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【オンライン講義第11回】国内スポーツ事例②~千葉ジェッツふなばしの躍進~

皆さま、こんにちは!
ガンバ大阪サッカービジネスアカデミー事務局です。

前回に引き続き、今期から新たなテーマとして加わった「国内スポーツ事例②~千葉ジェッツふなばしの躍進~」のオンライン講義が行われました。サッカービジネスと異なる要素の一つに、アリーナで開催される競技ということが上げられます。
こうした違いにも注目いただきながら、講義のレポートをご覧ください。

注目のBリーグと千葉ジェッツの全貌はいかに!!

今回の講師を務めていただいた舟久保様は、株式会社ミクシィに所属され、現在は千葉ジェッツふなばしに出向という形で携わられています。株式会社ミクシィでは、ビジネス職としてリアルイベント関連のシステム開発や分析業務に従事されました。

千葉ジェッツふなばしに出向後はチケットやプロモーション部門を経て、リブランディングプロジェクトのマネジメントや新アリーナ移転に向けたロードマップ策定を行われました。現在は4チームにまたがるマーケティング部の統括を担われています。

まずは、Bリーグ創設の背景について、お話しいただきました。というのも、元々は2つのリーグがあったバスケットボール。国際バスケットボール連盟(FIBA)からの要請により、2016年に国内2リーグが統合され、発足しました。来場者数は年々増加しており、今や注目のスポーツリーグへと急成長を遂げています。

他の競技ととりわけ異なる点が、若年層と女性層のファン比率が多いということです。こうした背景も現場を取り仕切る舟久保様から、リアルな声を届けていただきました。

2026年には、NEW B.LEAGUEとして、新B1基準が適用されることになっており、会場キャパシティの問題を抱える上位チームを中心にスタジアムの建設が進んでいます。これは、千葉ジェッツにおいても当てはまり、2024年の完成を目指して、新アリーナの建設が進められています。

講義資料(一部抜粋)

ここから、具体的な千葉ジェッツのご紹介をいただきました。バスケットボール界初の1億円プレーヤーである富樫選手が所属することやホームタウンの船橋市がある千葉県はバスケットボールの競技人口が日本で一番多いことなど、幅広い視点で千葉ジェッツの特徴を知ることができました。

中でも、チーム名の「ジェッツ」は千葉県にある成田空港のジェット機(飛行機)に由来しており、スタジアムでのあいさつに「ご搭乗ありがとうございます。」という文言が用いられていることや、演出に雲海を連想させるスモークが盛り込まれるなど、ブランドの一貫性が保たれています。これもリブランディングを行い、チームとしてのブランド戦略がしっかりと構築されているからでしょう。

先程も話に挙がったアリーナの新設については、キャパシティが現在の2倍の1万人になります。中期的なゴールとして、「新アリーナを満員に」することを掲げており、長期的には「100年続くクラブへ 半永久的に集客にこまらない状態をつくる」ことを目指されています。

講義資料(一部抜粋)

では、ゴールへ向けてどのようにアプローチしているのか。千葉ジェッツの戦術を余すことなくご紹介いただきました。中でもファン層を細分化し、チャネルを使い分けられています。その効果は顕著で、SNSの総フォロワー数はBリーグNo.1を誇り、2022-23年シーズンでは、LINE、Youtubeを筆頭に各SNSのフォロワー数は大きく増加しています。

また、試合運営では、ファンの滞在時間を長くする試みとして、オープニングフライトと題するパフォーマンス専用の時間も確保されています。

講義資料(一部抜粋)

一方で、売上の観点では、Bリーグはサッカーや野球のリーグと比べるとまだまだ発展途上であり、成長の余地があると考えられているそうです。

受講生からの質問は止まらず…

他競技ということと、Bリーグ随一の人気を誇る千葉ジェッツということもあり、受講生の質問は止まりません。特にファンへのアプローチに関する質問が多く寄せられ、質疑のコミュニケーションの中から、さらに質問が生まれる、非常に活発な時間となりました。

