大学教員の仕事「論文の執筆」
今回は大学教員の仕事の中核とも言える論文の執筆についてお話しします。
論文の執筆は義務ではない
前回の投稿から大変時間が経ってしまいましたが、なぜ、投稿に割く時間がなかったかというと、「論文の執筆」に追われていたからです。
知り合いの教員の中には、1年に7本の論文を筆頭著者として生み出す猛者もおりますので、私が投稿できなかったのは言い訳でしかないのですが、論文の執筆に時間がかかってしまう私にとっては、記事の投稿と論文の執筆は両立させることができませんでした。
今年は3本の論文執筆に関わりましたが、どれも共著者がいたため、下手な文章をテキトーに投稿することもできず、共著者の方々に恥をかかせないよう、気合を入れて書きました。
(1本が筆頭、残りの2本は分担ですが、最も苦手とする序論の部分を担当することとなったため、時間がかかってしまいました。)
話を見出しに戻しますが、大学教員として働いている以上、研究と教育が主な業務となります。
研究成果を発表する論文の執筆は、研究に関わる重要な仕事の一つと言えます。
ただ、この業務は「義務」ではありません。
簡単に言えば、終身雇用(テニュア)で採用されている以上、論文を書かなくとも、授業や学務分掌をこなしていればクビになることはありません。
本来の大学教員とは、研究を行い、その成果を論文や学会発表などで社会に還元するとともに、後世にその成果を授業で教える、というのが一つの循環となっています。
ただ、おかしなことに論文執筆はもちろんのこと、研究自体を行わなくとも、クビにはならないのです。
もちろん、授業内容を教えるだけの知識や技能を持ち合わせていることは必要となりますが、大学教員の両翼ともいえる業務の片翼は義務ではないというのが実際です。
大学教員としての矜持
先述したように、研究は義務ではないため、実際に行わない教員も一定数います。
各大学のホームページを見て、教員の業績について調べてみると良いのですが、スカスカな教員もざらにいます。
大学のレベルにもよりますが、そのような教員でも「教授」という肩書がもらえてしまうというのが大学の世界です。
では、研究を行わなくても良いのか。
これは、私個人としては、大学教員としての矜持が許しません。
学位も修士しか持っておらず、特筆すべき業績も持っていない平凡な教員ではありますが、大学教員としての立場で働いている以上、研究を行わないというのは己の道徳に反します。
カッコつけているようですが、これは自信のなさの表れでもあると自己分析しています。
研究を行い、最低限の業績を積んでいなければ、大学教員としての立場が恥ずかしいと感じてしまうのです。
つまり、「大学の先生なんだから、頭いいんだよね? 何でも知っているんだよね?」と思われるのが怖いのです。
大学業界にいるとそのようなことは意識しないのですが、小学校教員という外から入ってきた外様からすれば、社会的に大学教員というのはそのようなイメージを持たれやすいと思うのです。
その時に、頭は良くなくとも、ある程度の業績を持っていなければ、人に何かを教えるという資格すらないと感じるのです。
そのため、中には「教授」という肩書欲しさにどんどん昇任していく同僚もいますが、私は昇任条件を満たしていたとしても、その肩書きに似合う実力が自分にはないと感じてしまうタイプなのです。
この不安を少しでも和らげるためには、業績を一つでも多く積み上げ、大学教員としての矜持を保つほかないのです。
考えすぎではありますが、私の中では毎年上記のような葛藤に苛まれ、最終的には自分を追い込んでいる、という状況に陥るわけです。
論文の投稿期日は秋がピーク
個人的な話が多くなってしまいましたが、論文の投稿には期日というものが存在します。
学会誌によっては、随時受付という学会誌もあるのですが、学内紀要などに投稿する場合は、基本的に期日が存在します。
その締切期日のピークとなるのが、だいたい秋となります。
学内紀要に関しては、大きく二つの期日が設定されており、まず、論文の投稿を行うかどうか、ということを確認するための「題目締め切り」というものがあります。
これは、論文の題目だけを提出し、「このような論文を書く予定です」ということを示すためのものです。
この論文題目を基に、刷り上がりは何ページくらいになりそうだ、という計画を業者と相談したりします。
その後、論文自体を提出する「投稿締切」というものがあります。
ここまでに論文が書きあがっていなければ、紀要には掲載することができません。
論部投稿が間に合わない場合の裏ワザとして、かけていない部分には「〇文字程度執筆予定」と書き、スペースをとっておいてもらうという技があります。
その後、掲載後の体裁を確認する「校正」という作業が業者との間で行われるのですが、その校正が終了するまでに書き上げるという裏ワザです。
ただ、この裏ワザは業者に迷惑をかけるだけでなく、学内の紀要編集委員などにも迷惑をかける場合があるため、期日通りに論文を仕上げておくことがよいというのは言うまでもありません。
10月~11月ごろに投稿締切を行うことで、年度内に紀要を発刊することができるため、多くの場合、秋ごろに執筆締切が設定されていることかと思います。
私の場合も、紀要やその他の投稿に関して、期日が秋口に集中してしまったがために、記事の投稿が止まってしまった次第でございます。
もっと計画的に進めていればよかったのですが、時間があればあるほど考えてしまうため、締切があることによって、ある意味「区切り」をつけることができるのだなと感じます。
今回は論文の執筆についてお話ししました。
内容としては私の近況報告のような形となってしまっていますので、学会誌への投稿や査読誌への投稿、紀要の投稿など、論文の執筆、投稿に関する記事については改めて書こうかと思います。
時間が空いてしまいましたが、引き続き、記事をお読みいただけますと幸いです。
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