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【変顔ジィジ】

長男からビデオ通話が掛かってきた。

スマホの画面には、〈エフェクトアプリ〉でウサギやミッキーに変装した4歳の男の子と、1歳11ヶ月の双子の男の子が、キャーキャーはしゃいでいる姿が映っている。孫たちである。

暫く会話が続いていたのだが、指で顔を摘まんだりして、孫たちが変顔をし始めたのであった。

そして、4歳の孫が僕に変顔のリクエストをしてきたのである。と言うのも、ウチに泊まりに来ていた時にして見せた僕の変顔が、いたく気に入ってしまったからなのだ。

「ジィジも変顔してぇ~っ❗️」

孫に懇願されたらやらない訳にはいかない・・・

僕はスマホに向って構えた。

「よ~し、いくぞぉ~~っ❗️・・・ハイッ❗️」

両手の人差し指を両目尻に、親指を口の端に当てがって、目尻は思いっ切り下げて、口角は目一杯上げる。すると、風間杜夫に似ていると言われた顔が、とんでもない顔になった。

「ギャ~~ハハハハハッ❗️」

「キャハハハハッ❗️」

スマホの向こう側で孫たちが転げ回っている。

そうして孫たちに大受けする中、ビデオ通話が終了したのである。

・・・・・・・

そこでふと・・死んだ時にこの変顔状態で棺桶に寝そべっていたとしたらどうだろうか・・と、そう思ったのだ。

自分で言うのもなんだが、僕の変顔は1級品なので、それを見て笑わない者はいない。最後のお別れにと、参列者が棺桶を覗きこんだら、両手で〈変顔〉をした死体が横たわっているのだ。これは面白い❗️

そんな死顔を見た参列者が吹き出さない筈がない。

よし❗️死ぬ間際には、根性で両手を使って、絶対に〈変顔〉になって死んでやるぞ❗️

おっと❗️そうすると、「死化粧をする時には〈変顔〉のままにしておくこと」という遺言書を書いておかないといけないなぁ・・・

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