その中で、特に興味深かった質問をいくつかご紹介します。

受講生「Bリーグに女性や若年層のファンが多いのはなぜか。」

舟久保様「スポーツの特性として、しっかりとした文化があるサッカーや野球に比べて、バスケットボールはストリートの文化で、カジュアルなため若者にも馴染みやすい。また、得点シーンが多く、SNSの投稿の素材がたくさんあるため、投稿数を増やせる。映えた画像を撮れることも相まって、SNSと相性が良い。一部の女性ファンには、バスケットボール選手のスタイリッシュなルックスも刺さっていると思う。」

受講生「スポーツビジネスの売上の主はチケット収入だと思うが、その点Bリーグはアリーナのために席数のキャパシティが少ない。そこに対する課題感や対策について、どのように考えているか。」

舟久保様「PLの構造は変わらないと思うが、アリーナのキャパシティに関する課題は感じている。野球やサッカーは幅広い単価の座席が用意されているが、我々は限られたキャパシティの中で、単価アップを図る必要があると思う。新アリーナではVIPルームを併設するが、まさに飛行機の座席のクラスのイメージでカテゴリを分け、売り分けていきたいと考えている。そうしないとビジネスは拡大しないと思う。」

現場でマーケティングに取り組まれており、これまでの千葉ジェッツと、新アリーナへの移行を見据えたところから、回答をいただくことができました。アリーナやスタジアムという箱を持っている特性上、稼働率やプライシングの課題はつきものです。競技に応じた課題があることをリアルに知ることができました。

受講生から飛び出す驚きのアイデアとは

後半のグループディスカッションは、以下のテーマを設定しました。

「来年新しく完成する新アリーナを想定した集客施策について、以下のいずれかのテーマで考える。」
① スタジアムとは違う「アリーナ」という施設の特徴を考慮し、最新のテクノロジーも活用した集客施策
②現状のBリーグファンのコア世代は20-30代だが、10年後も同じように20-30代が足を運びたくなるような集客施策

今回はアリーナが舞台だからでしょうか。普段のディスカッションからは少し発展したアイデアが挙がりました。こちらも皆さまにご紹介いたします。

受講生「既存のライブなどの演出を参考に検討した。例えば、視点を切り替えて選手を下から見上げられたら、細かなステップやシューズを見られて面白いと思う。また、得点などの試合展開に応じて、座席が動いたり、プロジェクションマッピングによる演出を行うのも良い。さらには、出前サービスと提携し、アリーナで近隣の飲食店の様々な食事が楽しむという意見も挙がった。」

舟久保様「これまでスポーツで取り入れられていない空間演出は可能性があると思う。アリーナの来場者数だけでなく、オンラインの視聴数を伸ばすミッションもあり、視聴しているファンのアクションが、スタジアムに連動するといった仕掛けづくりも検討している。スタジアムを設計していく上で、五感を刺激する観戦体験が重要だと考えているが、金銭面で折り合いがついていないという実情もある。」

竹井「突拍子もないアイデアのようで、PayPayドームでは出前サービスが展開されており、視野を広げた方が良いと感じた。エンターテイメント施設では、匂いや座席の動きなど、進んでいる要素がたくさんある。これらの掛け合わせにより可能性があることを、改めて感じられた。

舟久保様からはアイデアに対しての評価のコメントをいただいただけでなく、アリーナにとどまらないオンライン視聴との連携についても言及いただきました。チームとして観戦体験を拡充していく上では、多角的な視点から複合した体験設計が必要となるということですね。

結びに、舟久保様より励みになるメッセージをいただきましたので、ご紹介します。

舟久保様「受講生の皆さんはスポーツに関心があり、既に関わっている方もいると思うが、こうしたバックグラウンドの異なる方々がスポーツ業界に参画することは必要だと思う。実際に増えてきており、効果も感じている。また異なる場で、皆さんと関わっていきたい。

講義資料(一部抜粋)

受講生による実施企画の内容が明らかに!!

この2回を通して、広い視点でスポーツビジネスを知ることができました。それぞれが抱える課題や対策の理解が深まり、それらの掛け合わせによって、新たな発想につながる可能性を感じます。

次回のフィールドワークでは、実施企画のアイデアを各チームから発表いただきます。どのような方向に進んでいくのか、楽しみでなりません。
次回もご期待ください♪

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