見出し画像

1050_サジェスト

音楽サブスクを使っていると、「こんな音楽を聴かれてるってことは、もちろんこちらも好きですよね」と言わんばかりに、それっぽい音楽のジャンルをサジェストしてくれる。

なんでもかんでも、AIが先回りして、僕のゆるい頭の中を解析してしまっているようだ。お気に入りの音楽を与えてくれて、餌付けされた家畜のようにすっかりコントロールされて、これいいなあとヘラヘラしているうちに、だが、果たしてこんなふうに気持ちいいままに音楽を聴いていていいのだろうかと思えてきた。

別にそれでいいんじゃないか、という声も聞こえてくるが、だが、よく思い出してほしい。思春期の頃、よく雑誌を見て、背伸びして憧れの洋楽やちょっとアートっぽくて尖った感じの映画を見てみた覚えはないだろうか。

結局、そういったものを無理に摂取しても、異物感が強く、自分なりにうまく消化しきれずに消化不良でモヤモヤしてしまう。結局、あれは何が言いたかったんだろうって、あとからふと思い出してぼーっとしてしまうようなあの感覚。そういうものの方が、実は大人になってからでも、よく覚えていたりするもの。

ペットフードのように、飼い慣らされらためだけに与えられるような、わかりやすいものばかりをホイホイと飛びつかないで、たまにはよくわからないものも食べず嫌いせず手を出して見てはいかがだろうか。AIが絶対に自分にサジェストしないもの、それが一つの発見。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?