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【捕らぬ狸の皮算用】

以前は大いに支持していたのに、ウクライナ戦争に関する認識の余りの酷さから、応援する気持ちが失せてしまった作家がいる。有名なベストセラー作家だ。

彼の本の殆んどを購入して熱心に読んだものだが、今回の件でそんな気持ちが嘘のように吹っ飛んでしまったのだった。

坊主が憎けりゃ袈裟まで憎い、とはよく言ったもので、僕は、彼の本を持っていることさえ厭になってしまった。

思い立ったが最後、直ぐに行動に移さないと気が済まないタイプの僕は、早々に彼の本を処分したのである。

〈やれやれ、これで清々したぞ。ヤツの本なんかもう2度と買うことはないだろう〉

そう思ってホッとしていたのだが、最近になって、部屋の隅から彼の本が4冊も出てきたのである。見落としていたのだ。

〈これはいかん❗️直ぐに売ろう〉

・・・・・・・

そういう訳で、今日は〈大手リサイクルショップ〉に来ている。本を売りに来たのである。

・・・・・・・

早速、本の買取カウンターへ行って、新品のような4冊の本を差し出すと、査定に30分ほど時間が掛かるという。まぁそうだろう、本の状態や時価相場を調べなければ買取額の提示は出来まい。僕はそれを承諾した。

このショップでは本だけを扱っている訳ではない。フィギアもあれば、カメラ・パソコン・衣類・酒類・家電品など、なんでも取り扱っている。それらを見ながら30分の待ち時間を潰した。

アッという間に30分が経ち、僕は再びカウンターへとやって来た。渡されていた査定予約券を手渡すと、係のお兄さんがレジシートのようなものを目の前に差し出した。そこに査定額が記されている・・・ん?・・えっ❓️

そこにはこう書かれてあった。

〈¥65―〉

¥65―❗️・・・安いと聞いてはいたが、まさかこれ程までとは・・

「¥65―なんですか❓️4冊で」

「はい」

「売るの止めときます❗️」

そんな捨て台詞を残して早々に店を後にしたのである。

余りににも酷い査定額に憤った僕は、このショップチェーン店での4冊の中古売値を調べてみた。

すると、それぞれが・・・

「A(定価¥1.800―)」が¥385―
「B(定価¥1.400―)」が¥385―
「C(定価¥1.296―)」が¥220―
「D(定価¥¥760―)」が¥110―

で・・計¥1.100―であった。確かに売値も安かったが、それにしても¥1.100―の商品の仕入れ原価が¥65―とは・・・この作家の人気の凋落を表しているのだろうか、それとも中古本の相場ってこんなものなのだろうか・・・

ところで、4冊で¥1.000―くらいにでもなれば、刺身ブロックでも買って帰ろうかと思っていたのに、そんな甘いことを思っていた僕が恥ずかしくて仕方がない。刺身が聞いて呆れる。しかし、¥65―とは、全くの捕らぬ狸の皮算用かわざんにょうであった・・・トホホ

この本は〈フリマアプリ〉に出品しよう❗️


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