化学に味は不可欠だった?
今となっては考えられないことですが、
かつて、化学で物質の味は重要な情報でした。
合成した物質の味を確かめるなんて、考えただけでゾッとします。
100年以上前の実験ノートには合成した物質の味が記録されています。
合成した物質を片っ端から口にしていたので、体調を崩す研究者が続出したそうです。
体調を崩すくらいで済めば良いのですが......
現在の化学教育の礎を築いたドイツのリービッヒは
「健康な人間は化学者ではない」と豪語したそうです。
なんてこと言うんだw
リービッヒは化学肥料やリービッヒ冷却器を作製、化学教育カリキュラムの作成など、化学研究や社会に大きな貢献をした大化学者です。
写真がリービッヒ冷却器です(Wikipediaより引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%92%E5%86%B7%E5%8D%B4%E5%99%A8)
20世紀半ばには味を記録する風習はなくなっていたのですが、
1965年のアメリカで、合成した物質をうっかり舐めてしまった研究者がいました。
その研究者は指を舐める癖があったそうで、指についた物質を舐めてしまいました。
...その物質は甘かった。
人工甘味料、アスパルテームの発見です!
アスパルテームは消化吸収されないため、ノンカロリーの食品によく使用されていますね。
ところで、液体を正確に計量するときに使うホールピペットとメスピペット。
かつては口で吸っていました。
というより、もともと口で吸うように作られているんです。
学校で酢酸などを吸って計量した経験がある方、居ませんか?
僕はありますw
今は安全ピペッターなどを使うので、うっかり口に入ってしまうことはありません(口で吸う人もまだ居るようです)。
でも、以前は塩酸や硫酸なども口でピペットに吸い上げていました。
ベテランの研究者にその頃の話を何度か聞いたことがあります。
「塩酸を口の中まで吸い上げてしまったことがあったんだよ。
塩酸って、やっぱり酸っぱいんだなぁと思ったw」
まぁ、酸ですからね...
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