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Konfirmasjonにおける人権・平等教育

ノルウェー人は15歳になる年に、konfirmasjon(コンファルマション)という儀式を経験することを最近、ノルウェー語の先生から教えてもらいました。日本語に訳すと「堅信」。あまり馴染みのない言葉ですが、洗礼後に更なる恵みを与え、聖霊の賜物を得るために行うキリスト教の儀式のことです。

私はkonfirmasjonの儀式そのものに興味をもったわけではなく、konfirmasjonを受けるにあたって事前に受講するコースの内容に興味を持ちました。約半年間、14、15歳のティーンが教会や集会所に集まり、人権とは、自由とは、平等とはといった生きる上で大切なテーマについて話し合うのです。大人になる節目の年という位置づけもあり、キリスト教信者でなくても受講できます。(ただし教会のkonfirmasjonの儀式に参加するには洗礼の儀式が必須です)教会が主体の場合は、聖書の教えに基づいて講義が行われますが、そうでない場合は一般的な道徳として学びます。

異なる学校から集まった同じ世代の若者たちがグループワークで喧々諤々話し合いをするのってとてもいいですよね。しかも国語とか算数とかではなく、より大きな人生における問いを深めていく場って日本にはなかなかないように思います。正解のない問いに向き合い、自分の頭で考えて意見をいう、相手の考えや想いにも耳を傾ける、、、そしてまた考える、、まさに大人になる準備期間に必要な作業です。

例えばある団体がテーマとして扱っているのは以下の5つ。

Critical thinking
Ethics
Identity
Human rights
View of life and humanism

https://www.human.no/seremonier/humanistisk-konfirmasjon

とても幅広いのですが、この中に男女の平等や人権についての教育も含まれているそうです。ただ教科書的に読むのではなく、そのテーマについて自分なりの考えをもって発言することが求められるわけです。なかなか高度ですよね。

日本では男女平等や人権といったテーマは教科書的に学びはしますが、そのテーマについて本格的に話し合うことはあまりないように思います。さらっと終わってしまい、どこか遠い国の何か他人事のような雰囲気です。ほんとはとっても身近な問題にも関わらず、、、

最近参加したジェンダーの勉強会でも「日本人は人権意識が低い。だから差別されても気づかないし、怒りにも発展しないから運動が起きにくい。」ということを聞き「たしかに」と思いました。「自分は尊重されるべき存在」「私にも発言する権利が生まれながらにしてある」といった意識がもっとあれば、堂々と権利を主張できるのかもしれません。

一方で子供のころから、「人権」や「平等」といったテーマに触れ、育ってきた若いノルウェー人の女性は何か差別にあったときにも「私には男性と平等に権利がある」と堂々といえる素地があるのではないかと思いました。最近起きたアイスランドの女性ストライキ運動をみても、そういった確固たる信念があるから強く社会に立ち向かっていけるのではないでしょうか。

日本の成人式では若干遅いかもしれませんが、例えば義務教育の最後などに同じようなコースを導入できたら日本人の意識も少し変わってくるのではないかと思いました。

もし、娘や息子が15歳になるときにノルウェーにいたら(絶対いないけど)、konfirmasjonを受けさせたいと強く思います。

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