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パティシエ、上手なプリンの作り方を全力で語る③ プリン焼く編

プリン作りを全力で語るその③です。

これでそろそろ終わりたい(笑)

①と②は↓

①と②では、卵や牛乳の特性を知ることで、どんなプリンでも注意すべき点が見えてくるよ~ということを一生懸命語っていました。

今回はやっとになりますが、プリンを焼く際のコツをご紹介してきたいと思います。

プリンの「す」をどうにかしたい

プリンをプッチンプリンのようにひっくり返して盛り付けたいなら気になるのが「す」ですよね。

「す」は何か。端的にいえば空気(水蒸気)です。

プリン液の中から焼ける時に出ていく空気(水蒸気)の通った跡、というのが正しいですかね。

じゃあなぜそんな穴が残るのか。

その原因として考えられるのは

①プリン液に空気がたくさん入ってしまっている

②火の当たりが強すぎる

大きく分けるとこの2点です

一つずつ説明していきますね。

①プリン液に空気がたくさん入ってしまっている

①はこの記事でも少しふれたのですが、プリン液を泡だて器でホイップクリームを作る時のようにガチャガチャ混ぜると、プリン液には空気がたくさん入ってしまいます。

この液体の中に溶け込んだ空気(気体)を溶存気体というんですが、溶存気体は液体の温度が上がると気泡に戻る。

つまり、オーブンで型に流したプリン液が温まってくると溶け込んだ空気が泡となって出ていきます。

※(なので、牛乳を温めて卵に入れるのは空気を抜く、という役目もあるのです)

この泡がプリンが固まるまで型にペタッとくっ付いていたらその部分はそのまま気泡の跡、すなわち「す」として残ってしまうのです。

ですので、プリン液を作る時、特に卵と砂糖を混ぜる時は泡だて器はなるべくグルグル円を描くように動かさない。

水平に、コシを切るように左右に動かすのがポイントです。

②火の当たりが強すぎる

プリン液作る回で語ったように、プリン液はなるべくオーブンに入れてから火通りが良い、かつ卵がプリン液を作る時点で熱変性しない温度帯に狙いを定めて作るのが大事です。

じゃあせっかく火が通りやすい温度にしたんだから、さっさとプリンに火が通るように高温で焼けばいいんだ!と思った方。

ダメ、ぜったい。

これこそが「す」の原因になってしまいます。

高い温度のオーブンで焼くと、プリンの表面、ないし側面が一気に加熱されます。

そうすると、熱のあたりが良い部分からプリン液が沸騰してしまい、液体は水蒸気として逃げていきます。

お湯をわかすとぼこぼこ泡が出るのと同じ仕組みです。

なので中までその温度で焼きろうとすると、型に面した液が沸騰し、水蒸気が逃げていった丸い跡が「す」として残るのです。

プリンをキレイに焼くために

んじゃあ②に関して具体的に、「す」が入らないためにどうするか。

おうちでも簡単にできるポイントは

①天板やバットには布きんを敷く

②湯せん焼のお湯は50~60℃くらい

③湯せんの量は底から1㎝~型の半分くらい

④低めの温度でゆっくり焼く

⑤何度もオーブンを開けない

この5点です。

①から説明していきますね。

①天板やバットには布きんを敷く

天板に接する面は一番火通りが良く「す」ができやすいので、なるべく火の当たりを柔らかくするために布きんを敷きましょう。

プリンの型が動きにくくなる役目もあります。

②湯せん焼のお湯は50~60℃くらい

湯せんのお湯何度にするかは結構いろんなところで色んなことが言われていますが、50~60℃くらいが一番妥当かなと思います。

なるべく卵の固まる温度に近いお湯でスタートすると、お湯に当たっている場所はゆっくり火が入っていきます。

それに、プリンは蒸気の力で加熱していくものなので、お湯からなるべく早く蒸気が上がる温度がベターです。

なので、50~60℃くらいなのかなーと思っています。

とにかく、ゆっくりプリン全体の温度が上がっていくようなイメージです。

外側ばっかりに熱が一気に入らないように、蒸気の力を借りてじわじわ温度を上げて、加熱していきます。

③湯せんの量は底から1㎝~型の半分くらい

プリンは蒸気の力で火の当たりを柔らかくします。
湯せんの量が少なすぎると蒸気がしっかり庫内に充満せず、蒸し焼き状態になりません。

なのでお湯の量はだいたい底から1㎝は欲しいですね。

十分な蒸気で庫内を満たすためにもお湯の量は少なすぎないようにしましょう。

また一番火の当たりが強くなる底面を守ることにもつながります。

④低めの温度でゆっくり焼く

プリンは卵が固まるくらいの、なるべく低い温度で焼くのが良いのですが、100℃とかちょっと低すぎる温度はおうちでやるのはおすすめしませんね。

なぜなら家庭用オーブンは庫内が狭く、少しオーブンを開けただけですぐに温度が下がってしまうから。

レシピにもよりますし、予熱を20℃くらい高めに設定するのもありかもしれませんが、焼くのに時間がかかりすぎてしまうかなーと思います。

なので、私は写真のプリンを焼いたときは140℃くらいで25分くらい焼きました。

これくらいの温度でもしっかり庫内を蒸気でいっぱいにして焼けば「す」はできません^^

⑤何度もオーブンを開けない

これは③と④に関係するのですが、家庭用オーブンは庫内が狭いので、何度も気になってオーブンを開けると、一瞬で温度が下がり、蒸気が逃げます。

なので、最初は気になるかもしれませんが、ある程度の時間まではオーブンを開けるのをグッと我慢しましょう。

プリンのレシピやサイズにもよりますが、普通サイズのプリンなら20分くらいはほっといても大丈夫だと思います。

プリンを全力で強い熱から守る

加熱するけど強い熱からは全力で守る!

これがプリンをキレイに焼くコツですね。

もう全身全霊で守りましょう。

あと、焼けたかどうかの確認は、プリンを少し揺らして、真ん中だけが少しプルンとするくらいです。

液体感がある時はもう少し焼きましょう。

そして、オーブンから出したら冷蔵庫に入れてしっかり冷やす。

加熱した卵は基本足が早いので、さっさと冷蔵庫に入れる方が衛生面でも安心です。

これでだいたいコツはシェアできたような!

次回はそのほかのコツとプリンの黄金比について少しシェアして終わります^^

長い文にお付き合いありがとうございました^^

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