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組織にボトルネックを作らないIT投資の話3

こちらの続きです

ボトルネックと言えば、代表的なものはコミュニケーションコストでしょうか。人数が少ないうちは統一されていた脳内が、人数が増え、必要な役割が増えていくことでだんだんとバラバラになってきます。売上が小さなうちは数字を全部追えていたのに数が増えればそれは不可能になり、全員でやっていた電話対応も数が増えるに連れて仕事が増えていくので難しくなっていく等、スケールすることによって難しくなっていくことこそがすなわち組織のボトルネックなのです。

コミュニケーション手段の変遷

リバネスの創業期はみんな学生ということで、週末にしか顔を合わせることがなかったという特殊な環境だったので、最初は基本的にメーリングリスト(以下ML)でのコミュニケーションが中心でした。メールの量は今より圧倒的に少なく、内容を追うのは難しくありませんでしたが、徐々にそれが崩壊していきます。全員が全てのメールを受け取る運用を貫いていたものの、流石に重要な連絡を見落とすようになってからは、MLを事業部別にタグ付けし、メールクライアント(リバネスではGmail)側でフィルタリングしてフォルダに格納する方式になりました。こうすることで基本的には事業部のメールを中心に見ることになるのですが、それでも追いつかなくなってきます。事業部内のサービスも最初は一つや二つだったものが、レパートリーが増えていくことでだんだんと自分の守備範囲が守れなくなってきます。メールという手段は基本的にプル型(自分でサーバーを見に行かないといけない)ですし、そこは個人の空間です。コラボレーションには向かないですよね。こうやってメール管理体制は崩壊していきました。

メールからGoogle Hangouts、そしてslackへ

メールと同時に使っていたのはMSNメッセンジャーでした。古くはICQとかskypeとかも使っていましたが、基本はメッセンジャーだったと思います。ただ、これビジネスユースじゃないんですよね。いつしか使わなくなっていました。

GoogleからHangoutsがリリースされたのは2013年の5月。リバネス創業から11年弱が経った頃に、チャットによるコミュニケーションがGoogleよりリリースされたのです。事業部やプロジェクト毎にチャットルームが設けられ、参加者が呼び集められます。既読管理が成されるので、誰が読んだかがわかります。こんなに便利な代物があるのか!と当時は歓喜しました。程なくしてMLによる社内コミュニケーションが禁止になり、メールの量が激減。基本的にメールは社外とのコミュニケーションに限定される事になりました。ただ、Google Hangoutsにも死角があります。

1:チャットルームには招待されないと入れない

2:URLによるパーマリンクが無いので、過去の発言をもう一度呼び出すことが実質不可能

3:スレッド型ではないので、タイムラインに情報がじゃんじゃん流れていってしまう

1については、社内の風通しを良くしたいと思ったときにHangoutsでは不可能であると感じました。結果として2015年の9月にslackへと移行するのですが、社内のやり取りは公開チャンネルとしてなされ、必要だと思う人は自分で情報を取りに行くことができます。

2については、これがないと、流れていったものをわざわざコピペして持ってこないと再共有ができません。情報が集中するようなチャンネルにおいては致命的です

3については、slackも最初は違ったのですが実装されました。タイムラインの中身が全てスレッドの集まりという形式なので、固定したpostについて意見をぶら下げるなんてことが簡単にできます。

こんな風にして、リバネスはメール→メーリングリスト→Google hangouts→slackへと社内コミュニケーションツールを変更してきました。slackももちろん最終的なゴールではないのでしょう。今ではslackでも情報を追いきれないみたいな話が出てくるのですが、これはもはや仕事量コントロールが出来てないということでコミュニケーションの問題ではないような気がしています。

数字はだんだん把握できなくなっていく

まだ四谷に事務所があった頃はなんとかなっていた気がします。現在の営業件数や売上金額といったものが把握出来ている状態でした。代表の丸は脳内にある売上金額と実際の金額が乖離していかないというのを重要な役割だと考えていましたが、現在ではもうそれは不可能になっています。ではどうするか。数字は計算が得意な計算機にやらせればよいのです。クラウドにデータを処理させることで、人間は結果をみてアクションを決定する役割に集中が出来ます。データをかき集め、エクセルで集計して最終的なレポートを作るという時代ではない。必要なレポートが何かを定義し、それに必要なデータの入れ物を定義し、ワークフローに組み込み日々の情報が蓄積されることによってアウトプットは1秒で出るのです。

リバネスがSalesforceを使ってやっているのはそういうことです。現在の営業状況、売上状況、粗利、顧客数やSalesforce導入後過去5年間の数字の推移がパッと把握できるようになっています。人力ではなかなかそうは行きません。データはすでに入っているのでアウトプットの形式は何でも良いのです。表敬式が良い?グラフ?3D?などなど。見やすい形のダッシュボードを作成することで組織のパフォーマンスは格段に変わると思います。まずはデータの蓄積ですが、それが成されてしまえばあとは料理するだけです。楽しいですよ。

問い合わせ対応が漏れていく

昔は問い合わせといえばメールフォームでした。直接メールを送ってくることもあります。それを担当者がメールで返していました。この運用は厳しいです。なぜならメールは個人がベースになっています。返信されているのか、処理が終わったのかを把握するためのツールでは無いのです。

昨今ではzendeskを使っている会社を結構見かけます。カスタマーサポートに特化したサービスです。リバネスではSalesforce標準機能のケースというものを使っていて、問い合わせは全てケースに入ることになります。担当者はSalesforce上でやり取りを行い、処理が完了すればクローズするというフローです。誰が返事をしたのか、どんなやり取りが発生しているのかは公開情報として組織に存在しますのでフォローが比較的たやすい。リバネスではそれに加えて、通知をslackにも送るように設定してあります。Salesforceを見ずとも、何が流入してきているのかが把握できるのです。

フォローが難しいなと思うのは電話対応

ここはまだ実装に至ってないのですが準備は進んでいますという話。リバネスでは代表電話を公開しているので電話がかかってきます。東京オフィスですと、オフィス内の電話がじゃんじゃん鳴るのですが、これが集中力を妨げる要因になっています。そこで、対応の第一弾として社員全員にdialpadを使って電話番号を振りました。電話はモバイルアプリもしくはデスクトップアプリで受けることが可能です。事業部別の番号も用意することで、サービスの対応番号は事業部番号にすればフォローが楽になります。

未実装はここからなのですが、代表電話の受付をコールセンターにお願いする部分です。内容を聞いてもらって適切な人の番号に直接受け渡してもらおうと思っています。そうすることでオフィスの電話が鳴ることもなく、適切な言葉を使うオペレーターが対応出来(新入社員がたまにおかしなやり取りをすることがありますね…)、必要な人に直接渡るので対応が早くなる。と、いいとこ取りが実現するはずです。まだやってないですが。dialpadはグループ番号のやり取り音声を記録する機能があったりもするので、揉めに揉めた内容を他の人が聞いてフォローするなんてことも可能です。

tobe continued...

ということで、コミュニケーションコストと現実に起こりうるボトルネックの話でした。他にもあると思うのでまた追記しようかなと思いますが、今回はいったんこのへんで。

これを書くに当たって、昔使っていたGoogleHangoutsのルームを開いてさかのぼってみたのですが、過去に投稿した写真なんかもそのまま残ってるんですね!さすがGoogle様。

noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。