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【ココア騒動】

出張先の施設のロビーには、インスタントだが、誰でも無料で飲める〈コーヒー〉がセットしてある。

ところが今回に限って、スティックタイプの〈ココア〉が置いてあるので2度ほど飲んでみたのだった。

すると次の日であった。寮生のひとりが言うのだ。18歳の女の子だ。

「先生~・・」

あっ❗️一応、出張先では先生と呼ばれている。

「先生~・・・ココア飲みましたぁ❓️」

「ん❓️・・ココア❓️ うん2杯んだぞぉ」

「アタシ、ココア楽しみにしてたのにぃ・・・男の人がココア飲みますぅ❓️どんな顔して飲んだんですかぁ❓️」

「どんな顔して飲んだかって、こんな顔して飲んだんだよ・・ゴメンゴメン。あれ Lちゃんのココアだったのかぁ」

「・・・・・」

「わかったわかった❗️今からショッピングセンターに行ってココア買って来るから・・」

・・・・・・・

そんな訳で直ぐに車を出して買い出しに出たのであった。

ところが、ショッピングセンターに着いたはいいが、スティックココアが1種類しか置いてないのだ。こんなに大きなショッピングセンターなのにココアが1種類とは・・

仕方がないのでそれを買うしかないではないか・・・彼女の口に合うのかどうかが心配だ。

・・・・・・・

施設に戻り、一抹の不安を覚えながらも買ってきたココアを彼女に差し出した。

「ゴメン・・これしか置いてなかったんだけど・・」

「わっ❗️これ1番美味しいヤツじゃん❗️」

そうかぁ、1番美味しいヤツだったのかぁ。彼女が喜ぶ姿を見てホッとしたのである。

とんだ〈ココア騒動〉の一幕であったが、なんとか一件落着したのであった。メデタシメデタシ。

因みに、〈ココア〉は事務所の経費で落とすことも出来たのだが、〈ココア泥棒〉の償いとして自腹で買ってきたことを、彼女には伝えていない。


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