『黄色い家』を読んで 川上未映子 著
長編だった。最後まで読み終える自信がなく、パラッとめくって1ページ読んだところから俄然、興味が深まった。
なぜそう展開するの?いつの間にそうなったの?
(それは私が途中を飛ばして読むから。)
経過を知りたい。そこから無音で部屋に閉じ籠り読み進めた。
一筋縄ではいかない主人公《花》の人生。周りを取り巻く『蘭』『桃子』『映水』との会話から、《花》の人としての映像が浮かんでくる。花の呟きが、私の共感と記憶に共鳴する。花の人生との向き合う姿は、外から見れば苛酷で不穏な日々だのに、花は人を受け入れながら理解しながら、時には楽天的に、しかし懸命に考えながら生きていく。生きていくのは大変だと感じながら、自分の最大を遣いながら生きていく。
中盤、第五章 青春 、 第六章 試金石 、 七章 一家団欒 と花につかの間の安泰が訪れる。だが住む家がなくなるという危機に、誰も動かない。気がつくと動くのは、私しかいなかった。そうやって花は、花だけは周りに助けを求める。切羽詰まったからこその知恵。助ける人が現れたのは、花と黄美子の普段の、特にトイレ掃除を見ていた人だった。ピンチはチャンスに繋がり・・・
中古だけれど一軒家のその家は、花にとって自分が動いて手に入れた幸せの象徴。花は、自分が人を守ってあげられることに心が満たされる。
えっと、私はまたどこかを読み飛ばしたのだろうか。確かに花は、観察力鋭く、人間関係を大事に築いてきていたはずだったのに。(少しだけ一穗ミチさんの『ロマンス☆』の普通の思考からの狂気が蘇る。)
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2022.11.4を契機に5人キンプリの記録や海外進出、働く人やタレントの基本的人権、岸さんへの感謝、BS TBSからの覚え書きやGメンの…
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