銭湯と僕②

記憶にある限り、最古の銭湯の思い出を前回書いた。
今回は銭湯との再会について記しておこうと思う。

高校生になってからは、毎日勉強ばっかりやっていたから銭湯に行くという発想は一切なかった。もちろん、その期間も家族で温泉旅行に行ったりはしていたので大浴場というものにはずっと触れていた。

僕は銭湯や温泉云々を抜きにして、そもそも入浴という行為自体が凄く好き。勉強で忙しくても必ず湯船には入っていた。シャワーだけで終わらすことはほとんどなかった。

そんな僕が銭湯と再会したのは大学生になってから。
自分から積極的に行ったわけではないけれども、こういうのは何かの縁があるんだと思う。

友達と飲んでいる時の出来事だった。
「あれ、もう終電じゃねーの?帰んなくていいの?」
「え。あ、マジだもう終電過ぎてるわ・・・。」
「じゃあうちに来て、引き続き飲もうぜ!」
そう言って、友達の家に飲みに行くことになった。
終電が無いのでどうしようもないんだけど。
そうして友達の家に向かっている途中に友達が言った。
「あ、忘れてたわ今日バイトあるんだ。一緒に来て手伝ってよ」
「は?そんな勝手に行っていいん?」
「良いんだって、風呂屋の掃除だから人がいた方が早く終わるんだよ」

僕は頭の中に『???』が沢山浮かんだ状態だったけど、とりあえず友達について行くことにした。

商店街の入り口の前に、今となってはなじみ深い「ゆ」の字を見つけた。
そこが、友達がバイトしている銭湯だった。
凄く小ぢんまりとしているけれども、手入れも行き届いていた銭湯。
僕は、この時に中学生の時に行った銭湯のことを思い出した。

そうして、友達に言われるがまままずお風呂に入り、のんびり身体を休めて、そのまま掃除を手伝った。
普段やっているバイトとは全然違う、身体を使った労働。
心地よい疲労感に加えて、友達と一緒だったのもあり凄く楽しかった記憶がある。ちょっとだけだけど、銭湯の裏側も見れたりしたので本当に楽しかったんだ。

「ああ、あなたが今日急に手伝ってくれた人ね」
お風呂掃除後の待合の場所で女将さんに声をかけられた。
凄く感じが良い、ふわっとした優しそうな方だった。
「いつもみんなにパンを渡しているんだけど、今日は無かったからこれね」
そう言って、1000円とバナナを渡された。バイト代とおやつだったみたいだ。

「いやー今日は助かったわ!!コンビニで酒買っていこうぜ。おごるわ」
「おごるってどうせさっきのバイト代だろ!だったらこっちも出すよ」
「お、ありがてえw」

そんな会話をして、友人の家に僕たちは向かった。

こうやって記してみると、僕の銭湯との再会は中々印象的なものだと思う。
そして、何の抵抗もなく銭湯のお風呂掃除をそのまま手伝って、それが凄く楽しかったって言うのも今思えば銭湯が好きっていうことだったのかなって思う。

ここから、僕の生活で銭湯(スーパー銭湯を含む)の存在感がどんどん増していくのだけれど、それはまた次の時に。

※この物語は半分フィクションで半分ノンフィクションみたいな話です。
小説とエッセイの間くらいと思ってもらえると嬉しいです。



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