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ストリップ劇場で働いていた体験記~赤青緑のパーライト~ たくみ

たくみの連載小説。
自身の経験に基づいた「ストリップ劇場のバイト」のお話をストレートな気持ちで綴ります。

踊り子さんの引退

とあるストリップ劇場。
そこで僕はバイトをしています。

劇場でのバイトをはじめてから半年ぐらいしたようやく少しは働くことに慣れてきていた頃踊り子さんの引退週にあたりました。

踊り子さんにも引退というものがあります。
ほとんどの劇場では十日ごとに踊り子さんが変わりまた他の劇場で踊るというスケジュールなのですが引退週とは最後の週をその劇場で踊りそのまま文字通り引退をされます。

その週の引退される楽日。
まだ開場前の劇場に並ばれていた沢山のお客様の数に驚きました。
話を聞くと遠方から訪れている人も多くいらっしゃってその踊り子さんが全国津々浦々長年踊った証なんだろうなと尊敬の念を抱きました。

楽日の四回公演の四回目。
本当に最後になるその踊りの前。
劇場は満員になり立ち見の人も劇場内満杯にいらっしゃってそれでも入れない人が出てきてしまい扉を開けてロビーでも見れるようにするほどになりました。

そして年季の入った深い茶色の劇場の扉から光と音が溢れ出ました。
ロビーから見える踊り子さんはこの瞬間が終わると引退してしまうことなんてまったくわからないくらいに当たり前のように綺麗に輝いていました。けれど客席の悲しさを孕んだ雰囲気からこれで本当に最後なのだと空間にいる全員が共有しているような気がしました。

演目が終わり暗転した後沢山の拍手が長い時間鳴り響きました。
その拍手の意味は激励でもあり感謝の気持ちでもあり悲しさの気持ちでもあるようでした。

この日からしばらく経った頃引退された踊り子さんの演目を別の踊り子さんが踊っていました。
引退される踊り子さんが踊っていた演目は他の踊り子さんに引き継ぐことがあるそうです。
踊り子さんが引退された方もそうやって演目自体が続いていくのだと。
僕はずっとずっとこうして続いていけば良いと心から願いました。

たくみ(1990年8月14日)(31歳)
千葉県船橋市出身、NSC東京校20期
ナミダバシとして5年間活動、昨年解散を発表。

著者/たくみ


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