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日本語教師の夏休み

過去数回の記事を読んでくださった奇特で危篤な方々はお気付きであろうが、私は夏休みを心の底から愛している。と言っても博愛主義者である私は冬休みや連休、給料日やボーナスも夏休み同様に愛している。しかし今一度ここで愛という概念について整理しておく必要があるだろう。愛とは時に厳しさを伴うものなのである。獅子は我が子を愛するが故、千尋の谷に突き落とすのである。従って私もスマホで石原さとみの鑑賞中に電話を掛けてくる空気の読めない金融会社の営業や私の漢字の書き間違いを得意げに指摘して来る学生には拷問を加えるのも厭わないほどの厳しい姿勢で対処している。勿論愛故の行為なのである。

さて、普段多忙を極める生活を送っているので、夏休みはここぞとばかりに朝は犬の散歩を長めに行い、ついでに遅めの朝食。それから海へ遊びに行き、一頻り遊んだ後は遅めの昼食、それから昼寝をした後スマホで石原さとみを鑑賞したり、タブレットでアニメをだらだら見たり、時には映画館で映画を鑑賞したり、Googleマップで意味もなく美味しそうな店を検索したりし今が旬のマンゴーかき氷をたべたりしたた後、夕方にはお気に入りのカフェ(セブンイレブン)でカフェラテ片手に漫画を読んで、夜は飲みに出かけたり…と考えるのは堕落した三流教師の考えなのである。プロの一流教師である以上、時間があるときこそ努力をしなければならないものだ。

私は先ずプロの一流教師として忙しさを分析する事から始めたのだが、その原因の殆どは学校からの無茶振りだった事に気がつき、これ以上分析し続けると頭に血が昇り、上司に必殺の金的キックをお見舞いする必要性すら感じ始めたが、よくよく考えると上司は女性なので金的キックは効果がない上に、敵は普段から身体を鍛えているので腕力では勝てない可能性も否定できない以上は得策とは言えず、私はプロの一流教師特有の冷静さを以って一旦「当校の」忙しさの理由から目を移し、日本語教師に共通する部分だけに注目する事にした。

そもそも教科に限らず教師の忙しさは主に2つである。それはフィードバック(以下FB)と授業の準備である。先ずはFBなのだが、これは何も授業中に「漢字の書き間違えぐらいで人格まで否定するんじゃねーよ!貴様の平常点を0にしてやるぞゴルァァァ!」とか「看護学科の副主任に私の良い噂を流した者には平常点をおまけしてやる」などと返すだけでなく、例えば宿題の添削なども含まれる。ICT化が進む中、実はこのFBが以前と比べ多くなっているのだが、それはまた別の機会に。

いずれにせよ私は、プロの一流教師として夏休みの間にこそ努力をしようと一か月ほど前に決心したのであった。夏の間に読む本をリストアップし、学期が始まったら授業とFBに時間を最大限割くべく、一学期分の授業の準備を予めしておこうと決めたのだった。幸い担当授業は早い段階から決まっていた。どのぐらい早いかと言うと、何故か来年度の契約を結ぶ前からだった。そして以前何度かお邪魔した事がある中学校の担当の先生にも「来年度、うちに何度か顔出してね~そっちの担当の先生には伝えておいたから」と言われた。くどいようだが契約前の話である。

そういう訳で一学期分の授業準備と読書を固く決心した私は、朝の長めの散歩や遅めの朝食、海遊び、遅めの昼食、昼寝、石原さとみやアニメ鑑賞、映画館での映画鑑賞、Googleマップでの店検索、読書(漫画)、セブンイレブンでのカフェ、マンゴーかき氷の食べ比べ、飲酒などの合間にそれらを行った。おかげで一週間分の授業準備だけは出来た。


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