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#短篇小説
【短篇小説千本ノック12】思い込みの作法――島尾敏雄「夢の中での日常」
私たちはふだん、眠りについてあまり意識せずに生を経ている。
それは今日と明日の狭間にあるインターバルであって、毎日の終わりにかならず訪れるものと信じて疑わない。今日が終わる。入眠と覚醒。明日が来る。
しかし、なにかのきっかけでこのルーティンが崩れるとき、すなわち不眠に陥ったとき、人は、眠りというものを、意志のちからではどうにも太刀打ちできない、自己から独立した現象として認識するようになる。見
【短篇小説千本ノック11】黒歴史を抹消せよ——ジョヴァンニ・パピーニ / 河島英昭訳「泉水のなかの二つの顔」
いったいに、私は多感な幼少年期に、水木しげるの漫画や、円谷プロ往年の特撮ドラマ『ウルトラQ』(父親が買ってきたVHSのテープが擦り切れるほど観た)の薫陶を受けたおかげで、怪奇・幻想的な物語が大好きである。そのため、この【短篇小説千本ノック】で取り上げる作品も、多少なりとも幻想小説に偏ったチョイスになることと思う(現にもうそうなっている)。
今回扱うイタリアの作家ジョヴァンニ・パピーニ(1881