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【車検証】

クルマ屋から電話が掛かってきた。

「もしもしぃ~・・・あっ!●●オートですがぁ~、お待たせしましたがデュアリスの車検証が来ましたのでぇ~・・はいっ!何時でも納車できますよぉ~」

〈TOYOTA ラクティス〉の天井の塗装が酷く剥がれてきたし、車検も切れることだし、中古車だが、この際思い切って〈日産 デュアリス〉に乗り換えることにしたのだ。

ところで、還暦を過ぎたジジイでもクルマを買い換える時は胸がときめくものである。喩え中古車でも嬉しさは変わらない。

連絡が来たら直ぐにでも手渡せるように、予め車内を整理しておいた〈ラクティス〉に乗って、僕はクルマ屋に向かった。

・・・・・・・

店に到着すると、商談ルームの出入り口の前にはピカピカに仕上がった〈デュアリス〉が横付けされていた。

商談ルームでコーヒーを頂いていると、直ぐに担当者がやって来た。

「いらっしゃいませ、どうもお待たせしました・・〈車検証〉が来ましたので・・」

「いえいえ、この度は色々ご無理を言って申し訳ありませんでした」

「なんとかご希望に添ったクルマが見つかって良かったです・・で、〈車検証〉なんですが、今回から様式が変わって小さくなりましてね・・」

担当者はそう言うとテーブルの上に〈車検証〉を取り出して説明をし始めた。

見れば〈車検証〉のサイズが小さくなっている。従来の4分の1くらいの大きさだ。そして〈QRコード〉と〈ICタグ〉が添付してある。要するに〈電子車検証〉にデジタル化された訳である。

〈電子車検証〉の扱い方はこうだ。スマホに予め車検証アプリをインストールしておいて、〈車検証〉のQRコードを読み取り、出てきた画面に〈車検証〉に記載されている四桁番号を入力する。そして更に〈車検証〉の右端にスマホを置いて〈ICタグ〉を読み取らせると、スマホ画面に車検証のデータがやっと出てくる、といった感じである。

管轄する国土交通省はデータの処理を速やかにするためだと言っているようだが、否、マイナンバーカードと同様に、個人情報がデジタル化されるという意味では、安全なのかどうか、悪用される危険性はないのか、大いに警戒しなければならないことなのかもしれない。

政府が推進するものに碌なものはないのだから・・・


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