見出し画像

以前勤めていたブラック企業の話⑥

こんばんは。ご覧いただきありがとうございます前回までの記事はこちらをご覧ください


それは夜、まだ生暖かい空気が流れている
19時の頃に起きた出来事だ。

僕は洗車機に車を移動していた。
1日中色々な車を運転し、疲弊を極めていた。
そしてその時間に運転していたのは
左ハンドルの輸入車だった。

「うわぁ、運転したくないな……」と思いつつ
与えられた業務を遂行するために
運転席に乗り込んだ。

恐る恐る、まるでカタツムリのような速度
ゆっくりと車を走らせた。
洗車機はドライブスルー方式だったので、
定位置に付くと自動で洗車が開始される仕組みだ。

ゆっくりと車を走らせていたが
慣れない左ハンドルのため、このまま機械が
作動すると車の右側が間違いなくぶつかる、、

大慌てで洗車機を一時停止させ、
再度入庫を試みた。
慎重にバックし、
ゆっくりゆっくり前に進む。
しかし、またぶつかりそうだなぁ、
と思った僕は再びゆっくりバックし続けた。

気付けば、ドライブスルー洗車機の
説明看板がある場所まで戻っていた。
すると近くにいた社員さんが
「あぶない!! 止まって!!」
大きな声で指示を出した。

「え、危ないのか?」
僕は思い切りブレーキを踏んだ……はずだった。

その瞬間、車が勢いよく「ぶぉん」
音を立てて後退した。
そう僕が踏んだのはアクセルだったのだ


「がしゃああああああん」


その音と共に、車が止まった。

車が止まり、僕はしばらく呆然としていた。
車内は静まり返り、心臓の鼓動だけが
耳に響いていた。
「やってしまった……」その言葉が頭の中を巡る。

社会人になって初めての大きなミスだった。

すぐに外に出て、車の損傷を確認する。
バンパーが外れ、見るも無残な姿になっていた。

さらに、ぶつかった衝撃で看板も倒れていた。

「これは大変なことになった……」

気を落としていると、続々と社員が集まってきた

「なにやってんだ!!」
「いーからそれどかして!!」

怒声と指示がお店に鳴り響き、場は騒然とした空気が流れ、
皆が事の重大さを感じ取っているのがわかった。

店長と共にお客様の元へ行き、深々と謝罪をおこなった。
バンパー損傷以外は走行上問題のある欠損はなかったようで、
提携の板金工場で修理することになった。
お客様も怒っている様子はなく、治してもらえるなら
それでいいとのスタンスだったので、
一安心したのを覚えている

イベントの疲れ、事故を起こした衝撃、色々な気持ちが渦巻き
何やってんだろうなぁ俺と
思っていた時上司がやってきて、
僕に向かって険しい顔でこう言った。

「この事故で今日の売上はなくなったと思え」

その言葉に、重い責任を感じた。見えない針で心臓を一突きされたように、僕の胸は苦しくなった。

ご覧いただきありがとうございました。こちらのnoteでは、ブラック企業に勤めて疲弊していた僕がホワイト企業へ転職するまでの物語を描いています。このあとどうなるか、次回の更新をご期待ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?