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前の仕事を辞めたとき

2年2ヶ月ほど、成田空港で警備員として働いていました。
ずっと会社の寮で暮らしていて、今年の1月にそのアパートを引き払い、持ち家に戻ってきました。

2年以上住んでいた部屋を引き払うとき、とても寂しくなったのを覚えています。いろいろな思い出がよみがえってきて、ちょっと泣きそうになったかもしれない。

お別れって、さびしいしなんかつらい。

😭つらいよね?


でもおれ気づいちゃったんだ。
もうおれは、あのとき感じていた寂しさを持っていない。

この家に引っ越してきて、
また新しい生活が始まった。

毎日を普通に過ごしているだけで、
もう会社の寮のことなんて、思い出さない。

1月7日。
会社の寮を引き払うときに感じていたさびしさ。

それは新しい生活に埋もれて、みえなくなってしまった。
こうしてわざわざ思い出して、
わざわざ掘り返さないと、
当時のさびしい気持ちを思い出せない。

寂しさは上書きされていく。

そしてすぐに見えなくなる。

思い出せなくなる。


ああ、そういえば、19歳のころ、

京都の代々木ゼミナールの寮を出るときも、寂しかった。

はじめて働いたホッカイドウ競馬を去るときも寂しかった。

ディズニーランドをやめるときも、

靴のロコンドをやめるときも、

青果市場をやめるときも、

全部全部、さびしかった。

そしてこれからのことが不安だった。


でもそんなたくさんの寂しさも、
こうしてわざわざ掘り返さないと、
その存在さえ忘れていた。


おれには今があるから。
今の生活があるから。


そのときはそのときで、
当時の生活をおれは大事にしてきたのだろう。

だから、その大事なものとのお別れに際して、
とてもさびしくなった。


でもお別れしたら、新しい生活が始まるんだ。


そしたらおれはまた、
その新しい生活を大事にしながら生きていくだろう。

過去のさびしさなんて、忘れてしまうだろう。


おれは今、元家族と別れるのが本当に寂しいし、本当につらいんだ。

昨日もちょっと泣きそうになっちゃった。

みんなに申し訳ない気持ちもあるし、

いろいろ助けてあげたい気持ちもある。

でも、絶対に忘れちゃいけないことがある。


その悲しみは、
そのさびしさは、
すぐに消える。


新しい生活にかき消されて。
新しい人との付き合いにかき消されて。
いろんな出来事が降ってきて、
積み重なって、見えなくなってしまう。


おまえがいまこうやって、
昔の奥さんや子供たちと別れるときに、
やりきれない寂しさや悲しさを感じている、
その理由。


おまえは彼らのことを本当に大切に思い、
実際にすごく大事にしてきたからな。
だから寂しいんだよ。

いいかげんに付き合って、
いい加減に接していたのであれば、
おわかれのときに何も思わないだろう。

詐欺師が騙していた人間から去るとき、
「寂しい」とか「悲しい」なんて思わないだろう。
しめしめ、って思うだけで。

おまえは詐欺師じゃない。
本当にいい人だ。
本当にいいお父さんだった。
本気で彼らと接してきた。
彼らに惜しみない愛情を与えてきた。


だからさびしんだよ😂



そのことを、悪くおもう必要なんかない。
さびしくていい。かなしくていい。

それこそがおまえが、
彼らのことを愛していた証だ。


きっと元奥さんも、子供たちも、
おれとお別れになっても寂しくはないだろう。

この家とお別れになるのが寂しいだけで。
おれのことはどうでもいい。
おれの気持ちなんてどうでもいい。

なんでそんなことがわかるかって?

わかるさ。
だってあいつら、
こんなことになっていても、
誰もおれのところに話をしにこないんだもの。

彼らはおれに関心がない。
おれのこころ、おれの気持ち。
おれの仕事。おれの願い。

そういうことに全く関心がない。

そういうひとたちと一緒にいても、
むなしいだけだ。

彼らをそうさせてしまったのは、
おれのせいかもしれない。

だからそれは甘んじて受け入れる。

おれに関心を示さない彼らはわるくない。
でも、おれだってわるくない。

愛し合う関係、
声をかけあう関係、
関心や興味を持ちあう関係、
そういう関係になれなかっただけで、

おれも、彼らも、わるくないとおもう。
相性ってあるからね。

家族だからといって、相性がいいとは限らない。
ていうか、家族だからお互いに甘え切って、
気を緩ませすぎて、関係が悪くなることもあるとおもう。

そんなこと、世界中のどこでも起きている話。

家族とうまくやっていけない。
離婚する。
傷つけあう。

そんなのは、ありふれた話。

おれだけに起きていることじゃない。


だからおれは、もう振り返らないで、
前を見て歩いて行こうとおもう。


この寂しさや悲しさは、すぐに消える。



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