見出し画像

自然のしくみ、森のなりたちを知る…高篠山森林公園②(福島県郡山市)

高篠山森林公園①の続きです。
写真は高篠山森林公園入り口の案内図にいるリスさん。

野山のごちそうをおやつに

ウォーキング中、この時期ならではのごちそうもいただきました。

苦味がクセになるサクランボやクマイチゴ、お菓子のグミみたいなモミジイチゴ。

この写真は本日「郡山市野鳥の森」で撮影
クマイチゴ。真っ赤なラズベリーって感じの実をつけます
こちらがモミジイチゴ。写真は1粒だけですが、結構たくさんなっていました

モミジイチゴの画像は、こちらのサイトの写真がきれいです(お花の写真もあり)↓

モミジイチゴが一番おいしいらしいのですが、私はクマイチゴも美味だと感じました。でも、一番おいしかったのは、桑の実! 指を紫色に染めて摘んでみたり。ヨーグルトを持っていきたいおいしさでした。

この写真も本日「郡山市野鳥の森」で撮影。逆光ーーー!

野山の恵を味わえたのも案内人さんがいるからこそ。自分一人では、「もし毒があったら…」と不安を感じてしまい、口にすることはなかったでしょう。本当に案内人さんに感謝。そして、参加してよかった(最初は「ウグイスとカッコウ、ホトトギスの声くらいしか知らないけど、大丈夫かな?」とちょっと不安でした(;^_^)

案内人さんによると「植物は五感を使って覚えるといい」そう。
確かに。私、モミジイチゴは忘れないと思います。独特の色とおいしさでした!

①では、クサギやクロモジなどの葉っぱの香りを嗅いで、「そんなに臭くない」とか「いい香り」とか感じたし、ベリー類も味の記憶が残りそうな気がします。

アサギマダラにヒョウモンチョウ、昆虫たちの棲家

探鳥会では、花や植物だけでなく、同じく森林を棲家にする昆虫たちにも出会いました。

①でも書いたし、つぶやきにも書いたアサギマダラ。

戻ってからサクッと検索。

“旅するチョウ“と呼ばれるこのチョウには、渡りの性質があり、東京都の高尾山では、調査のため福島県でマーキングされたと思われる個体が発見されたそう。なかには、直線距離で200kmも移動した個体もあるとか。
200kmっていうと、福島県なら北部の福島市と南端の白河市間を往復するくらい? あの小さい体、吹けば飛ぶような華奢なつくりで、どうやって移動するのか? 何日くらいかかるのか、どうして移動するのか、まだ解明されていないらしい。

高尾ビジターセンターの記事↓

今回出会う回数が一番多かったのは、ヒョウモンチョウの仲間でした。ヒョウモンとは、その名の通り、羽根の模様が「豹柄」に似てるからだそう。
そのほか参加された方のお話ではオニヤンマも見たそうです。いつの間にか、トンボが飛ぶ季節になっていたんですね。

この日は風が強かった! 飛ばされないよう必死に幹にしがみつく!

パイオニア植物から陽樹、そして陰樹へ。

今回、とても心に残ったといいますか、心を動かされたのが、なんといえばいいのか、一番近いのは「環境保護」「環境保全」なのかもしれないけれど、それも微妙に違うような気もします。

私たち自身も自然の一部というか、地球という惑星の構成要素の一つであることを考えると、共生や共存がふさわしいのかな? しっくりくる言葉が見つからない。

このへんは今後も考えていくとして…。

今回「パイオニア種」という言葉をはじめて知りました。

案内人さんが「白膠木やタラの木は、パイオニア種の一つ。おもに日当たりのよいところを好む植物で、樹木の中で最初に森林をつくる」とおっしゃっていたのが印象的で、この記事を書くにあたり、ちょっと検索してみました。

