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【狙っていたクルマ①】

クルマを買い換えたくて、馴染みのクルマ屋に出向いた。以前は、有名自動車メーカーのディラーでクルマを購入し、メンテナンスもそこでやって貰っていたのだが、現在住んでいる街に引っ越して来てからは、この小さな個人業者のクルマ屋にメンテナンスや車検等をお願いするようになった。なにしろ仕事が丁寧で正直だし料金もリーズナブルだからなのだった。

店に到着すると、直ぐに担当の男性営業マンが出てきて対応をしてくれた。

「あぁ~いらっしゃいませ!今日はなんでしょうか?」

「あっ!先日はありがとうございました。あのぉ・・実は僕が乗ってる●●●●なんですけど、来年の2月26日で車検が切れるんですよ」

「あぁそうですね・・●●●●は2月でしたね」

「でね、今回は車検を受けずに■■さんのところでクルマを買い換えようと思ってるんです。中古車でいいんですけど・・屋根の塗装も剥がれてきたことだし、ウン十万も掛けて塗装をやり直すようなクルマでもないですしね・・」

「それはありがとうございます。で、どんなクルマをお探しなんですか?」

僕はかねてから狙っていた憧れのクルマのことを話した。

「実は◆◆の★★★★なんですけど・・車検2年付で〇〇〇万くらいのがあったらいいなぁと思ってるんです。イマイチ人気が無かったクルマなんで、ほかのクルマに比べて相場が安いじゃないですか」

すると喜んでい話に乗ってきてくれると思いきや、余りパッとしない顔をしてこう言うのだった。

「色は何色がいいんですか?・・でも、ん~~★★★★はですねぇ・・後ろのショックアブソーバが壊れることが多いんですよ。取り替えてもすぐにガタガタいい始めるし、パワーウィンドウや電気系統も弱いんです」

「えっ!・・じゃあ、あんまりお薦めじゃないってことですか?■■さん、★★★★をお客さんに実際お売りになったことがあるんですか?」

「はい、あります・・そのお客さん、何度か修理をされたんですけど、結局よくならずに金が掛かってしょうがないっていうことで、最後は手放されましたね・・まぁ、当たり外れがあるかもしれませんが・・」

「・・・そうなんですかぁ・・■■さんか仰ることだから止めといたほうが良さそうですね・・」

「・・・・・」

「分かりました!今回の★★★★の話は無かったことにして下さい。じゃあ、ほかの車種を考えるか、このまま●●●●の塗装を直して、車検を取って乗り続けるか考えてみます」

そう言って店を後にしたのであるが、それにしても正直な営業マンである。ここは「信用」を売る店なのだと、改めて再認識をする僕なのであった。

それにしても、★★★★以外のクルマを薦めてきても良さそうなものを、そういうことは一切ないのだ。技術畑出身の営業マンだけはある。余り商売気がないのだった。それは逆に言えば信用出来るということなのかもしれない。

・・・・・・・

さぁ、頭をリセットして新たなクルマを探さなければならなくなってしまった。

ウチに帰って、早速パソコンの画面を睨みながら中古車を物色をしていると、側を通った家内が言った。

「父さん!★★★★以外にいいのある?」

「おっ❗️いいの見つけたぞ❗️☆☆☆☆☆☆じゃ❗️1回オープンカーに乗ってみたかったんだよ」

「それって2人乗りじゃん❗️バカじゃないの・・却下❗️」

「やっぱり❓️」

あ~だこ~だと言いながらクルマ探しを急ぐのであった。なにしろあと2ヶ月で決着させないといけないのだから・・

それにしても「こんなクルマはどうですか?」なんてセールス電話のひとつがあっても良さそうなのに、かの営業マンからは一切連絡がない。

ゴリ押ししないのは有り難いのだが、売る気があるんだろうか・・なんて思ったりするのであった。

結局、イラちゃんの僕は、こっちから電話を掛けて、お薦めのクルマがあれば、そっちからも提案して貰うよう依頼したのである。


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