一万年生きた子ども――統合失調症の母をもって| 第6回 毒
小学校2年生のとき、母が統合失調症を発症。私は生き延びるために、「一万年の子ども」になった――。単行本化を記念して、ナガノさんの子ども時代が描かれた第1~10回を公開します。
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「ハルちゃん、これを食べなさい」
母がお椀に入ったおかゆを私に持ってきました。
「嫌だ、食べない」
私はそのおかゆに母の向精神薬が入っているのがわかっていたので拒否しました。
「お姉ちゃんは食べたんだよ」
母は猫なで声でいいます。姉は母の言うことにはほとんど逆らわず、いつも言う通りにしていまし