見出し画像

SIは見た No.83『餅つき』の場合

私たちは今、どんな時代を生きているのか──。サンデー・インタビュアーズ(SI)とは、そんな問いを探求するロスジェネ世代の余暇活動です。

月に一度の日曜日、7人のメンバー*は84巻あるホームムービー*をひとつずつ紐解きながら、オンライン上で話し、聞き、考えます。

今月(2021年11月)のお題は、No.83『餅つき』。さて、そこには何が写っているのでしょうか。メンバー7人の言葉を紹介します。

*本テキストはSIが毎月行うオンラインワークショップの記録です。
*2021年度は公募で集まった7名のメンバーで活動しています。
*ウェブサイト『世田谷クロニクル1936-83』をご参照ください。

No.83『餅つき』
撮影時期|昭和56年12月
撮影場所|喜多見
ご近所総出の餅つき大会。提供者の友人(30歳前後)が撮影。年末になると6-7世帯が集まり、餅つきを行っていた。子どもが大きくなり、また、区画整理に伴って半分以上の世帯が立ち退くことになり、この恒例行事もいつしか姿を消した。井戸だけは現存。※本映像はVHSからのダビング映像です(『世田谷クロニクル1936-83』より)

01:15

0115のコピー

「女性はみなさん割烹着を着ている」

「『お供え分を少し』と言って、お餅を分けてもらおうとする人。供えるのは町の神社か、家の仏壇か」

「板を掲げている男性。“照明係”の声が拾われている。板は撮影のためのレフ板代わりか」

02:58

画像2

「屋内から出てくる女性が一瞬写る。家の中ではどんな作業をしているのだろう」

「餅つきやフラフラしてるのは男性、できた餅を切って味付けするのは女性。現在はどちらもできる時代。女性が餅ついてもいいし、男性が味付けしてもいい」

04:15

画像3

「撮影者がナレーションで解説していておもしろい。撮影日は『12月27日』と言っている。年末でお餅? 通常は正月のイメージ。デイサービスの世田谷の利用者で大晦日におでんを食べる方がいた」

09:24

画像4

「ビデオカメラについて会話『すぐ再生できる』『この場で』『すごく便利』。ほかのフィルムカメラとの対比。なんだか世田谷クロニクル全体を通して象徴的だ」

13:00

画像5

「冬なのにサングラスの人。もしかしてオールシーズンかけているのか」

「男性が『最近、会社行っててもバレーボールやっててさ。全然できないんだよね』と話している。オフィスでバレーボールをやるほど余裕があったのか」

「タートルネックにニットのベスト、襟付きシャツの上のトラックスーツ。洋服のレイヤーに時代性を感じる」

17:14

画像6

「納豆餅、おいしそう」

「あんこ、大根おろし、納豆。私が子どもの時に参加した餅つきイベントでも、必ずこの3点だった」

「喜多見は成城学園の隣町、古い住宅地である。その路地で餅つきをして、ご近所さんがこれだけ多く集まってくる。近隣の付き合いが濃い時代だったのか、たまたま仲の良い家族が集まっていたのか」

「餅つきといえば、自分の子どもらが小学生の頃、小学校の校庭で餅つき大会があった。おやじソフトボールチームが駆り出され、毎年餅をついたものだったが、ご近所で一緒に餅つきをした記憶はない」

次回(2021年12月)は、No.74『松陰神社、双葉園、雪の日』をみんなで見ます。

サンデー・インタビュアーズとは

昭和の世田谷を写した8ミリフィルムを手がかりに、“わたしたちの現在地” を探求するロスト・ジェネレーション世代による余暇活動。地域映像アーカイブ『世田谷クロニクル1936-83』上に公開されている84の映像を毎月ひとつずつ選んで、公募メンバー自身がメディア(媒介)となって、オンラインとオフラインをゆるやかにつなげていく3つのステップ《みる、はなす、きく》に取り組んでいます。本テキストは、オンライン上で行うワークショップ《STEP-2 みんなで“はなす”》部分で交わされた語りの記録です。サンデーインタビュアーズは「GAYA|移動する中心」*の一環として実施しています。
https://aha.ne.jp/si/

*「GAYA|移動する中心」は、昭和の世田谷をうつした8ミリフィルムのデジタルデータを活用し、映像を介した語りの場を創出するコミュニティ・アーカイブプロジェクト。映像の再生をきっかけに紡がれた個々の語りを拾い上げ、プロジェクトを共に動かす担い手づくりを目指し、東京アートポイント計画の一環として実施しています。

主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、公益財団法人せたがや文化財団 生活工房、特定非営利活動法人記録と表現とメディアのための組織[remo]