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fuyusakura10
気になることば【0026】
今更のように民子の美しく可愛らしさに気がついた。
〜伊藤左千夫『野菊の墓』より〜
「美しく」という語は、「可愛らしさ」とペアになって使われているはずです。でも僕たちは、この「美しく可愛らしさ」という言い回しに違和感を覚えますよね。つまり、現代日本語の感覚から言うなら、この文は、
今更のように民子の美しく可愛らしいことに気がついた。
などと表現されるべきなんです。
この場合、「美しく可愛らしいこと」の「こと」は、「美しく」にも「可愛らしい」にも接続すると読み取れます。つまり、
・美しい + こと
・可愛らしい + こと
この2つのフレーズが、
・美しく可愛らしいこと
と一つにまとめられた、と。
となると、もし、「野菊の墓」中の「美しく可愛らしさ」という言い方が当時には普通に使われていたものであったなら、昔の日本語では、
・美しい + さ → 美しさ
・可愛らしい + さ → 可愛らしさ
の2つのフレーズを、
・美しく可愛らしさ
と、一つにまとめることができた、ということになりますよね。
実のところがどうなのか僕にはわかりませんが、こういうことを、なけなしの知識であれこれと考えてみるのは、本当に楽しいです😊
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