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8万円なうなった

昨日は美容院でパーマをかけて15000円、
スピーディーキックに66600円、

たった1日で8万円がなくなった。

人の気持ちって本当にやっかいだ。

「昔働いていた厩舎出身の馬」
ただそれだけのことで、その馬が必ず勝つ保証なんてないのに、

「昔働いていた厩舎出身の馬」
その事実に心を焼かれ、目を焼かれ、脳みそを焼かれ、

おかしくなって、
大金を賭けてしまう。
そして失ってしまう。

「昔働いていた厩舎の馬?だからなに?」


そんなクールな人になってみたい。
お金に目がくらまない人。
儲けようとあれこれ考えない人。
余計なちからが入ってない人。

「思い込みと現実は必ずしもリンクしているわけではない」と、そんな冷静さを持った人になりたい。

「大金を賭けて興奮したい」
「あわよくば儲けたい」
「金を儲けてホクホクしたい」
「儲かった金で豪遊したい」

おれはもともとそういう欲求を持っていて、
スピーディーキックの存在を利用した。

おれはスピーディーキックが好きだから大金を賭けたのではなくて、
スピーディーキックを利用して、自分の「ギャンブルで大金を賭けたい」という欲望を満たしただけ。


ああ、そういうことなんだろうな。


もしもおれが本当の本当にスピーディーキックのことが大好きで、本当の本当に彼女にレースで勝ってほしいと願うのならば、それは本当にそうなるよ。それは必ず現実になるよ。

でも、そうじゃなかったんだ。

おれは彼女が好きじゃない。
彼女を利用しただけ。


だから彼女は走らなかった。


もう28年くらい前になるけど、
おれは1頭の馬に自分の命を賭けたことがある。

「この馬が1着に来なかったらおれは死ぬ」

心からそう決めて、
その馬の単勝馬券を10万円購入した。

トロットサンダーは見事1着になった。おれは

「馬に助けられたのだから、馬の仕事をやろう」

そう思って、ホッカイドウ競馬の石本厩舎で働くことになった。


そんなふうに、
本当に大事な場面では、
絶対に負けてはいけない場面では、
馬も人も負けないと思う。

今回のスピーディーキックに関しては、
おれはトロットサンダーほどの思い込みを持ってなかったし、
命を賭ける覚悟なんてなかったし、
ただなんとなく刺激を求めただけだから、
こんな結果になった。

本物と気持ちと偽物の気持ちがあるよ。

偽物の気持ちで、
なにかを偽りながら願ったとしても、
それは叶わないだろうね。

「大好きだ!」って心から思ってもないのに、
自分の生活のマンネリを解消するためだけに、
おれはスピーディーキックを利用したんだ。

だから彼女は勝たなかった。
馬券に絡まなかった。

だって、おれは66600円賭けた時点で、もう刺激を味わってる。
勝とうが負けようが、あとはどうでもいいんだ。

金ならまだまだある。

28年前は、有り金全部賭けた。
10万円賭けた。
それをなくしたら終わり、そういう状況だった。
だから終わらなかった。

おれは今日8万円失ったけど、
でもまだまだ金はある。

「金ならある」

そんな男のために、運命は走らないよ。

運命は、命も金も生活もなにもかも、
全部を失う覚悟を持った男のために走るんだ。

負けたところで「ちくしょう!」で済むのなら、
おれはまだまだ負けてもいいのだ。


おれは50歳になって、
家族をうしなってもまだ、
なにか惜しいものがあるのかね。
失くしたくないものがあるのかね。


ああ、おれはつまらない男だ。


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