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【僕の〈むすび〉】

最近、よく〈むすび〉を作る。

東日本では〈おにぎり〉というが、関西圏の僕は〈むすび〉という言い方がシックリくるのだ。還暦を過ぎたジジイが「お」の字を付けて〈おむすび〉なんていうのはこっ恥ずかしいので、それは女性に任せることにして、〈むすび〉と呼ぶことにする。

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さて〈むすび〉はいつ作るのか?・・それは、炊飯器に中途半端な量のご飯が残った時などだ。

以前は炒飯とか炒めご飯などにしていたのだが、どういう訳か、最近ではよく〈むすび〉を作るようになったのだ。

衛生上、ラップを使って丸めている。

まず、ラップの上に海苔を敷いて、ご飯・具を乗せて握る訳だ。

僕の〈むすび〉は、中心に〈梅干〉と〈おかか〉と〈塩昆布〉が入ったもので、ボールをペチャンコに潰したような丸い形だ。

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そういえば「山賊むすび」によく似ている。

「山賊むすび」というのは、  山口県岩国市の玖珂というところにある、ドライブイン「いろり山賊」で提供される名物で、色んな具が詰まっているデッカイ〈むすび〉のことである。

竹籠に紙を敷いた上に乗っけられて出てきて、海苔で真っ黒のむすびの上には短冊状の沢庵がひと切れ乗っている。

「いろり山賊」は、小高い山の中腹の国道沿いにある店で、相撲の興行中に立てるような〈幟〉がいっぱい立っているのですぐに見付けるとこが出来る。

「いろり山賊」には、錦町にも「山賊砦」という屋号で営業している姉妹店もある。

「山賊むすび」の他には、竹串に刺してタレで焼いた「山賊焼き」という鶏足も有名で、「山賊むすび」と「山賊焼き」を一緒に頼むのが定番なのである。

店内は独特なムードで、囲炉裏席があり、冬場には炬燵席なども用意される。壁には草鞋わらじや網目笠やみのなどが掛けられていて、如何にも山賊のアジトのような演出が施されているのだ。そして屋外には、和傘を屋根にした青空席も設けられているのである。

〈むすび〉の話から〈いろり山賊〉を思い出してしまったのだが、僕の具沢山の〈むすび〉は、ひょっとすると、潜在意識の中の「山賊むすび」だったのかもしれない。

「いろり山賊」にまた行きたくなった。


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