上記のサイトによりますと……

①草木が一本も生えないような荒原にコケやシダ類が侵入し、保水力や栄養を含んだ土壌をつくり、ヒメジオンのような1年生の植物が繁茂する

②次に多年生の植物の草原ができる。多年生植物とは、ススキやチガヤのように地上部が枯れても地下茎が残り、翌年地下茎から再び地表に出てくる植物のこと。

③土壌の環境が整うと、強い光を好み、乾燥に強い性質を持つ「陽樹」が出現し、低木林をつくる。
代表的な陽樹は、シラカバ、アカマツ、クロマツ、ハンノキ、コナラなど。その初期に現れるのが、先駆植物(パイオニア植物、パイオニアプランツ)。厳しい環境に強いという特徴がある。草木ではススキやイタドリ、樹木ではヤシャブシ、ハンノキなど乾燥につよいもの。

④やがて、アカマツやコナラなど陽樹の高木林がつくられるようになり、陰樹が生育できる環境が整う。そのあと、陽樹は減退・消滅する。

⑤陽樹が育つと、森林の地面に太陽光が届きにくくなり、同じ場所に陽樹の幼木が育たなくなる。

⑥陽樹の森にいつしかスダジイやアラカシなど、日照量の少ない環境でも幼木が育つ陰樹の種子が侵入する。

⑦陰樹は陽樹の成木の下で成長をはじめる。しばらくすると、陽樹の成木に陰樹が混じった混交林ができる

⑧陰樹の高木林がつくられるようになると、森林の地面に届く光が少なくなり、陽樹は減退・消滅する。

⑨陰樹の幼木は日照が少なくても育つことができる。そのため構成する樹種はほとんど変化しなくなる。これ以上植生が変化しない安定した状態(極相・クライマックス)となる。原生林のほとんどは陰樹林。

そして、極相林は、北海道のエゾマツや日本海側のブナ林のように地域の森林を代表する樹木となる。

コケ・シダ類から一年生植物、多年生植物、そして、パイオニア植物、陽樹の森から陰樹の森へ。いったいどのくらいの歳月がかかるのか…。だけど、それでも植物は荒地へと種子を飛ばし、そこを森林にしていくのだなあ。

正直、実家のお庭の手入れに悩む者としては、「雑草め! ラウンドアップしたる!」と植物を敵視せざるを得ないわけですが(;^_^)、森林のなりたちを知ってしまうと、「植物たちも必死なんだなあ」と、なんだか変な仲間意識が芽生えてきます。われわれ人間と同じ生命体なんだなあと(だけど、雑草は引き抜く!)

ときどき、雑草だらけの庭にツタが這う家屋を見ることがありますが、あれは自然の摂理に従っている姿というか、自然に還るというか、なんですね。

何かのメッセージのような木漏れ日

自然を守るということ…森林と人間の関係性

森林が森林として存続するためには、下草を刈るなど人間の手入れが欠かせません。そうじゃないと、先ほどの陽樹の幼木のように日照が届かないから。
(だけど、それも森林を利用する側、人間のエゴだったりするのかもしれません)

そういう意味では、森林と人間は持ちつ持たれつ。やっぱり共存ってことなのでしょうか。

途中、見晴らしのよい場所で案内人さんに、「樹木の形に注目してみてください」と言われました。

写真中央部の樹木は杉です。

「林業には“適地適木“という言葉があり、『下スギ、中ヒノキ、上赤マツ』」と言われます」と案内人さん。スギは湿気を好むので、水分の多い下へ。一方乾燥に強い赤マツは上のほうへ。ヒノキは湿気があり過ぎると病気になりやすいとのこと。

記事を書くにあたり、調べてみたところ、「尾根マツ、谷スギ、中ヒノキ」という言葉もあるようです。どちらにしても、植林するときは、樹木の性質や特徴に合う場所へということでしょう。

「尾根マツ、谷スギ、中ヒノキ」というが、乾燥に強いマツは尾根に、水が好きなスギは谷筋に、そしてその間にヒノキを植えるゾーニングが、土に合わせた昔からの工夫である。

