歴史と科学 vol.11 ~遺伝の謎とDNA~
DNAの二重らせん構造、誰もが一度は見たことがあると思います。
発見されてまだ100年も経っていません。
このDNAは遺伝情報を担っています。
今回は、遺伝に関する研究の歴史を紐解きます。
遺伝の発見と研究
遺伝については、古くから知られていました。
親子が似ているわけですら、それだけで何かあると分かりますよね笑
そして、遺伝に関する記録は意外に古く、紀元前4,000年の古代バビロニアにまでさかのぼります。
石のタブレットに、馬の頭やタテガミの特徴が数世代にわたって記録されています。
生まれ育った環境に左右される要素もありますが、姿形や性格・知能など、多くの特徴が遺伝されます。
しかし、どうやって遺伝するのかは長い間謎でした。
さらに、遺伝されない特徴や、数世代後に現れる特徴もありました。
このことが遺伝のメカニズム解明を難しくしていたんです。
もしメカニズムを解明できれば、植物の品種改良などを計画的に行えるようになります。
数千年にわたって謎のままだった遺伝メカニズムの突破口を開いたのが、
オーストリア帝国(今のチェコ・ブルノ)の司祭、グレゴール・ヨハン・メンデルでした。
メンデルの所属していた修道院には数学者や植物学者が所属し、教育や学術研究が行われていました。
メンデル自身も科学を学んでいます。
ウィーン大学で物理や数学、生理学などを学んだメンデルは、1853年から、あの有名なエンドウ豆の交配実験を開始します。
メンデルがエンドウ豆を採用したのには理由があります。
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