見出し画像

組織にボトルネックを作らないIT投資の話2

前回の続きです

前回は主にどこにお金を投じていくのかということを書きました。今回は、ID管理についてのノウハウと、紙には限界があるよねという2つの話について書いています。どちらもボトルネックの解消を考えるに重要だと思う。

ID管理は楽じゃない

使うサービスが増えていくと、ライセンス管理が必要になってきます。リバネスの場合はPCは一人に一台貸与という形になっているので、入退社のタイミングで管理さえできていれば良いのですが、管理が大変なのはサービスのライセンスです。退社した人のライセンスが停止されないままですと社外に情報が流れ続けていく事になりかねません。リバネスではこんな形で処理しています。

G Suite(Google):全ての基本です。メールアドレスはここで作り、他のサービスへの登録もこのメールアドレスで行っています。そうすることにより、ひとまずG Suiteのライセンスを停止すれば、その他のシングルサインオンのサービスが使えなくなります。dialpadはGoogleアカウントでログインする形になっているので、これを止めると連動して使えなくなります。

Salesforce Sales cloud:こちらは主要なデータのハブになっているサービスです。営業管理や顧客管理が行われているため機密情報の宝庫です。ログインはG SuiteからSAMLを使ってシングルサインオンしているので、G Suiteが止まっているとパスワードを使う必要があります。Salesforceに関連する形でPhone Appli、TeamSpirit、Pardot(SalesforceのIDでOAuthログイン)のライセンスが管理されているので、これを止めると大体が止まります。Quipについては買収して日が短いのでまだパスワードログインが残ってますね。早く何とかしてほしい。

slack:slackのユーザも停止する必要があります。これは日常的に使うツールなので忘れることはほとんど無いです。

他にもちょこちょこはあるのですが、主にこの3つのサービスで構成されています。サービスを採用するに当たっては、できる限り主要なサービスのアカウントでログインするようなものを採用することで、ライセンス管理の手間が軽減すると思いますよ。

クラウドを採用する意味

Zapierというサービスがあります。これは、クラウドサービスとクラウドサービスを連携するようなサービスです。例えばGoogleカレンダーのデータを、Salesforceにコピーするみたいな使い方ができます。G Suiteしか使っていなかった頃は、クラウドサービスの連携なんてことは頭になかったのですが、Zapierを知って衝撃を受けました。別々のサービスの機能を利用していても、結局はそれらを組み合わせる必要があるということは往々にしてあるとおもうのですが、クラウドサービスを利用している場合、その連携すら自動化することができるということに気付いたのです。これ以来、ローカルで動かすようなサービスよりはクラウドを使いましょうという方針に変えてきました。

オンプレミス(社内にサーバーを置くような形)だとデータの連携に本当に苦労します。現在リバネスでは弥生会計がWindowsサーバで運用されているというもののみがオンプレ環境として残っています。そのため会計情報がSalesforceにリアルタイム同期できないという課題があります。会計ソフトのクラウドは色々検討しているもののCFO的な解決策に至ってないようです。なんとかしたいことの一つですね。(子会社等ではfreeeとか使ってるのですが、本体にはちょっと合わないみたいですね)

紙には限界がある1

何をするにしても昔は紙をベースにしていました。最初のボトルネックになるのが名刺です。紙で保存していても組織力には一ミリも寄与しません。デジタル化するにあたり、この交換した名刺の所有権は誰にあるのかみたいな話も出たのですが、組織化することの恩恵を理解するようになってそんな話は出なくなりました。今のツールは、複数の人が名刺交換してもちゃんとマージしてくれますし、今まで誰が名刺交換したのかも分かるので便利です。紙で持っていても検索性が低いので時間がかかります。名刺という物理的なものを持つことに意味はありません。その繋がりを活かすのが仕事だとおもいます。時間を買うためにも、名刺管理アプリは導入したほうがベターだと考えています。

紙には限界がある2

各種申請手続きを紙でやることに限界が来ました。何しろリバネスは人が飛び回っています。国内のみならず海外にも積極的に行きます。ハンコ押すためだけにオフィスに来いなんてことをやっていたら時間がいくらあっても足りません。電子申請にしましょう。リバネスが電子申請による承認フローと出会ったのは5年前のSalesforce導入時です。社印を打つとか、見積もりを出すとか、稟議を上げるとか。そういう基本的な事を習得する中で、やれ資格の申請だとか、定期面談の資料チェックの申請だとか、いろいろな場所で応用がなされていきました。電子申請承認が発せられるとマネージャーのモバイルに飛んでいきます。アプリが対象者を呼び出し、どんな申請なのかを確認し、情報が不足していればこれまたslackを使って直接本人に聞いて承認/非承認を決めることが出来ます。完全に非同期に処理が出来ます、スキマ時間にやれば良いのですから。タイムスタンプが残りますし、紙よりよほど安全じゃないかなと。印鑑は偽造出来ますよ。

紙には限界がある3

これはまだ実装されていないのですが、将来的にやれたらいいなというものです。会議の場で紙の資料に直接メモを書き込むみたいなことがあるのですが、それを共有する方法がありません。提案する側からすれば、どこが引っかかったのか、興味を喚起できたのか、何がだめだったのかといった情報を限られた時間の中で引き出すのは割と難しいと思う。全員にiPadを配って、metamoji Note for Businessというアプリを入れれば、そのアプリ内で参加者全員の記録が1つのドキュメントファイルに残ります。なんなら喋った声も録音されますし、自分が気になった事を書いた時間のタイムスタンプと音声データのタイムスタンプが同期するので、どんな話でメモを書き込んだのかといった頭出しも簡単です。個人的にはおすすめなのですが、まだ導入に至ってません。

紙には限界がある4

これは現在検討中ですが良さそうだったので書いちゃいます。契約書について。リバネスでは長らく紙でのやり取りを行っていたのですが、こちらも電子化を進めようと考えています。紙のやり取りは、まず契約書の文面の相互確認を行い、最終的に印刷製本して印鑑を相互に押して保管する必要があります。契約金額が大きければ印紙税がかかり、それなりのコストとなる訳です。リバネスでは秘密保持契約を結ぶ数がかなり多いですし、法務担当が潤沢にいるわけじゃないので、ここの業務改善は仕事のボトルネック解消に大きく寄与します。そこで前々から気になっていた電子契約についてDocuSignさんに話を聞いてみました。書面の確認もクラウド上で行えますし、締結も可能です。締結時のIPアドレスやタイムスタンプがわかりますし、当然現在の進行状況もクラウド上で一覧して見ることができます。書面ですと、郵送するとトラッキング不可能ですが、クラウドサービスなら一つの画面で全ての情報がわかるのです。衝撃的な進化です。日本での浸透はまだまだこれからという状況ではありますが、電子契約にすれば印紙税が不要になりますし、手間が1/10くらいになるインパクトだと思いますので将来的には浸透するでしょう。

tobe continued...

noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。