追納

営業 そう、そこも厄介。子どもも年金入れて欲しい。

人事 学生の場合?

営業 そう。

人事 そうだね。でも、たぶんそれは免除制度っていうのを作っちゃったからね。

営業 免除っていうか、私の場合もそうだったけど、猶予だよね。

人事 あ、そうか。ごめん、猶予だ。

営業 あれ、忘れるんだよ。確か10年なんだけど。少なくとも私の時は。

人事 あー、そうだね。

営業 20歳の時に猶予してもらって、ちょうど29歳くらいの時に思い出して。

人事 うん。

営業 引き出し開けたら、なんだっけこれ?って。

人事 あれってさ、リマインダーみたいなのは来ないの?

営業 ねんきん定期便に登録されてれば来る。

人事 うん?

営業 はがきが来て、開けると、この月は学生猶予になってますよって。

人事 あー、なるほど。誕生月にくるやつだね。でも、見なかったら終わりだね。

営業 そう、終わり。あれを、例えば実家の住所のままにしてたら終わりじゃない?親が気付けばいいけど、いちいちみないでしょ。

人事 だって子ども宛にきてるからね。むしろ開けちゃうほうがまずいよね。

営業 そう。だから慌ててnanacoで払ったよ。

人事 nanacoで払えるの?

営業 払える。コンビニで払えるから。

人事 nanacoってSuicaみたいなやつでしょ?

営業 そう。セブンイレブンの電子マネー。

人事 え?あの電子マネーにいくらいれたの?

営業 えーっと、合計で50万円くらい。

人事 そんなに入れられんの?

営業 もちろんそんなに入らないから、都度だよ。都度チャージして。

人事 え、ちょっとまって。たとえば10回チャージしたとかそういうこと?

営業 何回チャージしたかな。そのとき確かひと月の保険料が1万5千円くらいで、浪人してるから猶予期間が36ヶ月くらいあって。だから50万円くらいでしょ?たしか10回くらいチャージしたと思う。

人事 払うのは1回?

営業 いや。払い込み用紙がひと月ごとなのよ。

人事 ほー。なるほど。

営業 しかもそれ合算できないの。

人事 じゃあ謎の作業をしたわけだね。

営業 そう。ピッピッピって。

人事 合算できないんだ。

営業 私も合算してもってこいって思ったよ。1ヶ月ごとの用紙だから。

人事 例えば10ヶ月分だったら、6ヶ月分が1枚と1ヶ月が4枚とかならいいよ。ある程度の期間まとめてくれればいいのに、全部1ヶ月なの?

営業 そう36ヶ月、36枚。当時も支払い用紙もらったと思うんだけど持ってなくて、年金事務所に行って再発行してもらって、それで払った。

人事 ふーん。

営業 1枚づつなんですよって言われて。マジかよって。

人事 そうだよね。マジかよって思うわ。1年分くらいにしてくんないですかねって。

営業 でもね、たぶんまとめられない。なんでかって言うと、その月ごとに支払い期限が決まってるから。

人事 ああ、なるほど。一番古いやつが10年ってことか。

営業 そう。だから20歳になったときの10年後が期限だから。扶養の話からはそれちゃってるけど。

人事 なるほどね。それはしょうがないね。時効の利益というか、そういうのはあるもんね。いつまでに払えばいいっていうのは勝手に短縮できないし。って、長いほうに合わせてくれりゃいいじゃん。

営業 そう、そう思った。でも、そうすると3年くらいずれるんだよね。浪人してて23歳で卒業してるから、3年ギャップがある。

人事 まあ、それはいいや。

営業 年金も被扶養にして欲しいって話。

人事 学生はね。

営業 そう学生の。そもそも年金は20歳未満は関係ないでしょ?

人事 そうだね。関係ない。

営業 成人の引き下げが18歳になったけど、それも年金は関係ない?

人事 関係ないですね。年金は20歳60歳っていう原則は変えてないから。

営業 なるほどね。

人事 20歳から60歳が被保険期間で65歳から給付開始っていう原則は変えてないから、成人の年齢とは関係ない。

営業 じゃあ、子どもが20歳になったときに、年金の被扶養にも入れて欲しいなと思います。

人事 さっきも言ったけど、厚生年金だったら20歳未満でも入っちゃうからね。

営業 はいはい。働いてたらね。

人事 そういってみるとややこしいよね。

営業 ややこしい。

人事 高卒で働き始めたひとは、国民年金の被保険者ではあるのか。2号だからね。

営業 うん。

人事 私もよくわかんなくなってきた。たとえば18歳の同級生がいて、旦那が高卒で働き始めて、奥さんは被扶養になってるって場合だと、奥さんは健康保険の被扶養にはなるけど、国民年金の第3号被保険者にはならないね。

営業 なるほど。まだ20歳になってないから。

人事 でも旦那さんのほうは厚生年金の被保険者だから国民年金の被保険者にもなるね。

営業 でもそれは全然ありうるからね。

人事 ある。全然ある。

営業 変なの。

人事 ややこしいよね。

制度をもっとわかりやすくしてくれ

営業 そのへんもう上手くやってくれないかなって思う。国民年金しかり健康保険しかり、決まったのってもう相当前でしょ。

人事 そうだね。20歳から60歳で、65歳から開始っていうのは、もうちょっと柔軟にしてくれてもいいと思う。

営業 うーん。

人事 ていうか、実際問題として大学卒業してから働き始めるひとが多いわけじゃん。

営業 22歳とかね。

人事 だったらさ、2年ずらしてくれればそれでいいじゃん。

営業 62歳とかね。そうだよね。

人事 そのほうが話早くない?40年入らないといけないっていうのはそのままでいいけどさ。

営業 40年って通算でいいんでしょ?

