トップ絵

伝説のゲーム『たけしの挑戦状』の思い出

朝方、Twitterで流れてきた記事を読んで思い出したことを書いてみたい。
その記事はこちら。

ま~、ファミコン時代はとんでもないクソゲーが溢れかえった時代であった。なんせ、どんなゲームを出したってそれなりに売れてしまうんだから、しょうがない。
貯めた小遣いやお年玉で買ったゲームがクソゲーで、泣いた小学生が何百万も居たことであろう。
それを反省した任天堂は、現在では厳しい審査を設け、基準をクリアしなければ発売できないようにしているという話である。

そういったクソゲーとしてよく名前が出るのが、記事中にもある『たけしの挑戦状』である。

筆者は当時小学生だったと思うが、発売後間もなく買ってプレイし、数年かけてクリアしたという思い出のゲームである。

たしかに問題作であったのは間違いない。ただ、これをクソゲーと呼ぶには少し抵抗がある。
クソゲーには製作者が意図しなかった何かが必要だと思うのだ。
面白い企画だと思ったのに作ってみたらつまらなかった、とか。とんでもないバグがあった、とか。
しかし、たけしの挑戦状はこれを意図して作っているのだから、そこいらのクソゲーと同じにしてもらっては困る。
完全に頭がどうかしているゲームなのである。

どこがおかしいか?

ゲームというのは、あの時代はまだまだ子供がやるものという風潮があった。実際、やるのは子供たちであったと思う。

そんな時代において、たけしの挑戦状は社長室から始まる。プレイヤーキャラはサラリーマンだ。
社長に「いったい何の用だ?」と聞かれたら、「辞表を出す」とか、「休職する」とか、「社長を殴る」とかの選択肢が出る。
子供向けのゲームである。

家に帰ると嫁がいるのだが、この嫁と離婚しなければクリア不可能なのである。
しかし、普通に離婚すると慰謝料として持ち金全部をぶんどられ、これまたクリア不可能となる。
子供向けのゲームである。

このゲームの目的は南の島で宝を手に入れること。
そのために、『たからのちず』が必要になるのだが、その入手方法はスナックで「雨ふる新開地」というムード歌謡をカラオケで歌い(追記:歌う、というのは、ファミコンの2P用コントローラーに付いていたマイクを使って本当に歌う必要があった。どうやって上手さを判定していたのかは謎である)3回連続で褒められること。すると喧嘩を売られるので相手を倒すこと。するとなぞの爺さんが出てきて地図をくれる。という流れ。
繰り返すが、子供向けのゲームである。

正解ルートの狭さ

このように進んでいくのだが、クリアできない者達を多数生み出した。なぜなら、正解ルートが異常に狭かったからだ。

例えば、さっきの『たからのちず』であるが、貰った時点では真っ白なのだ。ではどうするかと言うと、日光に一時間さらすのである。
ゲーム内時間の1時間ではない。葉巻を吸ったら時間を進められるなんてことは当然無い。実際に1時間待たなければならないのだ。
分かるか、こんなもん!
この間、暇なので外に遊びに行き、帰ってきたら母親にファミコンの電源を切られていて泣いた小学生が万単位で居たとか居なかったとか…。

離婚するのも、できる限り所持金が少ない状態でなければ慰謝料を取られてしまう。スムーズに離婚話に持っていくには酔いつぶれて帰らなければならない。では、どうするのかというと、

最初の社長室で何もせず出る。
外にいる一般人を17人倒す。
1人につき300円落とすので所持金が5100円になる。
スナックに行き、一杯千円の焼酎を5杯飲む。
酔いつぶれて気がつくと家にいる。
嫁に離婚届を突きつける。
持ち金が100円なので、100円で離婚できる。

これが正解ルートなのである。
分かるか、こんなもん!

これを済ませたあと、改めて社長室にもどりボーナスをもらう。最初に貰ってしまうと慰謝料としてとられてしまうからだ。
さらに話しかけ辞表を提出し、退職金ももらう。
退職しておかないと、南の島まで社長が追いかけてきて連れ戻されてしまうのである。
分かるか、そんなもん!
離婚もなぜするのかと言うと、しておかないと南の島まで嫁が追いかけてきて連れ戻されてしまうからである。
分かるか、そんなもん!
地図をくれる爺さんも殺しておかないと、最後に宝を横取りされるのである。

分かるか、そんなもん!

これはまだ日本にいる段階の話で、南の島に行ってからもいろいろあるのだが、もうこれ以上説明せずとも十分伝わったであろう。
このゲームの頭のおかしさが。
これが後のPostal2GTAシリーズに計り知れない影響を与えたとか与えなかったとか与えなかったとかいう話である。

クリアに数年かかったと書いたが、実は自分で攻略したわけではない。攻略情報が出回ってから、その通りプレイし、ようやくクリアしたのだ。散々苦労してエンディングを見たあと、そのまま放置していると、最後にビートたけしさんから身も蓋もないことを言われるのだが…それは皆さんの目で確かめて欲しい。

アプリ版が840円で売ってるそうなんでね。ぜひ。
え?高いって?
バカヤロー!こっちは当時定価(5,300円)で買ってんだぞ!

プレイ後の文句はたけしさんに言ってね!

こんにちは。日本の皆様にお知らせがあります。私の活動の援助をお願いいたします。私は独立性を守るため、皆様からの援助のみで活動しております。援助をしてくださる方は少数です。もし皆様が百円寄付してくだされば私はこの先何年も活動を発展することができます。宜しくおねがいします。