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自分を大切にしたいと思える場所が人生を豊かにする。ーコミュニティフリーランス長田涼さん

GCストーリーを「チームとコミュニティ」の切り口から捉えたnoteを以前に公開しています。
現代の企業には「チーム」「コミュニティ」どちらの要素も求められるのではないでしょうか。最近耳にする事が増えた「コミュニティ」ですが、コミュニティの価値や役割とは何か?コミュニティフリーランスとして活動する長田涼さんにお話を伺いました。

コミュニティマネージャーに向いてる人はコミュニケーションと向き合えるかどうか

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ー長田さんのお仕事である「コミュニティフリーランス」について伺ってもよろしいでしょうか?
僕の仕事は「コミュニティマネージャー」「コミュニティアドバイザー」の2種類に大きく分けられます。「コミュニティマネージャー」はみなさんにとってコミュニティが安心安全の場となり、楽しく心地よく活動出来る環境を作っていく役割です。イベント、SNS運用、記事を書いたり、オンライン上のコミュニケーションに関わる仕事です。
「コミュニティアドバイザー」は手を動かすのは企業の皆さんで、運営の方に考え方を提供させてもらい隣で並走します。

ー安心安全な環境を作るために心掛けている事はなんでしょうか?
まずは、メンバーの方がどこに不安を抱えているのかイメージします。例えば、喋りにくい方や喋らない方がいる場合は、どこが不安要素で喋らないんだろうか考えます。
「その場にいる人が誰か分からない」「どういう場か理解出来ていない」様々な不安要素が想像されますよね。
その不安を1つずつ潰していくイメージを持っていろんな施策を打ちます。自己紹介チャンネルを作ってお互いの共通点が見つかるようにしたり、歓迎会で喋る場を作ったりします。メンバーさんが抱えてそうな不安を先に想像して払拭する導線作りにはこだわってます。

ー初めて入ったコミュニティは不安ですよね。
1人で新しいコミュニティに入った時はいろんなことが不安だと思うんです。「何かあったら僕に言ってくださいね」と声を掛けるだけでも安心出来るんじゃないでしょうか。オンラインのコミュニケーションだったら即レス。無理だったらスタンプなど、細かい気配りを意識してます。

ーコミュニティマネージャーの資質にはどのようなものがありますか?
コミュニケーションを考えられる人だと思います。コミュニケーションを天然で出来るようなクラスの人気者タイプって意外とコミュニティマネージャーには少ない印象です。コミュニティマネージャーは、どこかで自分のコミュニケーションに課題を感じた経験を持っている人が多いイメージがあります。

ー最初からコミュニケーションが上手い人よりも後天的に培った場合が多いんですね。
僕も小さい頃は人見知りで全然喋れませんでした。人前で喋ったり、自分から誰かの輪の中に入るのが苦手でした。だからこそ相手の立場で考えるし、気持ちや心理状態を想像しなきゃって思います。コミュニティマネージャーは、コミュニケーションをしっかり想像出来たり、考えられる、向き合える人が最低条件じゃないかなって思います。

ーコミュニティアドバイザーについても伺いたいなと思います。どんなお悩みや課題が多いですか?
「そもそも何やっていいか分からない」が多いかもしれません。何が必要で何に気をつけた方がいいのか。フレームワークを僕が作って、その中を作るのは企業の皆さんになります。

ー企業にアドバイスする上で、失敗しやすい部分を聞けると嬉しいです。
「なぜコミュニティが必要か?」を考えているか、が大事です。最近コミュニティの流れがありますよね。目的を考えず、周りがやってるから始めちゃうと難しい部分があります。コミュニティ運営は凄くエネルギーを使います。いつ結果が出るか分からず、売上げに直結することでもありません。ゴールに辿り着く道のりが長い中で、「何となく」では走り抜けない。だからこそ目的を確認するようにしています。

運営以外が主催するイベントが1カ月で約20本

ーコミュニケーションがオンラインに移行した時に運営するコミュニティ内での変化はありしましたか?
オンライン中心のコミュニケーションになってから僕が運営に関わっているWaseiSalonでは、集まる回数が増えました。リアルで集まれた時は月に2~3回でしたが、オンラインにシフトしてからは、月に20本はイベントしてます。

ー1カ月で20本は凄いですね!
イベントは運営側が全部用意するわけじゃありません。運営が用意するのは1本くらいです。それ以外はメンバーの皆さんがやりたいって集まる場を作ってて。良い変化が起きています。メンバーの皆さんのしたいこと、やりたいこと、好きなことを実現できるチャンスが増えたらなって思っています。

ーメンバーさんが自ら動いてらっしゃるって事ですよね?
WaseiSalonがメンバーさんたちのやりたいことや好きなことを全力で叫べる場になればいいですよね。上がった声をしっかり拾って形にしていくサポートを意識しているので、自主イベントがたくさん増えた状況に繋がっているのかもしれません。

