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【局アナ】

シティーホテルの宴会課に勤務していた僕は、司会者と一緒に披露宴の進行をつかさどる仕事をした経験がある。

そして、そのホテルでは、最早もはやアイドル・タレント化してしまったテレビ局の人気アナウンサーが、披露宴の司会を務めるということが結構あったのだが、彼らのギャラは決して安くはなかった。

局アナの場合、1披露宴当たりのギャラが20万円というのが当時の相場だったが、どんなに人気と実力を持った司会者でも、ことフリーランスとなると、一挙に額面が下って10万円になるのである。

ところが、20万円でも納得せず、1件に付き50万円を提示してきた女子アナがいた。

彼女は帯番組のキャスターを務めていたことからだろうか・・チョッと人気があることを鼻に掛けてそんな要求をしてきた訳である。

そんな無謀な要求が受け入れられる筈もなく、それ以降、ホテル側から一切お呼びが掛からなくなってしまったのである。それは自業自得というものだ。

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さて、ある日の披露宴での出来事である。その披露宴の司会者は、某テレビ局の人気男性アナウンサーであった。彼はもう中年の域に達した年齢で、局のアナウンス部長を務めている程のベテランである。

しかし、事件は披露宴の初っ端から起こってしまったのだ。媒酌人夫妻・新郎新婦が席に着くと、先ず初めに媒酌人の挨拶から入るのが常識なのだが、そのベテラン局アナは、何を血迷ったか、〈松の席〉の来賓に向けてこう言ったのである。

「それでは、先ず最初に新郎の御上司であらせられます、●★■◆様から御祝辞を頂きたいと存じます、●★■◆様、どうぞよろしくお願い申し上げます」

そう言った瞬間であった。〈高砂の席〉に座っている媒酌人の顔色が変わって怒りの表情をあらわにしたのである。

司会の局アナはそのことに直ぐに気付いたのだが、時既に遅かれし・・・

指名された〈松の席〉の来賓も事の重大さを認識したのか、しどろもどろの挨拶になってしまったのだった。

こともあろうに〈松の席〉の後になってしまうのだが、媒酌人には挨拶をして貰わなければならない。司会の局アナは青い顔をしながら媒酌人の挨拶を促すアナウンスをしたのである。結果、その挨拶は10秒で終ってしまったのである。

披露宴が終った後、その局アナが媒酌人を始め、親族に対して平謝りに謝って回る姿があった。誰にだって過ちはある、とは言え、20万円も取っているベテランアナの割にはお粗末じゃないか・・と、つい突っ込みたくなるような出来事であった。

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そう言えば、あるキー局で人気の男性アナウンサーが、講演会のためにホテルを訪れたことがあった。早朝からのモーニングショーの司会や、当時流行っていた人気バラエティー番組の司会なども担当していたアナウンサーである。ホテルは彼をVIP扱いをして受け入れるのだが、彼は当然と言わんばかりの居丈高な態度でふんぞり反っているのだ。それはもう、反吐が出そうなくらい高飛車な立ち居振る舞いであった。

確かに〈局アナ〉は、芸能人やタレントだって下手したてに出るような存在ではある。そして、あらゆる難関をくぐりり抜けて勝ち取った地位なんだから、当然それなりのプライドは持っていることだろう。それは認めるところだ。

しかし、総てとは言わない。感じのいいアナウンサーも勿論存在したのだが、ひょっとして、局アナ達は自分達のことを特権階級の人間なんだ、なんて思っているんじゃないだろうな・・と、つい疑ってしまうのだ。

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特に最近思うことがある。

アナウンサーってそんなに偉いのだろうか・・高給取ってグローバリストの片棒担いでるだけじゃないか・・


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