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【なめろう】

〈ヤズ〉を3枚に卸して刺身用にした物が安く売られていたので買ってきた。

関東圏と関西圏では少し呼び方が違うのだが、〈ヤズ〉というのは中国地方でいうブリ・ハマチの若魚のことである。鰤は出世魚と言われていて、稚魚から成魚の鰤になるまでに、呼び方が色々変わるのである。

今夜はそんな〈ヤズ〉を〈なめろう〉にするために、家内が台所で奮闘している。

やがて出来上がった〈なめろう〉を次男に味見させている。

「チョッと味見してみてよ」

「・・・・」

「・・・どぉ❓️」

「・・・美味うまいねぇ❗️」

「あぁ良かった❗️〈なめろう〉って美味おいしいでしょ❓️」

「〈なめろう〉❓️」

「青身魚をね、味噌や生姜や葱や青紫蘇と一緒に包丁で叩いたのをそう言うの」

「ふ~ん、そうなん・・〈ういろう〉なら知ってるけど」

タマタマ〈ういろう〉をお土産にに貰っていたので〈ういろう〉という言葉が出たのだろう。

次男は酒呑みではない。だから〈なめろう〉を知らなかったのだ。

因みに、〈ういろう〉は〈外郎〉と書くのだが、決して〈外郎げろう〉と読んではならない。

そして〈外郎〉には、名古屋の〈外郎〉と山口の〈外郎〉があって、名古屋のはあっさり味であり、山口のは名古屋のより味が濃くて少しだけ〈羊羹〉に近い。

ついでに言っておくと、〈なめろう〉は〈嘗味噌なめろう〉と書くそうである。


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