人事 いいえ。

営業 連続?

人事 はい。でも、さっき話した猶予みたいに、後から払うのはOK。

営業 ああ、そうか。でも基本は連続なんだ。なんで?

人事 なんでかは知らん。なんでだろうね。だって通算でよかったら、22歳から62歳でもいいじゃん。

営業 うん。

人事 でもそれはダメなの。きっちり20歳から60歳。

営業 意味わかんないね。

人事 確かに。言われてみれば。

営業 だって年金払い終わるのが60歳で、もらうのが65歳でギャップがあるんだから。そのギャップ埋めればいいじゃんって思わない?

人事 うん。

営業 だって、もし60歳で辞めたら5年間お金がないじゃない。退職金を除いてね。それは変じゃん。年金どこ行ったのって。

人事 まあ、そのへんは定年退職後再雇用でカバーしろって話ですよ。

営業 ああ、さっきの話に戻るわけね。働いてくれと。

人事 そういうことだね。

営業 被扶養は働く方向になる。それがこれからの予測かな。

人事 うーん、そうね。旦那さんが100%働いて、奥さんが100%家事とか育児とかするっていうモデルが崩れてるから。

営業 うん。

人事 それを調整しようとして今ぐずぐずになってるって感じがある。でも、ややこしいよね。

営業 ややこしい。税金と社会保険で、用語は違うし、適用範囲も違うし。年金に関しては子どもと配偶者でも違うし。

人事 年末調整だと子どもは被扶養じゃないからね。

営業 ややこしい。

人事 年末調整の書類もさ、子どもは書くところ違うでしょ?

営業 そう。16歳以上でしょ。

人事 そうそう。上の欄に書くのが16歳以上の子どもで、下の欄に書くのが16歳未満のこどもでしょ。

営業 そうそう。

人事 ちなみに16歳未満の子どももなんで書かすかっていったら住民税には関係があるから。

営業 バカみたいだな。そもそもなんで16歳以上は控除対象親族になるの?あ、児童手当が終わるからか。

人事 そうだね。むしろ19歳以上23歳未満の子どものほうが控除の金額が多いんだよ。

営業 配偶者より?

人事 配偶者より。なんでだと思う?

営業 その分仕送りするから?

人事 ちょっと近い。

営業 大学の学費?

人事 そうそう。要はそれくらいの年齢の子どもはむしろお金かかるでしょってことで、特定扶養親族っていうのになって、むしろちょっと控除の額が多い。

営業 そうなんだ。それもこれから削ってきそうだな。

人事 うーん。子どもは削らないんじゃないかなあ。まあ扶養親族にもいろいろあるんだよ。

営業 いっぱい項目あるよね。なんなのあれ?

人事 扶養親族の状態によって、控除してあげる金額が違うんだよ。

営業 そうだね。働いてる年収によっても違うもんね。

人事 そうね。それは配偶者だけだけど。

営業 ああそうか。

人事 扶養親族だったらふつうは38万円引いてくれるんだけど、子どもが大学生とかだったら学費とかめっちゃかかるから、プラスαでひいてくれたり。

営業 はいはい。

人事 あとは同居のお父さんお母さんで、年くってると、じゃあ大変だねってことでやっぱり控除する金額を足してくれたりする。だからめっちゃややこしい。あれもよくみるとチェック入れるところがあるんだよ。

営業 あるよね。みたことある。

人事 あれはこれなんです。ややこしいでしょ。

営業 あれはあまり理解せずに書いてるから。本当に理解して書いてるひといるのかな?

人事 一度ちゃんと読んでみると面白いよ。

営業 確かに。あれ?うち対象じゃない?ってひといるかもね。

人事 そうなんだよね。けっこういると思う。

営業 ということは税金納めすぎになってるよね。もったいない。

人事 たまにあるのが、えっと「寡婦」?

営業 はいはい。

人事 最近「ひとり親」って制度になったんだけど、要は片親しかいない場合。条件に該当すると控除の額が増えるんだけど、これって申告しなかったりするんだよ。

営業 なるほど。

人事 関係ないと思ってたりとか、あんまり言いたくないしとか。昔の「寡婦」って言いかただと、夫に死に別れた奥さんってイメージあるけど、関係ないから。離婚でも別にいいから。

営業 あ、離婚でもいいんだ。

人事 おんなじだからね。

営業 そうか、実態は同じか。

人事 片親で暮らさないといけないっていうのは同じだから。年収によって対象が決まったりするので、なおややこしい。あれは見過ごしがち。

営業 マイナンバーに年収とかが全部入るんだったら楽になるんだよね。

人事 うーん。

営業 なるのかな?なるようにしたいのかな?

人事 理想はそうなんじゃない?

営業 できそうだけどね。

人事 できるとは思うけど、あんまりやられたくないってひとが多いんじゃないか?

営業 まあそうだろうね。全員は絶対無理だね。

人事 国に全部管理されてるのが嫌ですってひともいるから。

営業 それもわかる。信用できるのって話になるし。

人事 そうそう。

営業 どうせ事故って漏らすでしょって。

人事 なんだ。年金事務所のことか。

営業 そうそう。

人事 まあ、被扶養はめちゃくちゃややこしいです。

営業 でもざっくりとはわかりました。

人事 ていうかね、私も担当でやってるし、社労士ですけど、たまにわかんなくなる。

営業 これはなんだっけってなる?

人事 なる。えっと、控除対象親族って何?ああ、あっちの話ね。じゃあダメです、とか。

営業 毎回調べると。

人事 うーん、そうだね。とりあえず、大前提として社会保険と税金は違うと。

営業 おっけ。

人事 それだけ覚えておけば、だいたい80%くらいはあってる。

営業 わかった。少なくとも思った以上にややこしいということはわかった。


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