↓今回の記事を書くにあたり参考にしたサイトさん。メモ代わりにリンク

オニグルミの話

今回とても印象に残ったのが、オニグルミの実のお話でした。

オニグルミは毎年、あの硬い実をつけるのですが、それにはとてつもないエネルギーが必要になるのだそう。

「ブナは7年に一度しか実をつけません。一度実をつけると疲れてしまうからです」と案内人さん。

実をつけるということは、植物にとってはそれくらい大変なこと。人間を含めた動物でいえば、いわば出産にあたるわけだから、当たり前か。
それに向けて、樹木の内部では着々と準備が進み、葉を枯らして落として、自らのエネルギーを使い話して、眠りにつく。そして、ふたたびエネルギーを蓄え、春に噴き出す……そんな感じなのかな。

それにしても、オニグルミの実って梅みたいな感じで、青くて小さかった。あの実をあの硬い殻に変化させるのって、よく考えるとすごいこと。
なんとか子孫を残したい、種を繁栄させたいというクルミの切なる願い。なんだかちょっと感動かも…。今度からクルミに感謝してかじることにします(今まではオメガ3脂肪酸にしか感謝していませんでした(;^_^)

すんごく分かりにくいのですが、小さな実がついています!
こちらは本日、「野鳥の森」で撮影したオニグルミの実。これがあの硬い殻になるとは…不思議

再生エネルギーと環境保全。そして、胸にわきあがってきた思い

最後に案内人さんから「郡山市中心部から猪苗代湖に隣接する湖南町へと至る三森峠から御霊櫃(ごれいびつ)峠まで風力発電を設置する計画」があると聞きました。
ヒマワリやコスモス畑との対比で話題になっている布引高原の風力発電も老朽化が見られるため、一度解体してまた大規模に設置する計画もあるとか。

私は再生エネルギー賛成派なのですが、今回高篠山森林公園を歩いて、自然とは野鳥や野草、昆虫、森林が一体となって形づくるもの(人間も含まれる)という認識をあらたにしました。

これまでも「風力発電は地域の自然に影響を与える」と聞いてはいましたが、それが何を意味するのか、どんな影響を与えるのか、しっかり理解していなかったような気がします。

一つの植物の消滅は、それを餌としていた鳥や虫にも影響し、自然の生態系が変わってしまう可能性がある………私個人としては、自然の変化はある程度はいたしかたない部分があると思ってはいるのですが……ただ一度破壊された自然の再生には時間がかかるのも確か。

風力発電の設置もたいせつなこと。だけど、それにより生態系が変化し、現在猪苗代湖周辺に棲むというイヌワシが見られなくなってしまったら? それはイヌワシという種が(その地域において)消滅するだけでなく、イヌワシと関係していた他の動植物にも影響を与えてしまう。

じゃあ、どうするの?

「自然を破壊する風力発電反対!ではなく、お互いの落としどころを見つけるべく、風力発電を設置する東京の業者と話し合っていかなくては」と案内人さんはおっしゃっていました。
私も同感です。「反対!」と声を上げるよりも、譲歩するところは譲歩しつつ、譲れないところは譲れない。そんな姿勢がたいせつなのではないかと思いました。

そして、森林保全・自然との共生につながる何かをしていきたい。そういう思いがわきあがってくるのを感じました。

水の流れと緑、そして降り注ぐ光。少し弱っていた私の心を癒してくれた自然に感謝し、守るため、私にできることとは…?

すぐに答えは出ないかもしれません。だけど、考えていきたい。考えていかなくてはと思っています。

高篠山展望台
展望台からの眺め。田植えがすんだ水田が空を写して輝く

今後も郡山市とその近隣のおすすめスポットを紹介していきますので、スキやフォロー、コメント、サポートなどをいただけるとうれしいです。よろしくお願いいたします!



いただいたサポートの半額は、跋扈するニセアカシアの伐採をはじめ里山保全に取り組む日本野鳥の会郡山支部に寄付いたします。残りの半額は、生態系に関する活動をされている方の取材費(おもに交通費)に使わせていただきますので、サポートよろしくお願いいたしますm(_ _)m