ーメンバーさんが自分ごと化出来ているには運営の秘訣があるんですかね。
僕らの運営スタンスが全部メンバーに委ねてるんですよね。意見を尊重してやってもらうためにどうしたらいいか、その環境をどうやったら作れるかをよく考えています。
運営側が決め切って出すことはあんまりしないんです。何かプロジェクトをしようかなって時も「やります」ではなく「こんなプロジェクトやろうと思ってるんですけど、みんなで話す場を作りましたがどうですか」って出します。1歩を踏み出す前の0.5歩になる作戦会議しましょうみたいなことはよくやっています。メンバーさんの意図を込められる余白を残して施策を打つことが多いです。

暮らしとコミュニティへの興味。旅と高円寺への引っ越し。

ーGCストーリーも人との繋がりやコミュニティ、地方に関心があります。長田さんも愛媛や旅に行かれていますが、きっかけがあったのでしょうか?
愛媛の友達に会いに行ったのがきっかけです。実際に足を運んでみたら多くの気づきがありました。テンポや空気感、流れてる時間が東京と違っていて、心地いいなって感じたんです。
東京でずっと生活していた「当たり前なこと」が地方に行ったら全然当たり前じゃない。自分がいかに囚われていたんだろうかって気づいたんですよね。自分の中で縛られていたものを一つほどいた感覚がありました。人生の豊かさにおいて大切にしたいものがたくさんあったのが大きな気づきでした。

ー長田さんが高円寺に引っ越されたのも近しい理由でしょうか?
コミュニティを運営する中で人のつながりの豊かさが幸福度に直結するものだ、と感じています。仕事を飛び越えて「人生とコミュニティ」の単位でここ最近は考え始めていました。
そこから、暮らしと紐付いたコミュニティのあり方って何なんだろうって興味持ったんですよね。東京に地域を感じる場所ってどこなんだろう、自分が好きになれる場所ってどこなんだろうって考えた時に高円寺が浮かびました。

ー高円寺はいい場所ですよね。
高円寺にある銭湯の小杉湯も大きいです。小杉湯や小杉湯となりの皆さんと仲良くて、皆さんが地域との関わりをどう作っていくのか間近で見てて興味を持っていました。だから地域性を感じられる小杉湯もあり、僕自身も好きだと思っていた高円寺を選びました。

ー小杉湯は僕自身もすごく好きで、地域のコミュニティになっている印象があります。
小杉湯みたいな空間はスタンスが合います。ここの空間だとそういうコミュニケーションは全然強制をしないんですよね。
喋ってもいいし、喋らなくてもいい。自分のペースで関われる銭湯みたいな空間が好きです。

ーコミュニティに関する価値観が共通しているのかもしれませんね。
コミュニティ上の僕のスタンスと似ています。銭湯と一緒で強制したくないんですよ。だから僕はあくまでもメンバーの皆さんに基本的に任せるし、その結果どんな選択をしても尊重したいと思っています。遊びたいなら遊べばいいし、ちょっとしんどかったら休めばいいし、違うと思ったらちょっと距離を置けばいい。どんな選択肢も受け入れる価値観は、コミュニティ運営でも大事じゃないかなと思います。

自分を大事にしたいと思える場所が幸福度に直結する

ー長田さんが感じているコミュニティの価値を伺いたいです。
自分を大事にしたいと思える場所があるって幸福度に直結するし、人生を豊かにしていくと思っています。
その人のしたいこと、やりたいこと、好きなことを実現する場としてコミュニティは機能するんじゃないでしょうか。例えば仕事で営業だけど本当はライターに興味がある場合、いきなり会社でライターをするのは難しいと思います。

ー難しいですよね。
でもコミュニティだったらイベントのレポーティングなど、ライティングする機会を作れます。そこから仕事になって独立する人もいます。自己実現していくための価値があって、その人のやりたいことや好きなこと、一歩踏み出すための場所として機能します。自分の居場所を感じられたり、そういう価値を実現する空間を作りたいと思っているんですよね。

ー効率性や成果を求められる中で、コミュニティは「人間らしく」いられる場所なんですかね。
人として受け入れてくれる空間は多いかもしれないです。例えば、会社に居続けるためには「仕事へのコミット」や「成果」を求められますが、コミュニティは何も求められません。いるだけでいいんですよね。ある意味プレッシャーのない環境だからこそ出せる自分らしさは間違いなくあると思っています。

ー長田さんの今後についてもぜひお伺いしてよろしいですか?
コミュニティに興味ある人は増えてはいるものの、コミュニティマネージャーの重要性がなかなか認識されていません。コミュニティマネージャーの価値を上げていきたいなと思っています。本当ににいい職業、いい仕事にしたいですね。
あとは暮らしの部分です。もっといろんな地方やいろんな人と接して、地方のコミュニティってどういう関係性があるんだろうと模索したいなと思っています。それこそ愛媛もひとつですし、愛媛以外のいろんな地方にも足を運んで、人生の豊かさとコミュニティの密接度は興味が強いので、探求したいです。

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【プロフィール文】
長田涼さん
コミュニティや関係性の価値を提案する、コミュニティを生業としたフリーランスとして2018年に独立。「Wasei Salon」「渋谷をつなげる30人」のコミュニティマネージャー、他にも複数社のコミュニティ事業に関わる。noteTwitterでもコミュニティに関する情報を発信。フレスコボール日本代表選手としても活動中。

取材・編集・文/佐藤政也 デザイン/熊谷怜史

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